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【J1:第23節 神戸 vs 鳥栖】レポート:パワーゲーム、決着付かず。シュート数で圧倒した鳥栖は悔しいドロー。(12.08.26)

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もともとハードワークに定評のある神戸だが、西野朗監督の就任以降はポゼッションスタイルもできつつある。一方の鳥栖は、西野監督の言葉を借りれば「パワーサッカーを仕掛けてくる、Jでもスペシャルなチーム」。戦前の予想では、ポゼッション vs パワーサッカーという構図も考えられたが、夏のピッチコンディションの影響もあってパワー×パワーというゲームとなった。

この戦いになると、パワーゲームをずっと続けて来た鳥栖がやはり1枚上手だった。神戸も「ロングボールを使ったパワープレーに対して、個人もいいポジションで対応していましたけれど、全体的にラインで、できるだけ落とさないでプレーしようという中で、うまく対応していました」と西野監督が振り返るように、鳥栖に決定機はあまり作らせなかったかもしれない。だが、シュート数を見れば神戸が6に対して、鳥栖は12。鳥栖のゲームだったと言わざるを得ない。

前半の開始早々から、鳥栖はロングボールを前線の豊田陽平に放り込み、そのセカンドボールを2列目の早坂良太、池田圭、金民友らが徹底的に拾いにかかった。この豊田へのロングボールに対し、神戸は伊野波雅彦とボランチの橋本英郎が挟み込むように競り合い、再三に渡って潰していく。その中で、神戸は16分にロングフィードからチャンスを作った。右サイドでボールを受けた野沢拓也が、DF3人を背負いながら絶妙のタイミングで上がってきた田中英雄へヒールパス。それを田中がミドルシュートまで持っていく。26分には鳥栖の藤田直之のロングスローをカットした野沢が、前線へダッシュした相馬崇人にスルーパスを通し、相馬が左足アウトサイドキックで中央の小川慶治朗へ送るロングカウンターも披露した。だが、それらを含む神戸の攻撃は、鳥栖のセンターバック呂成海とキム クナン、ダブルボランチの藤田と岡本知剛らにことごとく阻止された。また鳥栖もセカンドボールは拾うものの、右サイドの攻防では金が神戸の奥井諒に完全に抑えられ、中央では北本久仁衛と伊野波に二次、三次攻撃も跳ね返され続けた。結局、前半は0-0で終わる。

そして両者一歩も譲らないハードワーク勝負は、神戸が後半から都倉賢=パワープレーというはっきりとしたメッセージをピッチへ送り込んだことで、さらに激しいものになっていった。

後半立ち上がり5分間は神戸がボールを奪ってからの速いカウンターでチャンスをつかんだ。だが、それ以降は鳥栖が有利にゲームを進めていく。51分には丹羽竜平のクロスからDFのクリアボールを拾った早坂が左サイドの金へ流してシュート。57分には藤田からの絶妙なフィードを豊田がボレー。鳥栖にゴールの予感が漂い始める。だが、この展開の中で逆に神戸が61分にビッグチャンスをつかむ。右サイドでボールキープした小川からオーバーラップした奥井へパスが通り、それを奥井がファーサイドの田代へ絶妙のアーリークロスを入れる。ほぼフリーの田代が頭で合わせたが、ここは鳥栖のGK赤星拓に阻止される。試合後、田代が「決めていれば違う結果になったと思うんですけれど」と苦い表情で話したビッグチャンス。このプレーを境に再び鳥栖がゲームの主導権を握ることになる。特に69分に金を下げて、水沼宏太をピッチに送り込んでからは顕著だった。

84分に鳥栖はこの日最大のビッグチャンスを迎える。自陣後方でボールを奪った藤田から右サイドの水沼へ正確なロングフィードが入り、それを水沼がファーサイドの豊田へピンポイントクロス。DFのマークを外して裏へ抜け出した豊田が、得意のヘディングでボールを神戸ゴールに叩き込む。だが、豊田のシュートは無情にもバーを叩いた。クロスを上げた水沼は、試合後にこのシーンを「(ベンチから)前半を見ていて(神戸が)ボールウォッチャーになるのは分かっていた」と悔しそうに振り返った。それくらい決定的なチャンスだった。

結局、最後までハイプレスからのパワーゲームという自分たちのスタイルを貫いた鳥栖が、内容では上回ったと言える一戦。鳥栖・尹晶煥監督は会見で「前線からしっかりプレスをかけて相手を押し込めた。それを前半の最後や後半に入っても続け、チャンスも作れた。そのチャンスを決めきれずに勝ちを持ってこられなかったけれど、90分間、最後の最後まで一生懸命戦った選手たちに感謝したい」と述べた。スコアレスドローだったものの、鳥栖にとっては連敗を止め、迷い無く自分たちのサッカーを貫いた収穫のある試合だったと言えるかもしれない。

ただ、今日の一戦に関して言えば、残暑厳しい中で90分間ハードワークを続けた両チームの選手たちを賞賛したい。やるかやられるかという緊張感といい、最後まで諦めない姿勢といい、真っ向勝負とはこういうゲームを言うのかもしれない。

以上

2012.08.26 Reported by 白井邦彦
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