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【J2:第32節 水戸 vs 鳥取】レポート:苦境で迎えた一戦。水戸は泥臭く戦い抜き、希望をつなぐ勝点3を獲得。鳥取はチャンスを生かしきれず悔しい敗戦。(12.09.03)

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水戸は苦境の中でこの一戦を迎えた。「今季を左右する試合」(本間幸司)という意気込みで臨んだ前節千葉戦で完敗を喫したことによるショックは大きなものであった。活気あるムードで練習に取り組んでいた1週間前と同じチームとは思えないほど沈んだ雰囲気で練習が行われていた。そして、守備のリーダーである尾本敬の出場停止に加え、吉本一謙が負傷中。さらに先週に入ってから小澤司、ロメロ フランク、鈴木隆行がコンディション不良により別メニュー調整を余儀なくされた。フランクと鈴木隆はなんとか先発出場を果たしたものの、2人とも動きが重く、41分にフランクが交代を命じられ、78分には鈴木隆もピッチを退くことに。メンタル的にもフィジカル的にも追い詰められた中での一戦。相手の鳥取は残留争いから抜け出そうと死に物狂いで向かってくることが予想されただけに苦戦は必至だった。

試合開始から水戸の動きはおかしかった。中盤のメンバー構成が変わったことで、水戸の武器である展開力は影を潜めた。中盤でパスミスを繰り返し、鳥取に高い位置でボールを奪われてはショートカウンターから何度もゴールに迫られた。15試合連続失点中の水戸は、特に試合開始直後の失点が多かった。開始15分までの失点数8はリーグで2番目の多さである。序盤の悪い流れで失点するいつものパターンかと思われたが、この日の水戸は違った。「内容は最低だったけど、勝つためにプレーした」と橋本晃司が言うように、内容が悪い中で“悪いなり”に割り切ったプレーに専念。ゴール前で体を張り、ダブルボランチはしっかりとバイタルエリアを埋め、最終ラインでは無理してボールをつながず、相手DF裏にシンプルにロングボールを蹴り込み、星原健太のスピードを生かすという、リスクを避けた戦いぶりで鳥取の勢いを跳ね返した。

苦しみながらも耐えるチームを救ったのは、背番号10を背負う橋本であった。16分、自ら倒されて得たFK。鳥取の壁の枚数が少ないと見ると、「(壁の)上ではなく、横を通そうと思った」と判断。迷わずに右足を振り抜いた。滑りながらのキックとなったものの、寸分の狂いもなく、ゴール右隅に流し込んでみせた。「苦しい展開の中で仕事をするのが自分の役割だと思っています」。そう力強く語る頼もしき背番号10の一撃で水戸がリードを奪った。

その後も鳥取の勢いのある攻撃に苦しめられたが、水戸は耐え抜いた。再三サイドを崩されるものの、ゴール前で跳ね返し続けた。特に両サイドバックのポジショニングが素晴らしく、逆サイドからのクロスに対して、ファーサイドのスペースをしっかりと埋めて対応。危ない場面は何度もあったが、DFラインとGKとの見事な連係でゴールを守り切った。そして88分に、セカンドボールを拾った西岡謙太が中央をドリブル突破し、GKとの1対1を冷静に沈めて、勝負を決めた。

前節千葉に敗れ、「J1昇格」は現実的にかなり厳しい状況に追い込まれた。このままズルズル行ってしまうのか、それとも踏ん張って再び上位を目指すのか、今後のチームのスタンスが問われる一戦であった。その状況の中で内容は悪いながらも、最後まで集中を切らさずに戦い抜いて勝点3を手にしたことに大きな意義がある。「目標が失われつつある中で選手たちはよく戦ってくれた」と柱谷監督が選手たちを讃えたように、選手たちの勝利への執念がチームに勝点3をもたらしたのであった。

鈴木隆や市川大祐といった元日本代表選手が歯を食いしばってピッチを走り回り、華麗なプレーが信条の橋本も体を張った守備を見せるなど、1人1人が勝利のためにできることを貫いて得た勝利。「自分たちがここから1つ1つ積み上げていけば、状況は少しずつ変わってくる」と市川は力を込めて語った。まだ何も終わってはいない。わずかな可能性だろうと信じて戦えば何かが起こるかもしれない。そんな気迫が選手たちのプレーには込められていた。残り10試合で“何かを起こす”ために必要なスタンスを手にしたことがこの試合の最大の収穫と言えるだろう。奇跡への準備は整った。

内容では上回りながらも敗戦を喫した鳥取。「いい時間帯で点を取れない試合が続いているが、今日は特に悔しい」と吉澤英生監督が唇を噛みしめたように、再三作ったチャンスを逃したことが敗因となった。これで最下位富山との勝点差は2に。再び尻に火がつく状態となってしまった。それでも試合後、中村有コーチは「やることは変えない」と力強く言い放った。この試合で見せたアグレッシブな姿勢を続ければ、必ず勝負の神様は微笑みかけてくれるに違いない。残留争いというプレッシャーがかかる中だからこそ、勇気を持ってプレーすることが求められる。

以上

2012.09.03 Reported by 佐藤拓也
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