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【J2:第29節 湘南 vs 東京V】レポート:湘南、東京Vともに新戦力がゴールを奪取。注目の上位対決は勝点1を分け合う結果に。(12.08.20)

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前半を両者無得点で折り返し、勝負は後半に委ねられた。先にスタジアムを沸かせたのはホームの湘南だ。56分、自陣で敵の攻撃を封じ、カウンターに転じる。永木亮太からパスを受けたキリノのシュートは、相手DFのブロックに遭いながらもふわりと弧を描き、ゴールに吸い込まれた。加入から出場4試合目にして挙げた、キリノの湘南初ゴールである。

それにしても労は裏切らないものだ。キリノは前線で体を張り、時に裏へと抜け出して、前半から攻撃を牽引した。ターゲットとして放った存在感は、相手を引きつけ味方をフリーにさせたシーンにも表れていた。守備に流す汗も厭わない。十人十色の湘南に、また新たな個性が光っていた。そのキリノを頂点に、湘南はそれぞれが守備の意識を弛まず、あわせて攻撃へと動き出す意欲も漲らせている。

その姿勢は、遠藤航の言葉に端的だ。
「いつも通り、しっかりとリスクマネジメントして、攻撃的な守備ができていたと思う」

攻勢に出たときは全体を押し上げ、最後尾の遠藤さえもピッチのど真ん中に立っていた。リスクマネジメントの共有はFW陣の守備意識にも明らかだ。攻から守へと切り替わり、ともすればカウンターを食らう危険な瞬間に、たとえば菊池大介がすかさず寄せてボールを敵陣から放さない。坂本紘司が負傷し、前半なかばにピッチを去るアクシデントに見舞われたものの、急きょ入った下村東美もまたキャプテンの思いとともに任を受け継ぎ、湘南が前半から主導権を握っていた。

決定的なチャンスを幾度か重ねた湘南に対し、東京Vのシュートは前半0、試合を通しても3本にとどまっている。ただ、数字の裏を読めば、敵の攻勢を受け止め、数少ないチャンスを狙っていたとも捉えられる。果たしてビハインドを背負った彼らは76分、その機を捉えることに成功する。失点後ほどなくして投入されていたジミー フランサがコーナーキックに頭を合わせた。曰く、「ヘディングは自分の武器のひとつ。うまくフリーになって決めることができた」。前夜、熱があって先発を見送ったという新戦力がワンチャンスを射止めた。

「アウェイで厳しいゲームになるという予想はあった。いまのコンディションを考えると、選手はよく90分、つぎに繋げられるようなかたちで終わらせてくれた」東京Vの川勝良一監督はこの日のゲームをこう総括した。故障もあり厳しい台所事情のなか、掴んだ勝点1は小さくない。新たに手にした決定力もまた、今後に向けて頼もしい材料となりそうだ。

一方、湘南にあっては流れのなかで攻守ともに主導していただけに、悔しさは色濃い。3試合連続となるセットプレーの失点は当然見直さねばなるまいが、「キリノが点を取ったあと、さらに畳みかけられなかった」と遠藤があわせて振り返ったように、あるいは「セットプレーで失点したが自分にもシュートチャンスはあった。そういうところでチーム力が問われる」と下村が語ったように、攻守ともにより高い精度の必要を選手たちは口にした。

「選手たちは120%の力でファイトしてくれたと思うし、湘南らしさもずいぶん出せたのではないかと思っている。この勝点1を前向きに捉えていかなければ次のステップには行かない。こういういちばん厳しい状況のなかで何ができるかしっかり精査したい」曹貴裁監督は悔しさを押し殺しながら次へと目を向けた。開幕から湘南スタイルを貫き、ゲームやトレーニングを重ねるたびに築き上げてきた。より高い精度への希求は、つぎの段階への扉に手をかけていることの裏返しである。

以上

2012.08.20 Reported by 隈元大吾
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