後半戦勝ちがない岐阜は、スタメンを大きく入れ替えてきた。出場停止の関田の代わりに、最近はずっとベンチからも遠ざかっていた池田昇平を起用。右サイドバックにはMF地主園秀美を、1トップにはダニロを起用。フォーメーションも千葉戦と同じ、服部年宏をアンカーに置いた【4-1-4-1】を採用してきた。
この布陣は東京Vとの前回対戦でも採用した形。この時は1-4で敗れたが、サッカーの内容自体は悪くはなかった。
「相手のストロングポイントを消すことを意識しました。左の飯尾(一慶)選手と右の西(紀寛)選手の両MFが中に入ってくる。そうなると、ダブルボランチにすると、相手のダブルボランチにプレスが掛らなくなり、ボールを回されてしまう。この現象を作らせないようにあの形にした。ウチの両サイドの染矢と廣田に関しては、いつもはサイドに張ってやっているが、守備になった時に逆サイドにボールがある時は、中に絞れと言いました」(行徳浩二監督)。
つまり両MFをダブルボランチでマッチアップをさせてしまうと、相手のダブルボランチに自由を与えてしまう。ならばリスク覚悟で、ワンボランチにして、シャドーの2枚でボランチにプレスをかけて、相手のポゼッションの起点を奪おう。そこを交わされても、両MFの一方が守備時に中に入ることで、相手のサイドの中の侵入をケアしようという意図だった。
この明確な狙いが奏功するか。結果的にはこの采配は的中をした。立ち上がりから岐阜は、4シャドーが積極的に前に出て、高い位置からプレスを仕掛けて行く。だが、これを土屋征夫と高橋祥平の2CBが冷静に対応し、チャンスを作らせない。反対に東京Vは前線のジミー フランサと阿部拓馬の2トップにボールを送り込もうとするが、両サイドの運動量、ダブルボランチの追い越しが足りず、単発に終わる。これは裏を返せば、岐阜のプレスが効果的だったことを示す。
前半残り10分から試合は少しずつ動き出す。岐阜はあまり押し上げて来ない東京Vの両サイドバックの前に出来たスペースを突くべく、地主園とMF廣田隆治の突破力ある2人を配置した右サイドを活用し始める。すると、徐々に東京Vの守備も岐阜の右サイドに寄り出し、逆サイドが空いてきた。39分には右サイドを仕掛けた廣田に対し、左からDF田中秀人がダイアゴナルラン。これにDFが引き付けられたことで、左サイドのMF染矢一樹が空いた。廣田はそこにグラウンダーのサイドチェンジを通すと、染矢のグラウンダーのクロスに田中が飛び込むが、僅かに届かず。シュートで終われなかったが、崩しの形としては完ぺきな形であった。東京Vも42分に左サイドでFKを得ると、MF中後雅喜のキックをニアで高橋がドンピシャヘッド。これはバーを直撃。共に終盤にチャンスを作ったが、試合は0-0の後半へ。
後半、岐阜は前半終了間際の勢いをそのままに、積極的なプレスから攻勢に出る。両サイドハーフが高い位置に張り出すと、井上平と樋口寛規の2シャドーも高い位置をキープし、1トップのダニロとの距離を詰める。こうすることで、さらに【4-1-4-1】システムのメリットが生まれた。メリットとはバイタルエリアに置いて、数で圧倒できること。相手のDFラインとボランチの間でボールを受け、さらにパスコースがいくつもあることで、必然的にチャンスを作る回数が増えてきた。
そして、67分、バイタルエリア中央で廣田からのボールを受けた井上が、中央から右に少し流れたダニロの動きを見逃さず、対峙したDFの逆を突くノールックパスを送り込む。これをダニロがダイレクトでゴール右隅に蹴り込み、岐阜が待望の先制点を奪う。
「周りとの距離が近くてすごくやりやすかった」と井上が語った様に、このシーンこそ廣田、井上、ダニロの3人がバイタルエリアで絶妙な距離にいたからこそ、連動出来たのであった。
これで勢いは岐阜の下に。地主園と廣田の右のコンビが、ダニロとうまく連動をして、面白いように右サイドを切り崩していく。完全に右サイドを制圧した岐阜は、運動量が一向に上がらない東京Vに対し、試合を優位に進めて行く。最後まで岐阜は運動量を落とすことなくイニシアチブを握り続け、1-0の完封勝利。実に11試合ぶりの勝利をホームで挙げた。
岐阜にとっては上昇気流に乗れそうなきっかけをつかむ勝利。しかし、ここで浮かれてはいけない。岐阜と近い順位にいるチームは、最近一様に調子が良く、まだまだ予断を許さない状況が続く。今日の勝利は確かに内容的には今季一番の出来だった。しかし、「相手のダブルボランチがずっと一定の距離で動きが少なかったので助かった」と井上が語った様に、東京Vの組織がノッキングを起こしていたのに助けられたことも事実。もしこれが動きのあるボランチが居たら…と捉えたら、決して楽観できる結果ではない。勝って兜の緒を締めよ。この勝利を今度こそ次に繋げよう。
以上
2012.09.03 Reported by 安藤隆人















