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【J2:第31節 山形 vs 町田】レポート:山形が前半だけで3得点。町田を圧倒して4位に浮上!(12.08.27)

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6位・山形と20位・町田。順位こそ違えど、最近は好調なチーム同士の対戦で僅差の試合も予想されたが、蓋を開けてみれば山形の快勝。「前半はハラキリものだったと思います。おそらく、このシーズンで一番悪い前半だったと思います。何もしなかった、できなかった、そういう前半でした」。発せられる町田・オズワルド アルディレス監督の言葉からも、ワンサイドで終始した悔しさが滲んでいた。

前節と同じメンバーで臨んだ山形はキックオフ直後からペースを握る。3連戦の3試合目だったが、「ただ回しているだけというのではなくて、今日は本当にボールが前に入りましたし、それに対して絡む選手もいましたし、追い越す選手もいた」(小林亮)と運動量でも申し分なく、しっかりとボールを動かしながらゴール前まで攻め込んで行った。先制点は20分。町田の縦のフィードを左サイドでカットした前田和哉が背後からプレスを受けながらキープ。中島裕希の足元でシンプルにはたかれたボールを永田亮太がクロスにすると、林陵平がインサイドでしっかりと落としたボールを秋葉勝が中央でコントロール。林に付いていた加藤恒平が慌ててアプローチしたが、素早く振った右足がゴールネットを揺らした。秋葉はこれがJ通算288試合目の出場。「ミスター・モンテディオ」高橋健二コーチが持つ記録に並ぶメモリアルな試合で、周囲にも注目されていたが、その秋葉が先制点を決めたことでスタジアムのボルテージは一気に上がった。

ホームチームの猛攻を受けた町田は、「入ったところで潰されて、ラインが上がらないまま、また守備になるという繰り返しだった」(田代真一)と苦しい展開が続いた。大きなサイドチェンジが左サイドでフリーの藤田泰成に渡ることもあったが、「飛んできてから対応すれば問題ないこと」(秋葉)と、ボールサイドへの寄せと中央のパスを封じることに専念した山形の守備を前に、前方へはラフなボールしか配球できなかった。ようやく中盤で前を向けた場面でも、タイミングのズレたパスが何度もタッチを割ったり、相手に渡ったりするなど、「幼稚なミスからボールを奪われるというシチュエーションが多かった」(アルディレス監督)。それでも30分を過ぎると、ややペースダウンした山形に対し、町田もようやくパスが連続してつながりはじめる。34分には中盤で受けてターンした勝又慶典が西河翔吾をかわしてさらにドリブルで突破を図る。ここは山形の守備に囲まれてシュートを打つことはできなかったが、37分にはイ ガンジンのサイドチェンジを受けた藤田が中に切れ込みシュート。あと数センチ内側であれば同点という展開だったが、ポストに当たったシュートはゴールラインに鋭角に跳ね返って終わった。

山形が欲しかった追加点を手にしたのは41分。右サイドに開いてボールをキープするブランキーニョを追い越し、小林が縦の飛び出しでスペースを陥れると、グラウンダーのクロスをニアで受けた中島が中へ持ち出して左足シュート。GK修行智仁の脇を抜けてポストに跳ね返ったボールを、林が押し込んで追加点を挙げた。林は移籍後初ゴール。直後の山形の決定機で、中島との接触で修行が負傷交代するアクシデントが発生。町田は急遽、相澤貴志にゴールマウスを任せたが、5分に設定されたアディショナルタイムが終わる前に、山形は小林のクロスに飛び込んだ中島のヘディングが決まり、3点目をゲット。「3点食らいましたけれども、それも時間の問題だったというくらいの悪い取られ方からのカウンターだった」(アルディレス監督)。町田にとっては悪夢のような前半がようやく終わった。

後半開始から、アルディレス監督は残り2枚のカードを使い切り、負傷でパフォーマンスが上がらないイに代えて津田和樹を、ボールが収まらなかった勝又に代えて北井佑季をピッチに送った。「後半はよりボールを支配してゲームを支配するというなかで、少しはよくなった」(アルディレス監督)と相手陣内でのプレーも増えたが、しかし、山形を追い詰めることはできなかった。その山形も、追加点を重ねることはできなかったが、奥野監督は先の2試合で蓄積した疲労も考慮に入れながら、「前半が3-0で、端から見るとラクなようなスコアに見えるかもわかりませんけれども、その分、相手も勝点を奪いにくる、なんとか勝点を取りたいという気持ちがありますから、そこに対してしたたかに自分たちがバランスを崩さず追加点を狙う作業でいいと思う」と、トドメの4点目を無理に狙わせること以上に、あくまでもバランスを重視させた。

実際、後半のアディショナルタイムには、北井の個人技で町田が一矢報い、山形は無失点で試合を終えることはできなかった。やや相手にペースが傾きかけた後半を、秋葉は「相手もハーフタイムで(交代枠を)3枚使ってましたし、もっとシンプルにサイドを変えたり、そういう試合巧者の戦い方ができなかったのが残念です」と振り返った。しかし、90分トータルでは快勝の範囲。奥野僚右監督は「相手の出方によっても、自分たちの攻め方を工夫したり、守り方を内部で工夫する。中で解消できる部分がいっぱいありました」と選手たちの修正力・対応力の高さを称讃した。3連戦を2勝1分けの山形はこれで4位に浮上。クラブスローガンとして掲げ、チームのプレーの指針でもある「連動・連携・連結」は、着実にその深化を見せている。

以上

2012.08.27 Reported by 佐藤円
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