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【J2:第32節 横浜FC vs 栃木】レポート:ゲリラ豪雨がもたらす難しい状況の中、高次元のディシプリンを発揮した栃木が握ったペースを離さず貴重な勝点3をもぎ取る。(12.09.03)

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試合開始予定の18:00の少し前から、ニッパツ三ツ沢球技場をゲリラ豪雨を襲う。最初は雷がなかったため予定通り選手入場まで行われるが、雷鳴が轟き試合開始が18:30に延びる。期待通りに雨は止み、18:22ぐらいから選手は再びウォーミングアップを始める。水が浮き、ボールが止まってしまうエリアがあれば、一方ではボールが走るエリアもある。選手としては、プレーの選択に細心の注意が必要な難しい状況で、試合は開始された。

当然のごとく、両チームともセーフティーファーストでゲームに入る。ピッチコンディションを確かめながら、自らのスタイルがどこで生かせるかを試していく。この探り合いで先手を取ったのは栃木。松田浩監督が武器と語る組織的な守備から始まる攻撃というスタイルが生きる。このスタイルを生かしたのが、栃木移籍後初出場となった田中雄大。守備においても積極的にボールにプレッシャーを掛けるだけでなく、攻撃においても左サイドを制圧する。そして、田中が作り出したリズムの中、13分に栃木が先制する。押し込まれた横浜FCが明確にクリアができない中、ボールを拾った菊岡拓朗がワンタッチで中央に走り込んだ杉本真にパスを送り込むと、杉本が冷静に相手DFをかわしてゴールを決める。さらに24分、田中が鋭い右コーナーキックを蹴ると、そのこぼれ球をサビアが押し込む。初出場の田中、20試合ぶりスタメンの杉本、そして4試合ぶりスタメンのサビアが躍動し、雷のような鋭さで横浜FCに重くのしかかる2点を積み重ねた。横浜FCも、「ピッチ状態もよくなって、ベンチからも指示があって回す意識ができてからリズムができた」(寺田紳一)というように、前半の終了間際にシュートチャンスを作るが決めきれず。前半を0-2で折り返すこととなる。

後半、横浜FCは大久保哲哉に変わって武岡優斗を投入し、栃木の組織的守備をパスワークとドリブルでこじ開けにかかるが、57分栃木が再びセットプレーから追加点を得る。菊岡のフリーキックに対してキーパーが触ったボールが當間建文の前にこぼれてそのまま押し込む。この決定的な3点目があれば、栃木にとっては試合をコントロールするには十分だった。高いレベルのラインコントロールがなされた4-4-2の組織的な守備が機能し、同じく4-4-2の横浜FCの攻撃を中盤から封じ込めることに成功。選手同士のパスワークを分断した。横浜FCも67分に、この閉塞を打開するために、小野瀬康介と渡邉将基を投入し、3-4-3のような形にしてミスマッチを起こそうとするが、反撃は小野瀬の個人技からのパスを田原豊が決めた1点に止まる。「ディシプリンを攻守にわたって感じさせるゲームをやった」(松田監督)栃木が、雨という難しいコンディションを味方につけた勝利だった。

試合を分けた点は、上記のディシプリンという言葉に集約される。まずは、複雑なピッチコンディションの中で、どのようにプレーを選択するか。組織的な守備を優先した栃木と、パスを回せると見てポゼッションの意識も加えた横浜FC。難しい状況の中で、プレーをよりシンプルにした栃木の方が、局面で先手を取ることになった。そして、そのシンプルさはプレーでの思い切りに繋がった。「集中をしていないということはないが、こぼれ球で一歩先に行くとか、より集中を高めないといけなかった」という堀之内聖の言葉にあるように、こぼれ球の反応、局面での出足でも栃木が横浜FCを上回った。このような状況で「出たくてウズウズしている選手」が「魂を込めた」プレーをできたと言える。栃木のシンプルなやりかたは難しい状況によりフィットした。「それ(難しいコンディション)に対応したプレーでリズムを掴むまでに先に失点した」という山口監督のコメントは、ゲームにおけるディシプリンの差を象徴している。

横浜FCにとっては、優勝、2位以内を狙うという意味では痛い敗戦であることは間違いない。しかし、ここまで敗戦から学んで、それを糧に連勝を果たしてきたのが今シーズンの復活に繋がっている。1点目の失点につながる過程は、昇格を果たすチームとしては未熟な部分がある。だからこそ、再び繰り返さないことが重要だ。「失点シーンは今までできていた(守れていた)部分なので、もったいない。変えるよいうよりは、今までできたことを継続すること。チーム全体で守ることを確認したい」と、もう一度連勝中のプレーに立ち戻ることが重要だ。一方、栃木にとっては、積み重ねたサッカーを表現しての勝利。再び捉えたプレーオフ圏内に向けて、チームとしての成長を確信できる試合だっただろう。

ハーフタイムの山口監督のコメント「こういう状況の時に何が出来るか。チームとしても選手としても価値が問われているぞ!」は、この試合だけでなく、残りの10試合の厳しい戦いにも向けられている。さらに言えば、横浜FCだけでなく全てのチームの残り10試合に問われていることだろう。横浜Fは足りなかったものを認識し、栃木は重要なディシプリンを深める、そういう試合だった。

以上

2012.09.03 Reported by 松尾真一郎
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