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【J2:第31節 千葉 vs 水戸】レポート:前へ速く仕掛ける攻撃と球際の激しいブロック守備という変化を見せた千葉が快勝。水戸は攻守両面でのミスが響いた。(12.08.27)

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この日の千葉サポーターの様子はいつもと違っていた。ゴール裏スタンド前には今季から掲げられている『男みせろ2012』という手描きのもの以外の横断幕がなく、ピッチでの練習時やスタメン発表時は大きな拍手は起こったものの選手のコールはない。選手入場時もいつも歌われている応援歌は歌われず、千葉がJ1残留争いをしていた時に千葉に関わる全ての人が一つになるためにコールされていた『WIN BY ALL!!』のみ。そして、試合が始まると『あっこちゃん』のチャント(奇しくも今節が千葉に復帰後初のフクアリでの試合出場だったMF谷澤達也が、過去に一番好きなチャントと言っていた)がエンドレス状態で歌われ、試合を通してのチャントは2曲だけだった。
それは、8月に入ってから2分2敗で7位に沈んだ千葉を思っての危機感から、選手の奮起を促すべく鼓舞するための通常とは違う応援のようだった。

そして、試合が始まると、千葉の選手もまた勝利なしの4試合とは違う姿を見せた。前へボールを運ぶのに手数と時間がかかりすぎて相手に脅威を与えないパス回しではなく、前線の選手の動き出しを活かしてディフェンスラインの背後のスペースを狙うシンプルで速い攻撃。ボールホルダーに激しくプレスをかけ、球際の激しさを見せた守備。ボールへの執着心を剥き出しにしてセカンドボールを拾い、1対1の局面でファイトして、労を惜しまずに走り回った。
もちろん『ハードワーク』や『粘り強さ』は水戸の特長でもあり、水戸も最前線のFW鈴木隆行から千葉のボールホルダーに激しくプレスをかけていた。だが、最終的には千葉が水戸を上回ることができた。千葉には、パワフルかつリズミカルなドリブル突破で1人でも局面を打開できる谷澤がいて、彼の前への仕掛けが千葉の攻撃を活性化させたからだ。今季初ゴールのDF竹内彬のヘディングシュートはもちろん見事だったが、そのゴールをお膳立てしたCKの谷澤のボールも素晴らしかったし、そのCKを得たのは谷澤のドリブル突破だった。千葉の追加点のFW藤田のゴールをアシストしたのも谷澤で、それもドリブル突破から。谷澤のドリブル突破は、試合後の選手が異口同音に語った『前への意識』の象徴の1つであり、勝てなくなっていた千葉に足りなかったアクセントだった。そして、2得点の藤田が見せた、パスを出してからのゴール前への入り方のタイミングやコースの工夫も、やはり点を取るために必要なアクセントだったのではないだろうか。

ディフェンスラインの背後のスペースを狙って攻めた水戸だが、パスの精度を欠き、パスの出し手と受け手の呼吸が合わない場面もあった。決定機をなかなか作れない中、選手交代で打開を図り、72分にはいずれも交代出場のFW岡本達也のクロスからFW山村佑樹がヘディングシュートを打つが、ゴールポストの横に外れてノーゴール。最後まで鈴木は必死にボールを追い、例えば61分には走っても間に合わずゴールラインを割りそうなロングパスをDF市川大祐が追ったように、水戸らしさも見えていた。だが、守備時のマークも含め攻守両面のミスの多さが結果に響き、次節はミスの減少を求めて仕切り直しとなる。

試合を通してピンチがなかったわけではないが、攻撃的なサイドバックの市川と対峙するサイドに入ったMF坂本將貴の守備意識の高さが光ったように、今節の千葉はブロック守備が機能したのも大きかった。だが、今節の攻守では通用しない対戦相手もいるだろう。ロングパスで速く攻めるだけではなく、ショートパスをつなぐ形でもフィニッシュまで持ち込む術を工夫して増やし、状況に応じた使い分けで得点したい。だが、攻撃も守備もまずは今節で見せた球際の強さと走力、そして『前への意識』があってこそ。どんなに苦しい状況になっても恐れることなく、前へ向かって戦う姿勢を忘れずに挑み続けてほしい。

以上

2012.08.27 Reported by 赤沼圭子
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