順位表を肴にチビチビと飲めるくらいに嬉しい首位。道半ばの順位とはいえ首位は首位。う〜ん、いい響き。しゅい、シュイ、首位。現場が最終順位で2位以内を目標にしていることは分っているが、僕らは2〜3日はいい気分に浸りたい。1試合で首位と6位の勝点が並ぶ3差とはいえ、クラブ史上初のリーグ首位。「節」単位の首位とはいえ2000年のクラブ消滅の危機から12年。2度のJ1昇格と降格を経験してきたが、JFK甲府は今シーズンの最終進化形態・「JFK甲府Z」に向けて動き始めていることが確信できた。
「さぁどうなるかね」なんて思いながら肩のストレッチをやりながらキックオフを見守っていたら福田健介のミドルスローインをダヴィがヒールで落とし、それをペナルティエリア中央に入ってきた永里源気がパチーンと迷いなく打ったシュートが決まっていきなり先制。第10節(アウェイ徳島戦)以来の源気ゴール。7分には前夜観たスウェーデン戦の65分の大儀見優季(旧姓・永里)のヘッドみたいにクロスが少し高過ぎて打ちきれないシュートもあって、「さすが兄妹」なんてニヤニヤする余裕もあった。兄が決めれば次は優季のゴールも決まるだろう。ただ、JFK甲府はまだ最後のアルファベット・Zではなく、MかNの辺りなので追加点を決められないのが課題。主力の出場停止、移籍、ケガなどで台所事情が厳しい東京Vだったが、26分に2枚目のイエローで深津康太が退場になってさらに難しい戦いを強いられた。4−4−1となり、巻誠一郎のワントップでは前線からのプレスが掛からず甲府に何度も追加点のチャンスを作られてしまう。しかし、GK・土肥洋一を中心によく守った部分と甲府のトラップミス、シュートの精度不足などが融合してスコアは動かない。勝利の女神様が気まぐれなら、「やっぱヴェルディにしようかなぁ」って心変りしても文句を言えない、甲府にとっての前半だった。
ただ、直近の3試合は相手より少ないシュート数で勝ってきた甲府だったが、今節は守備の連携や意識が向上した分、攻撃面でも進化を見せることができた。ここは評価ポイント。なかでも4−3−3のウィング・永里は1対1の守備のところで遅らせるどころか粘り強く対応してボールを奪う場面もあった。攻撃から守備に変わって長い距離を戻ると雑になりがちな部分だが、サイドバックの選手並みの守備力を発揮しつつゴールも決めた永里。個人でも進化している。また、逆サイドの柏好文はドリブルで東京Vを苦しめた。パサーではなく、ドリブルしてナンボの本領をしっかりと発揮した。この2人が東京Vのサイドバックをしっかりマークするから、中盤の3枚も中央で数的優位な戦いができた。しかし、45分+1に保坂一成が2枚目のイエローを貰って「えっ〜」の退場をしてしまう。この結果、お互いに4−4−1で最後ちょこっとだけ戦って、「後半は4−4−1対決。どうなるでしょう」と興味を持たせて前半は1−0で終了。
後半になると戦況は一変。最初は「11人いるんじゃないか」って思うほど東京Vはがっちり主導権を確保した。巻をボランチに下げ、サイドにボールが出たときだけ前に出ると言う戦術で、阿部拓馬のワントップに変更した東京V。「川勝采配ズバリ」という後半のスタート。そして、52分に右サイドを阿部が突破して入れたセンタリングを高橋祥平が決めて同点。スクランブルでボランチに入った西紀寛が後半はネジを巻き直したかのように運動量を増加させたことも相まって、4−4−1対決は東京Vが主導権を独占し続けた。前節もやっているだけに4−4−1に対する慣れもあったのかもしれないが、石原克哉が「東京Vの選手は相手の間でボールを受けるのも出すのも上手い。11対11から10対10になってスペースが広くなって余計にその特徴が出た」と言った点がベースにある。城福浩監督は中盤の底・和田拓也が浮いていることを修正点と見抜いて、4−3−1−1に配置を変更し、フェルナンジーニョを67分に投入。こんどは「城福采配ズバリ」で、71分にわりと前から守備をするフェルナンジーニョが入れたクロスにファーの柏が合わせて2−1。勝利の女神が愛してくれたのか、「J2の首位は勝てない」でお馴染みのジンクスの神様が助けてくれたのか分らないが、城福采配で流れを引き戻した。
2−1になって喜んでいると、本日の入場者が「12105人」と発表された。結果的に第26節のトップの数字で、こっちでも満足。ただ、リードを許したことで東京Vのアグレッシブさにターボがかかる。74分の森勇介のミドル、75分の刀根亮輔のヘッド、76分の阿部のシュートと、短時間のトリプルアタックに「誰か守れる人いませんか〜」とメンバー表を見ると「ドウグラス」の名前がキラリ。足が攣ったようにみえる福田に代えてドウグラスを投入して甲府は持ち直した。そして、88分に石原がトドメのミドルシュート決める。2点目と3点目は韮崎高校出身の韋駄天・柏とダイナモ・石原のゴールで、甲府にとっては満足のクロージング。アディショナルタイムが6分もあったことには驚いたが、2点差あると心も広くなるもの。消耗戦になった時間帯もあったが、守備の安定感が高まった甲府がジンクス通りに首位・東京Vを倒して今季初の4連勝を達成。生体力学の法則に逆らっても決める剛腕・ダヴィのゴール無しで勝ったのも初めてなら、クラブとしての首位も初めてで、開幕戦以来の「初めて記念日」。次節(8/5)はアウェイ草津戦。「J2の首位は勝てない」というジンクスに挑戦する権利を手にしたことも嬉しい。
一方、東京Vは本当に厳しい台所事情のようで、試合後に巻は「次は阿部と深津が出場停止。ケガ人も多く、どう持って行けばいいのか…厳しい状況。みんなギリギリでやっている。サポーターにもっといいサッカーを見せたいけれど、今は我慢の戦いをしながらチャンスをモノにするサッカーをするしかない」と疲労困ぱいの様子で話した。上位の勝点が詰まっているだけにどの順位でも一喜一憂しないでトップ集団にしがみつくしなかい今シーズンのJ2の戦い。飛び抜けるというよりも、脱落しないための戦いが暫くは続くだろう。でも、山梨県内は猛暑でも2〜3日はニヤニヤした人が増えるでしょう。
以上
2012.07.30 Reported by 松尾潤
J’s GOALニュース
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