とびきりのカウンターパンチを浴びた。あまりの切れ味の鋭さに鳥肌が立つ。途中出場した大宮FWノヴァコヴィッチは、サイドから来たボールを足元に収めると、タッチを繰り返してコースを探った。ここぞとばかりに振り抜いた右足。ボールは体を寄せるDFの間を縫ってグラウンダーでネットを揺すった。ホーム側にはため息を、アウェイ側には歓喜を呼んだゴール。F東京は、この78分の一発に沈んだ。
F東京にとっては不運な一日だったのかもしれない。ただし、サッカーにはラッキーは存在しない。27分に梶山陽平が放ったシュートも、84分に渡邉千真がGKの鼻先を交わしても、ボールはゴールラインを跨ぐことはなかった。いずれも、大宮にライン上で阻止されている。大宮の8本に対して、F東京が放ったシュートは18本。ベルデニック監督が「準備ができていれば、もっと危険な存在になる。2度のチャンスがあれば、1点は決められる選手」という期待の新戦力に、造作無く仕上げられた結果が0−1のスコアになった。
ノヴァコヴィッチ以上に目立ったのが、大宮の守備意識の高さだった。それぞれがスタートポジションを守り、素早くスペースを消した。特にダブルボランチと、両センターバックは危険なエリアを埋め続け、リスクを冒すことなく90分間を終えた。そうなると、守備に時間を取られて攻撃に手間取るはずだが、そこは東慶吾が時間をつくっていた。判断良くボールを保持し、味方の上がりを待つことで押し返すための間を空けた。また、チームとして東が無理なら足元でつなぐか、最前線にボールを当てるというやり方を徹底していた。大宮が勝利する理由は、しっかりと存在していた。
しかし、東京のやり方は間違ってはいなかったはずだ。中央が堅い相手に対してサイドから崩そうと試みていた。実際に、放った18本のシュートも、無理やり打っただけじゃない。人数のかけ方や、スペースに走り込む意識も連なっていた。高橋秀人は「後はサイドから入ったときの精度」だと言う。失点の場面も、ノヴァコヴィッチ一人に対して人数は十分に揃っていた。こだわって突き詰めれば、際限はない。堅い守備を崩すことだって、あのゴールも防ぐことだって不可能ではないはずだ。ネマニャ・ヴチチェヴィッチや、三田啓貴がこの日、リーグ戦で初出場を飾った。まだまだ連係は不十分だが、彼らは好プレーを見せていた。最後尾から最前線まで、もっと言えば、ベンチやその後ろに控えている選手にも伸び代はある。「もっともっと」と言い、やり続けていくしかない。その結果が最終的な順位へと反映される。大宮も降格圏内を脱出し、ここから上を見上げて戦っていくことになるだろう。残り12試合。自分たちの順位は、自分たちで決めるしかない。
以上
2012.08.19 Reported by 馬場康平
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