緊急事態だ。F東京は、試合登録メンバーがギリギリの状態でヤマザキナビスコカップ準決勝第1戦を迎える。けが人続出に加え、DF高橋秀人とGK権田修一が日本代表に選出されてチームを離れた。U−19日本代表合宿に参加予定だったMF橋本拳人の不参加でようやくフィールドプレーヤー16人を確保できたが、けがや病気から復帰直後の選手も多い。しかも、ここ5戦で4勝1敗と好調を維持する清水を相手に総力戦でこの難局を乗り切らなければいけない。
まず、この試合の焦点となるのはF東京の守備だ。F東京は、3-4-2-1にシステム変更してから初めて3トップのチームと戦う。清水は両ワイドがサイドに張り出す形の3トップを前線に置いているため、それに対して5枚で対応してしまうと、後ろに人が余り過ぎて攻撃の人数が不足してしまう。主導権を握るためには、両ウイングバックがスタートポジションを上手く取って攻守の舵取りをしなければいけない。ただ、直近のリーグ札幌戦でゴールを奪っている清水の大前元紀、高木俊幸の両翼は、フリーにしてしまうと決定的な仕事をするだけに、この作業は簡単ではない。大前はリーグで9ゴール、高木も8ゴールを上げてチームの得点源にもなっているだけに清水の生命線であるサイドを封じつつ、攻撃に厚みを加えるかが試合の流れを大きく左右するだろう。
また、F東京のルーキーDF丸山祐市が高橋の抜ける最終ラインに入ることが濃厚となった。出場すれば公式戦初の先発出場となるが、何といっても彼の左足に注目して欲しい。正確無比なロングキックに加え、DFながら明治大学時代には直接FKから多くのゴールも奪っている。MF大竹洋平、MF河野広貴を負傷で欠き、左足のキッカーが不足していただけに、新たな武器への期待が膨らむ。その丸山は「緊張しないということはきっとないが、いい意味での緊張感を持って楽しみながらプレーしたい」と初先発への意気込みを語っている。
F東京は、今季リーグ戦(第8節)で退場者を2人出した清水に0−1で敗れている。ランコ ポポヴィッチ監督も「絶対に忘れてはいけないことだ」と言う。ホームゲームで先勝するとともに、今季の屈辱的な敗戦の借りはここで返したいところだ。
清水は、リーグ戦の好調をそのままこの準決勝につなげたいはずだ。多くの若手選手が育ち、チームは勢いに乗っている。中盤の激しいプレスをベースに、素早い攻撃でサイドから一気にゴールへと迫る戦術も浸透。今夏に岩下敬輔(現G大阪)と辻尾真二(現広島)を期限付き移籍で放出し、吉田豊が負傷離脱中で最終ラインの台所事情が苦しい中でも着実に白星を先行させてきた。国際経験豊富なベテラン選手も多く、伸び盛りのチームにとっては決勝進出、タイトル獲得という成功体験が就任2年目のアフシン ゴトビ体制のさらなる成長の追い風になるはずだ。
奇しくもF東京と清水は、リーグカップではなぜか縁がある。F東京が2度目のリーグカップ王者となった3年前の準決勝では2戦合計3−2でF東京が競り勝った。ただし、2年前の準々決勝では計1−1となり、アウェイゴールの差で敗れている。MF石川直宏は「国立のあの夕暮れどきのスタンドは、一度味わったらまた立ちたいって思える場所。何度だって立ちたいし、3年前はけがで立てなかったから今度は絶対に立ちたい」と語った。F東京は、3度目の栄冠に向けて立ちはだかるオレンジの壁を乗り越えていかなければならない。
以上
2012.09.04 Reported by 馬場康平
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