プレビュー記事では「攻め合いに期待する」としたが、実際の試合はそうはならなかった。「相手はスキのない守備をしてきたので、優勝争いをするチームとの対戦はこういう難しいゲームになると思わされた」とはウイルソン。今シーズンの上位対決で何度もゴールを決めてきたこのストライカーにそう言わしめるほど、今日の両チームは簡単には崩されない守備をピッチ上で90分間表現し続けた。
シビアな守り合いの中でも、チャンスはもちろん両チームにあった。しかし仙台がサイドから迎えたチャンスではそれぞれ近藤直也や増嶋竜也が体を張ってベストのシュートコースを消し、柏が26分のように工藤壮人の抜け出しで決定機を作ったときは林のファインセーブでシュートが止められた。
2位と3位の上位直接対決という状況以外にも、守備組織を引き締める要因はあった。
仙台は前半戦に守備で活躍していた角田誠がこの試合で負傷から復帰。先週のJリーグヤマザキナビスコカップ・F東京戦で復帰した上本大海とともに、練習中からチームの士気を高める声を出し、自らのプレーでも前に出る強気の守備を実践。好調時に仙台が実現してきた、高い位置でのボールカットから攻撃につなげるためのコンパクトな布陣を目指した。角田はこの守備について試合後に手ごたえを口にしながらも、「もっと深い崩しを入れたかった」と、攻撃面での課題についても振り返った。
柏はチームの攻撃の核であるレアンドロ ドミンゲスを出場停止で欠いていたが、新加入のネット バイアーノを軸にした攻撃で彼の不在をカバーしようと攻めこんだ。立ち上がりに大谷秀和からの縦パスが前線に通ったときのようなチャンスを多く作れれば優位に試合を進められたが、ポストプレーとそのこぼれ球を警戒した仙台守備陣の前に次第に押さえられていった。しかし「セカンドボールを拾えるようにするために」(ネルシーニョ監督)後半に相手ボランチへのプレッシャーを強め、那須大亮や安英学を投入することで守備の組織は大崩れせず。こちらも課題は攻撃面にあった。
相手ゴール前のエリアでは攻撃の決定打を出せない両チームにとって、時間の経過とともにチャンスは相手のミスを突くか、セットプレーか、というところに限定されていった。49分に仙台のCKから角田がヘディングシュートを打ったり、65分に相手のミスを突いてネット・バイアーノが抜け出したり、という具合に。しかしここでも、それぞれの守備陣が、相手シューターの視界のどこかには必ず体を入れ、ゴールを許さなかった。
「勝てなかった悔しさの方が大きかった」(梁勇基)「勝点3が欲しい試合だった」(大谷)と、両ゲームキャプテンはこの試合の重要性を考えながら、試合後に悔しさを口にした。このカードの対戦は今季はもうリーグ戦で2戦を消化した。この日の悔しさは、今後の戦いで優勝争いを続けて晴らすしかない。「連動性が上がって、これから、という手ごたえを感じました。最高の状態に行くための一試合ととらえています」(手倉森誠監督)「勝てはしなかったが、次に向けて準備していくだけです」(ネルシーニョ監督)と両指揮官は前を向く姿勢を見せている。
リーグ戦は約3分の2を消化した。この時点で上位につける両チームは、この日に勝点3を取れなかった悔しさと、厳しい状況下でもゴールを許さなかったことの背景にある収穫とを、「これから」に結びつけることができるかが問われることになる。この大きな一戦を大きな声で盛り上げてくれた、両サポーターとともに。
以上
2012.08.19 Reported by 板垣晴朗
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