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【J2:第33節 水戸 vs 熊本】レポート:柱谷采配ズバリ! 鈴木雄斗のプロ初ゴールも飛び出し、水戸が2発快勝! 公式戦3連勝!(12.09.15)

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「立ち上がりから状態は悪くなく、いい状態だった」と柱谷哲二監督が振り返るように、ダイナミックに攻撃を仕掛ける水戸のペースで試合は進んだ。天皇杯2回戦で120分の激闘を演じたチーム同士の対戦だが、水戸は熊本よりも1日休みが少なく、コンディション的に不利に立たされていた。さらに出場停止やけがで主力5人を欠くという苦しいチーム状況での試合であったが、そうした状況であることを忘れさせるほど、試合序盤から水戸が熊本を圧倒した。

3分、左サイドの輪湖直樹からのクロスを鈴木雄斗がヘッド。シュートはゴールポストに直撃してしまう。12分には西岡謙太からの素晴らしいパススピードのパスを受けた島田祐輝がGKとDFの間にクロスを入れる。走り込んだ吉原宏太が合わせるが、シュートはわずかにゴール左へ。16分には左CKから尾本敬がヘディングシュートを放つが、GK真正面。さらに41分には鈴木隆行と吉原が体を張って奪ったボールを右サイド鈴木雄斗が受けてクロス、逆サイドからゴール前に走り込んだ島田が頭で合わせたが、ゴール左へ外れてしまう。55分にはペナルティエリア内で鈴木隆が粘ってキープし、吉原へ。吉原が放ったシュートはクロスバーに直撃し、下に跳ね返ったボールがゴールラインを割ったかのように見えたが、判定はノーゴール。再三決定機を作りながらも決め切ることができないでいると、流れは変わっていった。

「天皇杯の疲れが出て足が止まった」(柱谷監督)。中盤でボールを引き出す動きが少なくなり、DFラインからロングボールが増えてしまった。中盤が間延びし、空いたスペースを熊本に狙われ、サイドから攻め込まれる展開を強いられた。サイドからの折り返しやミドルシュートで再三ゴールを脅かされた。本間幸司の好セーブやDFの粘り強い守備でかろうじて防いでいたが、危うい時間帯が続いた。

そこで柱谷監督が下した采配が勝負を決めることとなった。動きが落ちた中盤に村田翔を投入。そして、ロメロ・フランクをFWへ上げた。これが機能した。村田が中盤で起点となり、流れを引き戻すと、選手交代から1分後、西岡謙太からペナルティエリア内のフランクへ。ゴール前へ突入しようとしたところ、DFに対応されてしまうが、こぼれたボールを鈴木雄が落ち着いてゴールに流し込み、待望の先制点を挙げたのだ。

その後、熊本が反撃に出ようとするものの、前線のフランクを捕まえることができず、水戸がカウンターからチャンスを作り出していく。そして87分、熊本CKのセカンドボールを拾った水戸がカウンターを仕掛ける。中央を島田がDF2人を引き寄せながらドリブル突破。その間にフランクが自陣ゴール前から熊本ゴール前まで怒涛のランニングを見せる。ギリギリまでためて出したラストパスはフランクにドンピシャリ。GKとの1対1を冷静に沈めて、貴重な追加点を奪ってみせた。

前述の通り、多くの主力選手を欠きながらも水戸らしい攻撃サッカーを貫いて勝利したことに大きな意義がある。「それが今年のチームの強みだし、誰が出ようと長所を生かせている。それが面白いところだし、チーム力につながっている」と輪湖直樹は胸を張った。これまでなかなか満足行くメンバーを組めずに苦しむことが多かった水戸。しかし、その間に多くの選手が経験を積み、誰が出ても安定した力を発揮できるようになっている。そこにチームの大きな成長を感じることができた。プロ初得点を決めた鈴木雄、最後尾で守備を支えた代健司、途中出場で流れを変えた村田翔など数カ月前とは別人のような自信に満ちたプレーを見せていた。確実に選手層は厚くなっている。それが残り9試合、水戸の力となるに違いない。
水戸の選手たちは誰もが同じことを口にする。「まだ諦めていない」。これで公式戦3連勝。言葉だけでなく、行動で示しているところに、このチームの可能性を感じざるを得ない。

「今日は何もできなかった」と高木監督が認めたように、熊本にとっては“完敗”と言える内容であった。ただ、序盤から水戸に圧倒されながらも粘り強く耐えながら、後半途中からは流れをつかんだところにチームの底力を感じさせた。とはいえ、前回対戦のような勢いを見られなかったのも事実。「内弁慶なところがあるのかなと思います」と高木監督が分析するように、ホームでは7勝5分4敗と勝ち越しているにも関わらず、アウェイで2勝5分10敗と大きく負け越していることが下位に沈む要因の一つとなっているようだ。アウェイでもホームと変わらぬ強いメンタリティーで戦うことが現状の課題と言えるだろう。次節から2試合連続してホームで九州ダービーが控えている。気持ちを切り替えて、強いメンタリティーで九州のライバルを迎えたい。

以上

2012.09.15 Reported by 佐藤拓也
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