2012シーズンの日程も3分の2を消化。残された試合数は3分の1で14試合、いよいよリーグ終盤戦に突入する。ここまでくると互いに対戦相手をきっちりと分析するため、シーズン序盤と同じような戦い方であれば勝てていた試合も落としてしまう。成熟したチームがぶつかり合い、序盤戦なら見落としていたわずかな隙を突いて勝点3を取りにくる。そうなると、当初目指していたサッカーの中にあった隙をさらに消す作業、あるいは、これまでのチームの色にプラスアルファの要素を加えなければ勝点を拾うことすら難しくなってくる。
そういうせめぎ合いの中で、愛媛も山形も今は勝点を伸ばしきれていない。愛媛に関してはリーグ後半戦でまだ勝利がなく、2分5敗。対する山形も1勝4分2敗で、後半戦に入ってから首位の座を明け渡すとじりじり順位を下げて7位まで後退した。この状況で、山形は明確なプラスアルファの要素を加えてきた。それは、前節の横浜FC戦でデビューしたブランキーニョ。8月8日にC大阪から加入が発表されたばかりのブランキーニョがいきなりスタメンに名を連ねると、山形の攻撃にアクセントを加えた。昨シーズンまで山形に在籍していた愛媛の園田拓也は「山形はサイドから攻撃してくるイメージがあったが、彼が入ったことで中央から崩す形が増えた。自分たちは焦らず、落ち着いて対応しなければならない」と警戒を強めるが、横浜FC戦を見る限りゴール前に入ってきたブランキーニョからはラストパスにしてもシュートにしても目が離せない。かといって、中に絞れば永田亮太や秋葉勝がサイドを突いてくる。愛媛は守備のコミュニケーションをしっかりとらなければ、山形の攻撃を跳ね返すことは難しい。はっきりとした狙いがなく後手に回れば、前節の横浜FCが攻め立てられたように防戦に回ることを余儀されなくなるだろう。
これに対して、愛媛はブランキーニョほどはっきりとした違いを出すことはできない。前節の四国ダービーでは、山形から期限付き移籍で加入した伊東俊が後半にピッチに立って攻撃にアクセントを加えたが、今節はその山形との対戦ということで出場できない。これまでの戦力で、これまでのサッカーの隙を消す作業を突き詰めるより他はない状況だ。その中で、特に気をつけなければならないのはセットプレー。前節の徳島戦をはじめ、大分戦や京都戦はセットプレーからの失点が致命傷になった。GK秋元陽太は「1対1で勝てない場面が目立っている。そこで勝てなければチームとしても勝てない」と叱咤するが、サッカーはチームで守るとしても最後の局面は個人の勝負。そこで奮起しなければゴールを守りきることは難しい。「やるべきことは今までと変わらないけど、今まで以上のことをしなければ勝てない。上を目指すなら変わらないと」と秋元は続けたが、愛媛の選手たちはダービーの敗戦でより高まった危機感を今節の山形戦で表現したい。
山形が違いを結果につなげるのか、それとも愛媛が隙を消して苦境を脱するか。結果はどちらに転ぶか予想はつかないが、どちらも勝点3に飢えた状況で残暑を吹き飛ばす激しい攻防が期待できそうだ。山形といえば、前回ニンスタにやってきたのは2008年の11月30日。J1初昇格を決めた一戦以来だ。当然、今回の山形は再昇格へ勢いをつける一戦にしたいところで、一方の愛媛は強敵を倒して息を吹き返すきっかけにしたいゲーム。どちらにとっても、勝つことでリーグ終盤戦の弾みにしたい一戦だ。
以上
2012.08.18 Reported by 近藤義博
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第29節 愛媛 vs 山形】プレビュー:山形がプラスアルファの戦力で結果を出すか、それとも愛媛が隙を消して勝ちきるか、共にリーグ終盤戦の弾みにしたい戦い。(12.08.19)
- 終盤戦特集2025
- アウォーズ2025
- 明治安田J1昇格プレーオフ2025
- 明治安田J2昇格プレーオフ2025
- J3・JFL入れ替え戦
- AFCチャンピオンズリーグエリート2024/25
- AFCチャンピオンズリーグ2 2024/25
- はじめてのJリーグ
- Jリーグ×小野伸二 スマイルフットボールツアーfor a Sustainable Future supported by 明治安田
- 明治安田Jリーグ百年構想リーグ
- 2025 月間表彰
- 2025 移籍情報
- 2025 大会概要
- J.LEAGUE FANTASY CARD
- 2025 Jリーグインターナショナルユースカップ
- シャレン Jリーグ社会連携
- Jリーグ気候アクション
- Jリーグ公式試合での写真・動画のSNS投稿ガイドライン
- J.LEAGUE CORPORATE SITE













