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【J1:第22節 横浜FM vs 川崎F】レポート:18度目の神奈川ダービーは、「熟練」の横浜FMと「若さ」の川崎Fが痛み分け。(12.08.19)

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試合内容は、得点推移のとおり。前半は横浜FMのゲームであり、後半は川崎Fのゲームであったと、試合を見た誰の目にもそう映ったに違いない。
ただし、試合後の後味は異なる。2点のリードを守りきれなかった横浜FMは尻すぼみした印象を残し、後味が悪かった。一部ゴール裏からはブーイングが出て、「負けなくてよかったかなと思う」と、中澤佑二は振り返る。追いついた方の川崎Fは、後味が良かったはず。試合後、ゴール裏はまるで勝利したかのような盛況ぶりで、「勝てた試合だった」(小林悠)と思うのも妥当だろう。

前半は、横浜FMはボール保持率で相手を上回り、ゲームをコントロール。川崎Fディフェンスが前から追い込むより、受けに回ったこともあり、比較的スムーズにパスが回り、小野裕二のゴリゴリ突進するドリブルがアクセントになっていた。11分には早速、先制。大黒将志がパスカットから左クロスを上げ、マルキーニョスが頭で決める。
守備も出色だった。川崎Fのパスワークの発動スイッチであるトップ下中村憲剛と、ボランチ2枚へのプレスを富澤清太郎、兵藤慎剛らが徹底。連動して最終ラインも高い位置を保ち、中澤が何度もインターセプトを成功させていた。いい流れは続き、34分には中村俊輔の丁寧なクロスを、相手DFの死角から飛び込んだマルキーニョスが、再び頭でゲット。しかし、前半残り10分過ぎたあたりから「完全に若さが出た。何人か、のまれていた」(田中裕介)川崎Fが落ち着き出し、本来のリズムを刻み始めた。38分、40分、44分と立て続けにシュート。振り返れば、後半の同点劇の予兆は確かにあったと言える。

横浜FMにとっては、ハーフタイムにややルーズになった守備を修正できなかったことが悔やまれる。いや、それよりも後半の川崎Fの出来を褒めるべきか。
後半頭から川崎Fは稲本潤一を下げ、小林悠を投入し、1トップで起用。それに伴い、FW風間宏矢、トップ下中村憲のポジションを1つずつ後ろにずらした。この采配が的中。中村憲は深い位置から的確にパスを散らし、そこから数的有利の状況をつくり、圧倒的な攻撃を生む。風間宏矢は前半、中澤と栗原勇蔵のプレッシャーに苦しんだが、後半は一変。相手ボランチとDFの間に顔を出し、よくパスを引き出してボールを収め、起点となる。また、途中出場の楠神順平のフレッシュなドリブルは、効果抜群。疲れが見えた相手DFを大いに苦しめていた。
殊勲の2得点を挙げたのは、古巣相手で激しいブーイングを浴びていた田中裕介だ。62分には中村憲剛のCKをピンポイントヘッド、85分の2点目はミドルでゴール右隅を突き、試合後は「ブーイングがないと寂しい」と、余裕の笑顔を見せていた。川崎Fは78分にも小林悠のゴールが決まったかに見えたが、際どい判定でオフサイドとなり、ノーゴール。もうひと押しが足りずに引き分けた。

逆に運動量が低下して攻められ続けた横浜FMは、命拾いしたと言えなくもない。平均年齢30. 09歳のイレブンは後半明らかに疲弊していただけに、選手交代のタイミングなどを含め、後半の戦い方を今一度模索する必要がありそうだ。

以上

2012.08.19 Reported by 小林智明(インサイド)
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