シーズンも残り3分の1、終盤戦に入ってくるとリーグ戦の目標がはっきりしてくる。最終的にどの順位にたどり着けるのかが見えてくるわけだが、その目標が試合の結果にも影響を及ぼしてくる。今節は『昇格』という明確な、はっきりとした目標を今も見据えている山形と、『プレーオフ進出』という目標がかすんでしまった愛媛との立場の違いが勝敗を分けた。
前半に関しては、その目標が重荷になってしまった山形。「硬さがあった」と山形の奥野僚右監督は表現をしたが、前半の山形は思うようにボールを前に運べなかった。愛媛が前線からプレッシャーをかけて、さらにボランチの村上巧と渡邊一仁が体を張ってブランキーニョをつぶしにかかっていたことも山形が攻撃を封じられていた要因だった。逆に愛媛は攻撃でも、今季初先発の加藤大が右サイドで起点を作りラストパスを供給。その点では、愛媛が狙いを出して自らの展開に持ち込もうとした前半の45分だった。そして、ゴールが生まれたのが37分。愛媛は右サイドでボールを動かすと、赤井秀一のクロスに有田光希が飛び込み先制点を奪った。
しかし、後半に入ると試合の主導権は山形が完全に掌握した。後半の立ち上がりから愛媛の陣内で試合が進むと、山形はセットプレーから次々とチャンスを迎えた。セットプレーで失点を続けている愛媛にとっては嫌な展開。「セットプレーはナイーブになっているのかもしれない」と園田拓也は振り返ったが、それに加えて7試合勝てていない愛媛は、受身に回るとどうしても弱気なプレーが顔をのぞかせる。後半は押し込まれた状況から奪ってもボールをつなぐことができず、再び山形の攻撃を受ける展開に。そして後半21分、ブランキーニョのフリーキックが直接ゴールに吸い込まれ、試合は振り出しに戻った。
さらに山形は愛媛を攻め立てると、後半34分に右サイドを廣瀬智靖が突破。マイナスの折り返しをブランキーニョがきっちりと決めて試合をひっくり返した。「苦しんでいた時期に、苦しんだなりにつかんだ勝利は確実にいい方向につながる」と守護神・清水健太は試合後に語ったが、山形にとっては5試合ぶりの勝利。久々の勝点3で順位をひとつあげたことも大きいが、シーズンの終盤に入って昇格という目標がプレッシャーになりかねない状況で、後半に立て直して逆転につなげた結果を手にしたことは、今後も同じような状況が起こりうる中でも貴重な成功体験になる。これからはさらにプレッシャーがかかる試合が訪れるだろうが、その時にこの試合は大きな自信になるだろう。
シーズンの目標に向かって突き進んだ山形と、目標を見失った愛媛との差が後半の45分に表れたゲーム。一方の愛媛にとっては、同じ失敗を繰り返して8試合勝利から遠ざかってしまった。ただ、こういう状況ではポジティブな要素を見つけて前に進むしかない。バルバリッチ監督は初先発の加藤に合格点を与えたが、次節からは伊東俊も試合に絡んでくるだろう。そうした戦力を推進力に変えて、前半のようなサッカーができる時間を延ばしていくしかない。
以上
2012.08.20 Reported by 近藤義博
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