14日(金)に行われた第33節、アウェイ甲府戦の翌日、岡山・影山雅永監督はこう話した。「岡山がよかったと言う人もいますが、それでも甲府は失点をせず、点を取って勝つ。そこが甲府との差じゃないでしょうか」。このゲームでは、岡山は自分たちの良さを発揮できた。攻守の切り替えを速くするとは具体的にどういうことか、繋いでチャンスを作るとはどういうことか、それぞれの場面で自分たちのやり方を見せた。右ワイドの澤口雅彦が「首位のチームとやっている感じはしなかった」と話すように、力の拮抗するゲームだった。結果は、7月29日の第26節・千葉戦以来、7試合ぶりの負けとなったが、残り9試合の一戦一戦をこう戦う、という意思が感じられた。そして中2日で挑む相手は、湘南だ。
湘南は現在2位で、首位・甲府との勝点差は4。6戦負けなしの3連勝中で、前節はホームで草津を2-0で下した。得点はどちらも、7月に札幌から完全移籍を果たしたキリノがヘディングで決めている。縦に速い攻撃が特徴の湘南は、シーズン終盤に来てその持ち味をさらに高めているようだ。岡山と同じ3-4-2-1のフォーメーションの、たとえば左ワイド・高山薫やシャドーの菊池大介がボールを持つとその瞬間に、周囲の選手が前へのスピードのギアを上げて走りこんでくる。シンプルな縦パスやドリブルに躊躇がなく、フォローの動きはスピード感のあるオートマティズムが浸透しきっていて迷いがない。こうしてゴール前に人数が揃うことになる。
また、相手が引いてポゼッションすれば、前線の選手も低い位置まで下りてプレッシャーをかけ、奪ってカウンターに持ち込む。さらに意図を明確にしてセットプレーからも得点を狙う。局面ごとに強みを持つ湘南は、真っ向から挑ませてくれる甲府よりも、厄介な相手かもしれない。前回の対戦では、岡山はFW川又堅碁が累積警告で出場停止、湘南にキリノはいなかった。しかし、高山薫と中村祐也の2ゴールを許し、無得点で敗れている。岡山の左ワイド・田所諒は、「前の湘南戦では自分の持ち味がなかなか出せなかった。でも8月に同じ並びの大分戦で、三平和司相手に結構やれて、強気にやれば上手くいくのかなという思いが大きくなった。湘南でやられた借りを返したい」と話す。
前節、決定的なシュートを放ったシャドーの金民均は、「狙いすぎたところもあった。いい流れ、形は作っているので、ゴール前で決めることに集中して、意識してやったら結果が出せると思う」と話す。右ワイドの澤口は、「湘南は前回やったとき、岡山よりも走っていたと思う。うちのコンセプトの部分で負けたくない」と覚悟を覗かせる。岡山がシーズン終盤にもじわじわと選手層の厚みを増している点は好材料で、「ダヴィに初めてぶつかって強さを体感したけど、ギリギリで体を預けられたので、自由には仕事させなかったと思う。修正すべき点はありますが落ち着いてプレーできていたし、周囲が見えていたので、結構いいパスを出すことが出来たと思う」とDF篠原弘次郎。前節甲府戦で最終ライン右に入り、信頼を確かなものとしている。
このゲームは、「ペナルティ」のユニフォームを使用する両チームの対戦でもある。6月の湘南でのゲームの時と同様、今回のカンスタでも「ペナルティ スペシャルデー」として行われ、今回は、ペナルティから岡山に寄贈された縦15メートル、横17メートルのビッグフラッグユニフォームが初お目見えとなる。言うまでもなく湘南は、勝点を積み重ねるためにやって来る。走ることがベースで、若い選手が主体のチームという共通点があるからこそ、自分たちのスタイルを完遂して勝利することへの執念は強くなる。サプライヤーからのビッグプレゼントにふさわしいゲームを、岡山主導で作り出したい。
以上
2012.09.16 Reported by 尾原千明
J’s GOALニュース
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