今季新設されたダービー企画「TOP OF 北アルプス」の第4戦。岐阜19位・富山21位、勝点差2での対戦となり、今後の下位戦線に大きな影響を与える一戦となった。降格制度が導入されたことによる緊張感が加わり、選手とサポーターのライバル意識はさらに燃え上がる。激戦は必至だ。
ワーストゲームからの再起が両チームのキーワードになる。
岐阜は前節、0−2で熊本に敗れた。DF裏を簡単にとられてピンチを招くなど守りが不安定で前半だけで2失点。後半は反撃に転じたが時すでに遅く、行徳浩二監督は「ホームでの横浜FC戦(第10節)、甲府戦(第16節)、そして今日の試合が今季ワースト3。入りがすごく悪かった」と嘆いた。最近7試合は2勝3分2敗。守りが安定して調子は上がってきている。だからこそ残念な敗北だった。苦い経験をばねに再び歩を進めなければならないだろう。
先のコメントで指揮官がワーストに挙げている甲府戦後の第17節には千葉を撃破する金星を挙げた。そして実は横浜FC戦後の第11節が前回の富山戦。0−1で敗れはしたが、2倍以上のシュートを放つ(岐阜10本−富山4本)など終始優勢に試合を進めて力の片鱗を示した。現在、攻撃の核となって輝きを放っているMF染矢一樹はこの試合の好パフォーマンスがきっかけとなりスタメンを不動のものにしている。
前節は無得点に終わったとはいえ後半の攻撃には迫力があった。前回先発を外れたFW佐藤洸一も富山戦に期するものがあるだろう。奇しくも再び巡ってきたワーストゲーム後の富山戦。勝てば下位争いから抜け出し、中位追撃への手掛かりもつかめる。課題となっている得点力の面で成長した姿を披露したい。
富山にとって前回の岐阜戦は「内容は完敗。間違いなく今季で一番悪かった」と安間貴義監督が会見で語った試合。急場しのぎの4バックのシステムが機能せず、攻守にアグレッシブさを欠いた。勝ったもののごまかしはきかず、その後再び勝利から遠ざかった。
第18−21節に4連敗したのを契機にチームの原点に立ち返ってハードワークを徹底。前々節は大分、前節は山形を相手にいずれも追い付いて1−1で引き分けて復調の兆しはみえる。今回は8試合ぶりの勝利を目指すが、前回の岐阜戦のように自分たちの持ち味を出さずに勝ちだけを拾おうとしても無理だろう。ワーストゲームの記憶を呼び覚まし、労を惜しまずに前からプレスをかける富山らしさを発揮しなければならない。
「岐阜はまじめに守備をする。スタートポジションに戻るのも早く、必要なことをきっちりやっている印象をもった。佐藤君をはじめ前線の選手にも力がある。ともに守りで大きく崩れることはないだろう。点を取るべきチャンスでしっかり得点できるかどうか、逆にそのようなピンチをしのげるかで勝負が決まる」と安間監督はみる。
岐阜が開幕戦以来2得点以上をマークした試合がないのと同じく、富山も4月22日の第9節を最後に複数得点を挙げていない。しかし、「取れても1点。勝つなら1−0」という現状に甘んじていては下位からの浮上は見込めない。岐阜と同様に攻撃陣の奮起に期待がかかる。
岐阜から移籍のFW西川優大は右太ももの筋挫傷が長引き、7試合ベンチからも外れている。帯同するかは微妙な状況だが、12日の富山一高との練習試合では約70分プレーして得点も挙げた。また、岐阜サポーターにもお馴染みのJFL時代から活躍する攻撃の要、MF朝日大輔が半年以上のリハビリをへて今回の試合に向けて出場可能な状態まで仕上げてきた。今回の隣県対決にもうひとつの見どころを加えてくれそうだ。
以上
2012.07.14 Reported by 赤壁逸朗
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第24節 岐阜 vs 富山】プレビュー:浮くか沈むか、ここが分れ目。岐阜はワーストゲームから再起を図り、富山はワーストゲームの記憶を教訓に挑む。熱き隣県対決は必見。(12.07.15)
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