※大分側プレビューはこちら
最初は何節くらい首位でいられるのか、結構フレッシュな気分で椅子に座っていたけれど、第26節(7月29日)から第31節まで陥落することなく、9月最初のリーグ戦に首位で臨むことになった。そして、この最初の試合が「J2天下取り物語」の相手大分。発音が同じなので以前、甲府が「天下鳥」という魅力的なスポンサーに応援してもらっていたことを思い出す。また応援してもらえるようになればいいのだが、甲府もそれにふさわしいクラブに進化・成長しなければならない。そのためにも3度目のJ1昇格は果たさなければならないマスト・ハードル。甲府と大分は、イスラエルとイランのように緊張した関係ではないのだが、今節は大銀ドームに何万人入ろうと、大分サポーターが肩を落とすことになろうが、甲府の夢のためにがっちり勝点3を持って帰る。
「J2天下取り物語」の勝点をみると、アウェイの来場者数と第2戦の試合結果がどうなるかは判らないが、それ以外では甲府優位な流れ。リーグ全体の平均入場者数でも2位の松本(9693人)と接戦ながらも現時点では甲府が9926人でトップ。甲府のホームゲーム(第24節)に松本サポーターが4000人上来てくれたことが大きい。ありがたやありがたや・・・。で、順位でも平均入場者数でも首位というのは非常に嬉しいし、クラブ消滅の危機だった2000年頃から甲府を知っている人なら、山梨県におけるヴァンフォーレ甲府の立ち位置と認知度の変化やクラブの成長を改めて感じるはず。同時に、同じJリーグ仲間の大分が、最大の危機を乗り越えつつあることも嬉しく感じている。勝点は譲りたくないライバルだけど、お互いに地元で愛され、地元に貢献できるクラブでありたいという思いは同じ。
前節の横浜FC戦の前から城福浩監督はフェルナンジーニョの起用方法でいくつかのオプションを試してきた。ここまでフェルナンジーニョを後半から使ってきたが、新しいオプションには前半からの起用も含まれている。フェルナンジーニョが来日後約1ヶ月経ち、コンディションが向上して甲府に慣れたことも先発起用に踏み切る理由になるが、最大の理由は「ダヴィしか点を取れない」と言われてきたなかで、この課題を解決できるスキルを持つのがフェルナンジーニョだということ。ツートップ、縦関係のツートップ、3トップのワイドなどいろいろ考えられるが、ボールを失わず機動力もあるフェルナンジーニョが一番生きるのはやはりトップ下ではないだろうか。そして、彼が生きれば井澤惇、柏好文、堀米勇輝ら2列目の選手も生きる。この結果、決定機が増えれば甲府の得点力もアップするだろう。今節はフェルナンジーニョが先発する可能性がある甲府の新布陣が機能するかどうか。丸谷拓也が軸となるであろう大分のボランチが、甲府のトップ下をどうケアしどう封じようとするのかも意識して見たい。
城福監督はここから第3段ロケットに点火して昇格レースで逃げ馬になろうと考えているようだが、同時にそれが難しいリーグであることも覚悟している。横浜FC戦の翌日には、「(この先)甲府が首位から陥落する可能性もある」と話しており、危機感が緩むことはない。ただ、最良のパターンは新システムが機能して、安定感を増しつつある守備力に攻撃力の増加が加わって勝点差を開いて逃げ馬になること。その最初の挑戦がアウェイ大分戦。どういう結果になっても楽観も悲観もしないが、首位のチームにしかない危機感を利用して最後の加速を目論んでいるのが今の甲府だ。特に攻撃的なポジションの選手が多いので、選手自身の生き残りの競争でもある。交代出場する攻撃的なポジションの選手がどれだけ必死に戦うかも見所になるだろう。
昇格が決まっているわけでもないが、「このままいけば昇格できそうだ」という思いを押さえ込むことも難しく、見る側として振る舞い方が難しい。気の緩みがなかったとしても、今後連敗がありうるリーグであることは分かっているが、やっぱり勝つイメージしか湧いてこない。日曜日のナイトゲームなので現地組の甲府サポーターは少ないだろうが、日曜日の夜、大分市内の飲み屋を大いに儲けさせる代わりに、バッグの中に勝点3と日田の柚子胡椒を入れて機嫌よく帰ることができる旅にしよう。
待ってろ、とり天。いつが旬なのか知らないが、関アジや関サバもいてくれ。
以上
2012.09.01 Reported by 松尾潤
J’s GOALニュース
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