スタッツによると、ホーム松本のシュート数は10本。対するアウェイ熊本は16本。勝点こそ1ずつを分け合う形になったが、内容は熊本に軍配が上がった一戦だった。
前回対戦時は3-0で松本の勝利に終わったものの、戦前に指揮官が「1点を争う難しいゲームになる」と予測した通りの展開となった。実力者、北嶋秀朗こそ右第2腰椎横突起骨折で欠場したものの、藤本主税が復帰し、フォーメーションもそれまでの3-4-2-1から4-4-2へと変更。全く別のチームであった熊本を前に、松本はここ数試合消極的だった試合の入り方は悪くなかった。「ここ数試合に比べると、入り方は良かった」という塩沢勝吾の言葉通り、前半20分までは積極的に前を向き、セットプレーから塩沢のヘッド、また船山貴之の至近距離からのシュートと得点への貪欲な姿勢を見せた。
しかしフィニッシュの精度に欠け、なかなかゴールには結びつかないまま、次第に流れはアグレッシブさを随所に見せる熊本が掴む。齊藤和樹と武富孝介の2トップの動きは良く、特に武富は神出鬼没の動きで幾度となくディフェンスラインをかく乱した。しかし、こちらも決定力に課題があり、0-0のまま前半を折り返す。
松本は「選手同士が話し合って」弦巻健人が1列下がり目の3ボランチ気味の3-5-2に近いシステムへと変更。これで守備は安定した。しかし、「切り替えの早さ、守備から攻撃の良さがあまりなかった」と反町康治監督が総括するように、守備から攻撃への反転がスムーズではなかった。カウンター対策をする熊本の守備が堅く、裏への飛び出しも熊本のセンターバック2枚がきっちりケアすることで厚みのある攻撃とはいかず、長いボールの多い単調な展開となった。67分には状況打破のため、2枚同時交代で勝負を賭けるも、Jリーグ初出場となった新加入のアリソン リカルドはまだ動きに戸惑いが見られるなど、効果的な選手交替とはいかず、そのままスコアレスドローで終了の笛の音を聞くことになった。
松本にとっては、高い評価をすることは出来ない一戦だった。そのなかであえて収穫を上げるならば、86分から投入された藤川祐司が右サイドで躍動するなど今後に期待を抱かせる動きを見せ、白井裕人も90分間破綻なくゴールにカギをかけたことは好材料だ。
一方の熊本は前節・栃木戦に勝利したことで明らかに潮目が変わった。攻守にバランスのとれたサッカーで優位に立つことに成功しただけに、あとは「トライするところはトライしないといけない」(藤本)ところか。サイドを中心に起点を作っていたが、中盤の底から縦にパスが入ればもっと得点の雰囲気は増えただろう。そしてシュート16本で0点というのもいかにも寂しい。北嶋がしばらく戦線離脱となるだけに、最後の部分の精度向上はこれからの“反撃”には不可欠の要素だ。
夏休み最後の公式戦で、この日のアルウィンには11,142名の観客が集い、ピッチ上の選手たちに熱い声援を送った。後手を踏んだ難しい内容ながら勝点1を得たのも事実。多くのファン・サポーターのためにも、これを今後の糧としたい。
以上
2012.08.20 Reported by 多岐太宿
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