激戦、と呼ぶに相応しいゲームは2点奪った京都が横浜FCを振り切り、勝点3を掴んだ。両チームのスタメンは、京都が出場停止の福村貴幸のポジションに酒井隆介を起用し、横浜FCはFWに三浦知良(カズ)が先発に名を連ねた。
試合は、開始早々からホームの京都がアグレッシブにゲームを進めようとした。その中で10分にスコアが動く。左サイドで今季初先発となった酒井が勢いを持って上がりクロスを入れると、横浜FCのDFの足に当たりながらも中央へ。これを宮吉拓実が頭で合わせ京都、先制。この1点で落ち着きが出た京都。出足の早い守備もあり横浜FCの攻撃を中盤で潰し、シュートを打たせなかった。
後半、横浜FCはカズに代えて高地系治をトップ下に入れる。また、全体的に落ち着いてボールを回せる様になり、京都のサイドを突いていく。後半11分、京都・中山博貴が裏に飛び出し、宮吉のシュートを引き出すと、同13分には横浜FC・大久保哲哉がエリア内でスルーパスを受け、迫力ある攻撃を繰り出す。互いに動きのあるゲーム展開になる。後半15分、横浜FCが田原豊を送り込み、攻撃への明確な意思を表明した1分後、京都が牙をむいた。
中盤での攻防から京都がボールを前に送ると、宮吉がマークを背負いながらもターンして前にドリブル。その前にいた中村充孝もかけ出すと、中村のマークの裏を取るスルーパスを宮吉が送る。これを中村がGKの飛び出しを見切って、少し浮かしたシュート。これが見事に決まって京都が2−0とリードを広げる。
これでゲームを支配するかと思われた京都だが、横浜FCの粘りにあう。後半29分、左サイドで大久保が右サイドに振ると、これを武岡優斗がドリブルで持ち込み、マークをかわしエリアの外から左足を振り抜き、豪快に京都ゴールに突き刺す。
このシーン、横浜FCは右サイドバックも援護の走り込みがあり、2対1の数的優位を作っていた。京都DFが簡単に飛び込めない状況、武岡がシュートまで持ち込むという状況を作り出すサイドバックの献身性、それを生かす武岡の判断と、一連の素晴らしいプレーでのゴールだった。
そして、ここから激戦となる。追いつこうと必死になる横浜FC、それを跳ね返す京都。手に汗握る攻防を結果に結びつけたのは京都だった。追いすがる横浜FCを振り切って勝点3を積み上げた。
試合後、横浜FC・山口素弘監督は、敗れはしたものの、京都に対する守備、そして攻撃でも「選手はよくやってくれた」と労をねぎらい、また、やっているサッカーへの自信をのぞかせた。
対して京都、大木武監督は試合内容について厳しい言葉を連ねた。
少し話を変えるが、京都は勝てない時期を乗り越え、今節6連勝を果たした。だが、勝てない時期と連勝中のサッカー、やろうとしていることは変わっていないはずだ。さらに、勝利への意欲や走力についても大きく違うとは思えない。ならば、勝てない時と勝てる時の違いは何か、となると、恐らく「しっかりと京都としてのやり方が出来ているか否か」がポイントになるのではないか。
勝てない時は、チームのやり方を再確認し、歯を食いしばりながら磨こうとする。それが勝利につながり、1勝、2勝していくと自信を深めていく。それが、勝ちを重ねていくと、やり方の部分で甘さが出る様になることもある。大木監督はそれを敏感に察知したではないか。個人的には、選手の戦う意志、球際のたくましさで、大いに納得できる試合だった。その部分では大木監督も肯定はあるだろう、でも、それだけでは勝てない、ということも伝えたいのではないだろうか。
今節、10,464人のお客さんに足を運んでもらった。浴衣の方もいらっしゃり、また子供の姿が本当に多かった。そこで勝利を見せることができたのだ。試合後、大木監督も語っていたが、多くのお客さんに喜んでもらえたことに、何一口を挟むものはない。もし、今節の試合を観て、水曜日の次節のゲームにも興味を持ってもらえたら素晴らしいことであるし、本望だろう。そういう状況を作りだした選手の頑張りを、心から讃えたいと思う。
以上
2012.08.20 Reported by 武田賢宗
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