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【J2:第34節 山形 vs 京都】プレビュー:攻撃を得点に結びつけろ!5位・山形と6位・京都、「自動昇格」の生き残りへ、勝利のみが求められる直接対決!(12.09.16)

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勝点56の5位・山形と、1差で追う6位・京都。直接対決は、プレーオフ圏内の底で行われることになった。京都から9位・栃木まではわずかに勝点2差とは言え、プレーオフ進出をめざしているのではあれば、まだ慌てる状況ではないだろう。しかし、2位・湘南の勝点が63であることを考えれば、敗れたほうが自動昇格争いで事実上の引導を渡されることになる。

細かい部分に眼をつぶれば、両チームのプレーのスタイルと、それゆえにここ最近で抱える問題点は類似している。 攻撃的でボールを支配する時間が長く、ほぼどの試合も2桁以上のシュート数を保ちながら、得点に関しては思うように増やすことができていない。そして攻撃的であるがゆえに、ショートカウンターやイージーなミスをカバーしきれずに失点するケースも多い。思うように得点が取れていれば多少の失点は気にする問題ではないが、得点が取れていないからこそ、その重圧がのしかかる。チーム全体の攻守のバランスを見失う前に、ともに勝利という結果で次へ希望を見い出したい。

山形にとって、前節・鳥取戦は負けてはならない一戦だった。自動昇格圏内の2クラブが走る展開で、これ以上、水をあけられるわけにはいかず、また、3位から7位までのクラブとの直接対決を4試合残しているだけに、順位のうえで優位に対戦したいとの思惑もあった。重要性を多くの選手が口にしていたが、わかっていながらその試合を落としたことは、昇格レースで勝ち抜けるだけの厳しさがまだ備わっていないためだ。
前後半の立ち上がり15分には4-3-3のハイプレッシャーにプレーの精度を削がれ、相手が前がかりに来る時間帯はしのいだものの、ようやく攻撃のエンジンがかかったのは、16分に先制点を許したあとだった。林陵平のゴールが生まれ1-1で迎えた後半、カウンターから77分に失点。その後はペナルティーエリア内に10人が戻る相手を押し込み、サイドからのクロスも量産したが、ゴールを破ることは叶わなかった。最終的にシュート17本を放ちながら、奥野僚右監督は「彼ら(鳥取)の総力、組織力に押し込まれた印象です。結局、そういうところで後手を踏むような戦い方になって90分間を終えてしまいました」と振り返った。

前々節・徳島戦でも、0-2の後半から2点を追いつき勝点1を手にしたが、複数得点できる攻撃力は十分に秘めているとは言え、試合運びとして追いかける展開が多いなど、試合の主導権を握れずにいる。そしてこの先、1つ黒星が増えるごとに精神的に追い込まれ、めざすプレーはできにくくなる。今シーズン、一度も連敗を喫していないが、シーズン終盤に来て、これまで以上に強いリバウンド・メンタリティが必要となる。

アウェイ2連戦の京都は、さらに厳しい状況に置かれている。前節は昇格を争うライバル・大分に敗れ、今季リーグ戦の連敗記録を4に更新している。ボールは支配でき、この試合でもシュート数では17対11と相手を大きく上回ったが、33分に失点すると意気消沈し、特有のパスワークは影を潜めた。後半は長沢駿、宮吉拓実、原一樹と豪華なFW陣3人を交代で送り込んだが、常にボールホルダーの前に立ち続けるしぶとい大分の守備に手を焼き、逆にカウンターで追加点を奪われている。「出足から悪くはなかった。良かったと思う。そのなかで決めることができない、逆に簡単に決められてしまった」と大木武監督も頭が痛いところだ。

天皇杯2回戦では松本を相手に、4分の工藤浩平の先制点を皮切りに3得点を挙げたが、リーグ戦では、湘南戦でやはり工藤が一矢報いた1得点を除けば、4連敗中にゴールネットを揺らすことができていない。攻めている時間に先制ゴールが生まれればそのまま勢いに乗れるポテンシャルを持ちながら、そのゴールまでの道筋が見つけ出せずにいる。連敗癖があるなどシーズンを通して波の大きいチームだが、逆に一度ハマったらどこまでも突っ走れるのは、昨年終盤のリーグ戦や天皇杯で証明済みだ。もう負けは許されない。バヤリッツァの出場停止は解けるが、染谷悠太は今節も不在。センターバックの台所事情が厳しいなかで、前節同様3バックでいくのか、あるいは4バックに戻すのか。そうしたシステム以上に、戦うモチベーションを維持できるのか。京都にとっても、この試合は大一番になる。

単純に過去の試合から推察すれば、立ち上がりは京都が攻撃で先手を取り、山形が受けながら修正と反撃の機会をうかがう公算が高い。京都は、後ろはチョン ウヨン、前は中村充孝と2枚の司令塔で攻撃を組み立て、人が流動的に動きながら押し込んだあとは工藤がダイアゴナルに走るなど裏への狙いもはっきりしている。攻勢をかけた時間に京都が得点を取り切れれば、優位に試合を運ぶことができるだろう。
山形は攻撃に切り替わってから相手のプレッシングをかわし、高い位置までボールを運ぶことができるかが大きなポイント。サイドのスペースを突き、クロスの本数を増やせば攻略の可能性は十分にある。先に失点しないことは最重要だが、同時に、攻撃のパワーを維持することも同じくらいプライオリティが高い。

互いに攻撃力を前面に押し出したいが、結果が今ひとつ噛み合ない両チームの対戦は、綱渡りで渡ってきた2人が対面する構図に近い。落ちたくないとロープにしがみつくだけでは目的は達成できない。向こう側へ渡るには、リスク覚悟で、勇気を持って相手を蹴落としにかからなければならない。西京極で対戦した2-2の前回がそうであったように、通常であれば今回も打ち合いは必至だ。しかし、そこに入り込む大きな要素が「中2日」に加え、「14時キックオフ」というスケジュール。30度を超える気温のなかで、どこまで自分たちのカラーを押し出せるのか。あるいは、割り切った戦術の運用もあるのか。生き残りを懸けた濃密な戦いが始まる。

以上

2012.09.16 Reported by 佐藤円
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