勝利した磐田の勝点は30に到達。勝点4のまま足踏みを続ける札幌との勝点差は26に広がり、ここまで積み上げてきた勝点の差がそのままピッチで出た。4か月ぶりの再戦。両者のパワーバランスは3月の開幕戦の頃以上に明確なものとなっていた。
最終的にシュート数は磐田の23に対し、札幌は6。この数字だけ見てもワンサイドゲームだったことは明らかである。ただし、この試合最初にシュートを打ったのは札幌だった。試合開始直後に敵陣でパスをカットした古田寛幸がドリブルで持ち込み、左サイドを駆け上がってきた岡本賢明へラストパス。岡本が角度のないところから左足を振り抜いたが、磐田・八田直樹に余裕を持って抑えられた。さらに17分には左サイドのスローインから最後は内村圭宏が敵陣中央のスペースを抜け出し、右足でミドルシュート。これも八田に正面で防がれたが、札幌の試合の入り方はけして悪くなかった。
対する磐田は最下位に沈む相手にホームで確実に勝利したいという気持ちの表れか、どこか慎重になっていた部分も見られた。ボールロストからカウンターを受ける場面もあり、序盤に関してはやや嫌な流れだったと言えるだろう。森下仁志監督はこの時間帯をこう振り返る。「僕がトレーニングしているポジショニングの部分で選手が少しこだわり過ぎているというか、もう少し距離感を縮めたりとか、そういった状況で動いてもいいかなとも思っていた」。ただし、こう付け加えている。「途中から選手たちが自分たちで判断してそういった距離感、ポジションを取ってくれたのでよりボールが動くようになった。選手に判断を委ねる部分もあると思うし、選手が状況によって自分たちで動いていけるようになってきたのが成長の証」。
磐田は前半に駒野友一のCKをチョ ビョングクが頭で合わせ、2点を先行。この2ゴールがゲームの流れを大きく変えたことは間違いない。ただし、先制点のCKは敵陣でボールを動かし、最後は右サイド・駒野友一のクロスから。2点目のCKも自陣からパスをつなぎ、最後は宮崎智彦のクロスからCKを獲得している。仮にセットプレーからの得点がなかったとしても流れの中から複数のゴールが生まれていただろう。指揮官の言葉の通り、いいとは言えない流れを断ち切り、柔軟な対応を見せた点はチームとしての前進と呼べる。
一方、敗れた札幌は今季ワーストとなる9連敗という現実を嫌でも直視せざるを得ない。負けが続くチーム状況である。開幕戦の頃と同じ水準の勢い、メンタルを維持することは難しかっただろう。失点を重ねるごとに自信を失っていくようにも見えた。前節に続き[4-3-3]を採用し、前節負傷交代を余儀なくされた河合竜二に代わり宮澤裕樹が3ボランチの中央に入ったが、攻撃面で持ち味を発揮する以前に守備に追われるゲーム展開となってしまった。けが人がすぐにカムバックを果たせる状況ではない。だからこそ、新戦力の働きが後半戦の鍵となりそうだ。
湿度87%。弱風。まさに蒸し風呂のような梅雨の静岡で確かな成長を見せたのは磐田だった。だが、森下監督は前だけを見据えているだろう。指揮官は常々順位表、総得失点といった“数字”は見ないと公言している。無論、その言葉を額面通りに受け取ることはできないが、あくまで1シーズンというスパンでチームを評価したいという気持ちの表れだ。この日も大量リードという状況にもかかわらず最後まで大声で指示を出していた。選手も思いは同じである。というより、目の前の競争に打ち勝たなければピッチに立つことはできない。札幌戦翌日の練習試合では新加入・ハンサンウンが加入後初めて対外試合でプレーする見込みだ。
後半戦の躍進の目指し、力強く第一歩を踏み出したサックスブルー。第34節を終えた時点でどこまで勝点を伸ばしているだろうか。
以上
2012.07.15 Reported by 南間健治
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