自らを「DFW(ディフェンシブ・フォワード)」と名乗る浦和レッズ・槙野智章の真骨頂。1得点1アシストと全ゴールに絡むMVP級の働きを見せつけた。試合後のミックスゾーン。そのヒーローは、群がる10人以上の記者全員にハッキリ聞こえる口調でこう言った。
「1点目も2点目もボールを保持した結果。ペトロヴィッチ監督の目指すサッカーというのが、非常に凝縮されたゴールかなと思っています」。表情は自信に満ちていた。前回の対戦から約4か月。両チームの成熟度の差を強く感じさせるゲームだったと言えるだろう。
横浜F・マリノスのキックオフ直前。センターサークルには、マルキーニョスと中村俊輔がいた。この日、通常の4−4−2ではなく、1トップにマルキーニョス、トップ下に中村を据え、右に小野裕二、左に齋藤学が張る4−2−3−1の新システムで臨んだ。
序盤はそれが奏功。5分に小野が力強いドリブルでマルシオ リシャルデス、梅崎司をまとめて抜き去り、右サイドを突破。クロスを上げ、フリーで待ち構えていたマルキーニョスが、狙い澄ましたヘッドで先制する。その後も齋藤学、ドゥトラが左から連続ドリブルシュートを打ち、勢いづく。守備でも小野、齋藤のハードワークが浦和のサイド攻撃をケアし、チーム全体の高い位置からの守備を誘発した。
しかしながら、それを上回ったのが、浦和のパスワーク。「やっと落ち着いてボールを運べるようになった」(柏木陽介)20分過ぎに、同点弾を決めた。まず、槙野が自陣深くからドリブルで上がってパス。それを原口、柏木がダイレクトで繋ぎ、再び槙野が受けて速いドリブルから、斜めに走り込んだ柏木へスルーパス。柏木は迫る中澤佑二を振り切り、飛び出したGKの鼻先でフィニッシュした。これぞ、ペトロヴィッチ監督の「人とボールが動くサッカー」。横浜FMのディフェンスは各所でマークに付くも、速いパス回しに付いていけず、手も足も出せなかった。
後半、横浜FMは中村と小野をポジションチェンジ。それは「前のスペースを使い、それに伴って全体が押し上げて、相手の真ん中(ボランチ)の所でプレッシャーをかける」(樋口靖洋監督)ためだった。
それほど樋口監督が警戒していたのが、前半途中から浦和の攻撃の起点になっていた、ボランチ阿部勇樹だ。攻撃時に最後尾に入り、パスサイズに変化を加えて相手を揺さぶり、時にはドリブルで攻め上がる。「浦和の攻撃は阿部から始まる」と言っていいぐらい、彼を軸にパスが回った。また当然ながら守備能力が高い。1点目の得点、64分の2点目もしかり、槙野があれだけ高い位置まで大胆に攻め上がれるのは、後ろに絶対的な信頼を置ける阿部がいるからかもしれない。
ただし、75分過ぎから浦和の攻撃はトーンダウン。横浜FMが主導権をようやく取り返し、77分には中村の直接FKがクロスバーを直撃した。だが、その後は個人技頼みの攻撃に終始して、今季初の3連敗を喫す。試合後、ゴール裏からのブーイングを一身に浴び、うなだれてピッチを去る選手たち。「もう一回、足元を見つめなおさなければいけない」(中村)。
以上
2012.09.16 Reported by 小林智明(インサイド)
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