前節千葉戦、試合終了後の整列の際に鈴木隆行が見せていた茫然自失の表情が、敗戦の重さを表していた。
第29節からの上位3連戦に向けて、水戸は「今後を左右する連戦」(本間幸司)という覚悟を持って臨んだ。第29節大分戦で劇的な逆転勝利をおさめて勢いに乗ると、第30節横浜FC戦では前半のうちに数的不利になりながらも最後まで相手を追い詰め、敗れはしたものの、内容は悲観するものではなく、勢いそのままに連戦の最終戦となる千葉戦に臨むことができた。
しかし、序盤から執拗にロングボールを蹴り込んで攻めてくる千葉の勢いに押されて、守勢に回ってしまった。そして9分にCKから失点すると、41分にはサイドを崩されて、追加点を許してしまう。前半だけで2点のビハインドを負った水戸は後半反撃を試みるも千葉の力強い守備に跳ね返され、84分にカウンターからダメ押しの3点目を決められて勝負は決した。「すべてうまくいかなかった」と柱谷監督は唇を噛んだように、まさに完敗。「J1昇格のために絶対に負けられない試合」という位置付けで臨んだ選手たちにとってショックの大きな敗戦となった。そして、順位を14位まで落とし、気がつけば下位争いに巻き込まれようとしている。
果たしてもう一度上位に食い込むのか。それともこのままズルズル順位を落としてしまうのか。今節は前節のショックを断ち切って、もう一度強く戦うスタンスを持って戦うことができるかが問われるゲームとなる。
相手は現在19位の鳥取。22位の富山との勝点差は5だが、21位の町田との勝点差はわずか2。今季のJ2は降格の可能性があるだけにチームには相当危機感が募っていることだろう。一日でも早く下位争いから脱したいという思いが強いはず。今節に向けても相当高いモチベーションで臨んで来ることが予想される。
思い出されるのは前回対戦だ。水戸が圧倒的に攻め込みながらも鳥取の粘り強い守備をなかなかこじ開けることができず、ミスから2失点を献上。後半1点を返すが、そのまま鳥取に逃げ切られてしまった。今節も粘り強い戦いで水戸から勝点を奪おうとしてくることだろう。さらに7月に千葉からFW久保裕一が加わり、前線に柱ができたことで攻撃の迫力が増すこととなっている。久保の力を生かした速攻で水戸の守備を脅かしてくるに違いない。
水戸に前回対戦の悔しさを忘れている選手はいないだろう。ゴールデンウィークの4連戦を3勝1敗という好成績で乗り越えて、意気揚々と鳥取に乗り込みながらも、敗戦を喫してしまい、そこから水戸は調子を落としてしまった。「前回負けている。借りを返したい」と柱谷監督が力を込めるように、今節はリベンジを果たさなければならない一戦である。前回対戦は敗戦から調子を落としただけに、今回は勝利を挙げて、浮上のきっかけにしたいところだ。
代健司は語る。「昨年はここからズルズル行ってしまった。だから、昨年とは違うというところを見せないといけない。みんな、前に進む意識がある。J1を目指すのは厳しい状態になったけど、チャンスがなくなったわけではない。諦めずに戦いたい」。その言葉をチーム全体で共有してピッチに立てるか。現実的に6位以内に入ることはかなり厳しい状態となってしまった。しかし、「1つ1つしか前に進めない。とにかく目の前の相手を倒していくしかない」(輪湖直樹)。希望を諦めずに戦い抜くことができるか。今節は、水戸の「戦う集団」としての真価が問われる試合となる。
以上
2012.09.01 Reported by 佐藤拓也
J’s GOALニュース
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