北九州は前節からシステムを中盤をダイヤモンド型とした４−４−２に戻した。いや、「戻した」というよりは、ペナルティエリアにボールを運んで相手に十分なインパクトを与えられる状態にチームが進んできたために、４−４−２のシステムを機能させられるようになった、と言ってもいいかもしれない。もちろん序盤戦から３トップを試してきており、三浦泰年監督は「（２トップだと）センターバックの前に２人立てるのは大きな力になる」と話す一方で、「３トップに入れる選手がトップ下にいることで、状況に応じて使い分けられる」とも話し、４−４−２、４−３−３の両方が十分なオプションになっていることを伺わせる。

２トップを組んでいるのは池元友樹とレオナルド。ともに一人でも打開できる選手で、裏へ出て行くスピードやタイミングも武器になっている。左サイドへの突破からクロスを送る竹内涼は「自分がやりやすいタイミングで出てくれるし、いいボールを出せばシュートまで持って行ってくれるという信頼関係がある」と話す。先週の練習では三浦監督が「得意なことは何かを把握しろ」としきりに指示を出していたが――もっともそれはキャンプ中からの北九州の課題ではあったが、そうした練習中からの積み重ねが相手を生かす動きに繋がり、４−４−２をより結果に直結しやすいシステムへと成長させている。
ただ三浦監督は脅威を与えられるまでにはなっていないとも話す。ペナルティエリア内への侵入回数は確かに増えているが、「もっとリスクを負ってもいいかもしれないし、もっとアイデアを出してもいいかもしれない。そういうことを意識させてきている」と指揮官。今節はボックス内での勝負が得点にどう直結するか、注目したいポイントだ。

もっともプレビューでは何度か触れているが、攻撃面に比べて守備面に課題は多い。
今節対戦する草津は熊林親吾と松下裕樹の安定したダブルボランチに加えて、前節は10節ぶりにヘベルチをスタメンで起用。結果を得るには至っていないが自由にプレーをさせることはできない。北九州の中盤選手が早めにコンタクトして攻撃を遅らせたり、マンマークを外さないなど、しっかりとしたディフェンスが必要だ。また、木村祐志は「取られ方が悪いと（攻撃に）来られる」と指摘する。その言葉のとおりで、相手のカウンターに対しては遅らせる動作が求められるが、それ以前に失わないことが重要。当たり前のことではあるが、ポゼッション中のミスを減らすことで、北九州の攻撃する時間は長く保つことができる。ミスを一つ一つ潰していくことは北九州の課題であり、失点を最小限に抑える最大のポイントだ。
一方で草津は前節、相手のポゼッションが上回って攻撃の時間、形を十分には作れなかった。ダブルボランチを軸としたビルドアップのほか、北九州のそうしたミスを突いたりして前線へと供給し、シュートチャンスを一つでも多く作りたい。

北九州は池元友樹の長男誕生、新井涼平の入籍など吉報続き。池元は「一日でも早くゴールを決めたいし、チームのために決めたい」と意気込む。そして試合日の７月15日は三浦泰年監督のバースデー。三浦監督は前日、記者らの「勝点３がプレゼントになりますね」という問いかけには「誕生日に関係なくしっかりやってくれるでしょう」と話していた。
北九州は７月中に勝点10以上の積み増しという目標も自らに課す。すでに７月に入って２連勝で好調。「ここで負けると２つ勝ったのが意味がなくなるとまでは言わないけれど、勝つことで、いい流れにしていくチャンスになる」と木村祐志。それぞれの目標や思いを抱きながら、７月の第３戦目に挑む。

以上

2012.07.14 Reported by 上田真之介