パン、パパン、パンパンパパン、「ヘイ」!
仙台サポーターがこの手拍子とコールをするときは、応援するチームがじっくりパス回しをしてチャンスをうかがうことが多いのだが、2012年J1第24節の仙台vs川崎Fはこのコールが印象に残る展開となった。
川崎Fはシーズン途中の就任ながら、風間八宏監督のもとで足下のボール支配率を高め、そのなかでチャンスを見つけて突いていくスタイルを浸透させようとしている。スタイル構築の途上ながら、確固たるボール支配のもとでゴールを畳みかけてつかんだ勝点も少なくない。この日も序盤は仙台にペースを握られながら、32分に山瀬功二が相手の守備をずらし、中村憲剛がそこでできた相手の隙を突いてのループパスで「センターバックとサイドバックの間が空いていたので狙いました」という登里享平の先制点をアシスト。理想的な展開でゲームを進めた。
しかしこの日の川崎Fは、その後に畳みかけることはできなかった。「急ぎすぎてしまった。じっくり攻めて良かったところでもミスパスが多かった」と風間監督は試合後に振り返ったが、仙台がボールを「握り返した」ことも大きな要因だった。
この日の仙台は相手がボールを保持したときには「彼らのストロング(長所)である足下のパスワークからのコンビネーションは、気持ちよくやらせてはダメ」(手倉森監督)というポイントのもと、組織的守備を徹底。そして自分たちが主導権を握るためには、自陣で構えて相手にボールを「持たせる」よりも、「ボールを握り返すこと」(手倉森監督)を選択。一度マイボールになったら梁勇基や太田吉彰、ウイルソンといった選手が巧みにボールを動かして、川崎Fが攻撃態勢から戻りきらないところのスペースを突いてチャンスを作っていった。冒頭の手拍子とコールが印象的に響いたのはそのためである。
そして、仙台は流れの中だけでなく、流れの中でもぎ取ったセットプレーを決める力があった。56分、仙台が立て続けにCKを奪うと、先の失点にからんだ田村直也が「カクさん(角田)からいいボールが来たので触るだけだった」というJ1初得点を決めて試合は振り出しに。さらに、63分に仙台が川崎Fゴール正面の近距離でFKをもぎ取ると、名手・梁勇基が「蹴った瞬間の感触が良かった」というキックで直接これを決めて逆転。ペースを握っているうちにつかんだチャンスを、確実にモノにした。
川崎Fはジェシ投入で後方の守備を安定させ、その後は攻撃の選手を早めに投入して逆襲をはかるが、仙台に中央でもサイドでもパスを断ち切られて決定機を潰された。途中出場の小林悠が抜け出してチャンスを迎える場面もあったが、林卓人のファインセーブでゴールには結びつかなかった。
結果は2-1で仙台が勝利した。夏場は思うようにボールを回せず苦しい時期も経験した仙台だが、この日はボール回しの得意な川崎Fのお株を奪うようなプレーを披露。得意のカウンターなども合わせて攻撃の手段が増えていることで、「チームのレベルアップを実感している」(田村)という手ごたえを得ている。この結果により首位に立った状態で、仙台は次節、広島との「頂上決戦」を迎える。
以上
2012.09.02 Reported by 板垣晴朗
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