ブロックを敷く相手をどう崩すか――。ある意味、全世界のサッカークラブ共通の課題だ。特に堅守を基本に、攻守の切り替えの早いサッカーで勝点を積み重ねてきたチームにとっては難問だろう。
アウェイの草津は、アレックス ラファエル・熊林親吾が負傷で戦線離脱するなど厳しい台所事情。一方、ホームの松本は、塩沢勝吾・船山貴之・ユン ソンヨルがコンディション不良で木曜日まで別メニュー。特に前節に腰を痛めた塩沢は「まだ痛みはある」という状況だが、「試合の頭から出る準備をしてきた」との先発出場に意欲を燃やしており、その熱意を買われた形でのスタメン起用。蓋を開けてみれば、松本はほぼ試合前の予想に近い先発メンバーとなった。
試合の入り方は悪くなかった。久しぶりのホームでもある松本は、入場者数11634人のうちの多数を占めるファン・サポーターのために積極的な出足を見せる。17分には多々良敦斗からのサイドチェンジを受けた玉林睦実が好機を作り、その6分後にもFKの流れから得点を狙う。しかし、ブロックを敷く草津の最終ラインがしっかりとケアすることでシュートまで持ち込むことが出来ない。その後も松本はショートカウンターや遠目からのミドルシュートでこじ開けようと試みるが上手くいかず、前半は0-0で折り返す。
後半、序盤からリズムを作ったのは草津。開始直後の速攻を含め、徐々にギアを上げてくる。すると57分に遠藤敬佑からボールを受けた櫻田和樹がヒールパス、それを強烈なミドルシュートでねじ込み均衡を破ったのは松下裕樹。その3分後にはセットプレーのチャンスを「一番背の高いやつ」(反町康治監督)こと中村英之に頭で叩き込まれた。僅か3分の間に、ミドルとセットプレーで2点のビハインドを背負ってしまった。反町監督も状況を打開すべく、矢継ぎ早に木島徹也・チェ スビンといった攻撃的なカードを切り前線の活性化を試みるも、草津は「ゴール前に釘付けになる状態」(副島博志監督)で守りきった。松本がフィニッシュの精度とゴール前での意外性に欠けた部分はあるにせよ、しっかりと耐え切った草津の堅守を評価すべきだろう。
0-2というスコアに終わった一戦だったが、松本のパフォーマンスがこれまでと大きく劣っていたわけではなく、指揮官が言うように「草津の術中にはまった」90分間だったと言える。ボールを保持する時間はあっても、それがゴールに直結しなければ相手には大きな痛手とはならない。持たされたことによって、逆にカウンターという自分たちの得意な形に持ち込むことが出来なかった。草津にとっては、「なかなか自分たちのサッカーは出来なかった」と金成勇が口にするようにもっと繋いで崩す本来のサッカーをしたかったところだろう。しかし、ミドルシュートとセットプレーから効率的に2得点をあげ、松本を退けてアウェイの地で大きな勝点3を得た。「(リーグ序盤よりも)お互いに助け合うシーンが出てきた」(副島監督)、「耐えるところは耐えて、皆がサボることなくやっている」(金)と前向きな言葉が口をつくように状況は明らかに良い。毎年秋口になると調子を上げてくる草津だけに、残り10試合更に上を目指していきたいところだ。
松本はここまでボールを奪ったら素早く前線に運ぶサッカーが機能していた。アタッカー陣の動きも良く、ゴールという結果も生まれていた。そんな松本が直面した新たな壁。今後はこの日の草津以上の“攻めないサッカー”で対峙してくるチームが増える可能性がある。「(今節の草津のような)そういう戦術をとってくるチームも出てくると思うので、今後そこでどうするかが大切」(塩沢)。さらに一回り大きくなるために、この壁は乗り越えなければならない。
以上
2012.09.03 Reported by 多岐太宿















