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【J2:第34節 横浜FC vs 松本】レポート:まさに灼熱の中の死闘。監督、選手が全ての力を出し切った末の勝点1は、両チームの底力を証明した。(12.09.18)

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湿度こそ49%だったが、32.9度の気温でナイトゲームから中2日の13時からスタートした試合は、選手の体力を前半から奪っていった。そして、走れる選手が減っていく中でもラストプレーまでゴールへの執念を燃やした末に試合終了のホイッスルが鳴った時、大音量の声援に包まれていたスタジアムは、それが嘘のように静寂に包まれた。そして、しばしの静寂の後の大きな拍手。この拍手は、ピッチ上で繰り広げられた90分間に監督が知略をぶつけ合い、それに選手が120%のプレーで応えた姿に、観客全てがプロサッカーの素晴らしさを実感した証拠だった。

やはり、この試合は横浜FC・山口素弘監督と松本・反町康治監督の2人の知将の対決という軸を抜きには語れない。チームスタイルを考えると、ポゼッションをする横浜FCに対してカウンターを狙う松本の構図が基調になると思われていた。前半は、確かにその一面はあった。特に横浜FCは、カウンターを受けないように細心の注意を払っていた。先発に、キープ力のあるカイオとドリブルに特長がある小野瀬康介を起用したのも、パス偏重で悪い奪われ方をしないための工夫だった。そして、ファーストプレーの小野瀬のドリブル突破から横浜FCが掴んだ流れのまま、6分にショートコーナーから、やはりこの試合で7/1以来の先発出場を果たした森本良がヘディングでゴールを奪う。

その後もカウンターを受けるリスクを避ける横浜FCは、悪い奪われ方にならないプレーに徹して、仮に奪われても素早い守備への切り替えでカウンターの芽を摘むことに専念。点を取りに行かなければならなくなった松本は、早くも34分に塩沢勝吾をチェ スビンに交代。反町監督は「交代させられて初めて目が覚める。前節、点を入れているのでどこかおごりがある」と塩沢のパフォーマンスを交代の理由に挙げたが、チーム全体に活を入れる交代だった。同時に、横浜FCにとっても前半に2点目を取りに行くのか、リスクを最小限にするのかという2つの戦い方での分岐点にあった。佐藤謙介が「点を取りに行きたい前とリスクを抑えたい後ろで意識が合わない時もあった」と振り返るように、距離が空いてくることで、かえって気を付けていたカウンターの芽を作る時間が出てきた。さらに、前半から足が止まりはじめる。松本の前半のシュートは公式記録上0で見た目は横浜FCのゲームだったが、松本の反撃の余地が生まれ始めたところでハーフタイムを迎える。

そして,後半開始の松本の選手交代は大きなターニングポイントとなる。おそらくは選手への詳細な指示ができなくなる後半開始を狙って、1ボランチの4-3-3へフォーメーションを変更し、ユン ソンヨルと喜山康平で、横浜FCの2枚のボランチを封じることで、横浜FCのボールの流れを遮断。そして、船山貴之と楠瀬章仁が選手の間でボールを受けるようになり、松本が主導権を握る展開となる。
横浜FCも59分に大久保哲哉を高地系治に代えて4-5-1の形に変更して、中盤での主導権を取り戻しに掛かるが、一度落ちた運動量を復活させることはできなかった。
そして、61分には藤川祐司に代えて木島徹也を投入し、楠瀬を左SBに入れる攻撃的な布陣で執念を見せる。その執念は70分に実る。横浜FCのお株を奪うパス交換から、右サイドの多々良敦斗にボールが出ると、その多々良のクロスにファーサイドで木島が高い打点でヘディングを合わせる。

その後、横浜FCも野上結貴を1ボランチとして投入し、4-1-4-1のような形で勝ち越しを狙うが、両チームとも体力を奪われた中、攻撃した選手は守備に戻れない状態となる。そのため中盤は失われ、お互いのゴール前まで簡単に迫る攻め合いのような形が続く。88分には楠瀬、89分にはカイオが決定的なシュートを放つが、両ゴールキーパーが防ぎ、ラストプレーのゴール目の前のFKが壁に当たってゴールラインを割ったところで試合は終了。
両監督のゲームプラン、交代によるフォーメーション変更、そしてそれに応える選手。全てが見応えのある試合であり、7,048人の観客全てが、Jリーグの素晴らしさを感じられたのではないかと思う。采配の面では、反町監督は「大久保を替えてくれたのはラッキーだった」と述べているが、これを単に采配ミスとするのはある意味結果論で、両チームが持てる戦力を分析して、中盤を厚くするカードを切らせることに成功した反町監督の戦略が成功したと見るべきだろう。

1試合でも早く6位以内に入りたい横浜FCにとっては、勝点2を失ったように感じられるかもしれないし、今節の他の試合の結果を見ると「勝っておけば」と思うかもしれない。
しかし、攻められ続けても大崩れしない底力は、勝点1でも重要な場面が続くこの後の試合に生きてくるはずだ。山口監督が記者会見で述べたように「勉強になった」ゲームであり、残り8試合に向けて横浜FCが越える必要がある山を松本、そして昇格経験豊富な反町監督に教えてもらったのではないだろうか。松本にとっては、右肩上がりをまさにピッチ上で証明する試合だった。チームとしての確信のようなものが、随所に形となっており、残り8試合でも順調に勝点を重ねることは間違いないだろう。

今節の他の試合を見ても、今年の混戦J2はチームとして崩れないことの重要性が最後の鍵となることが感じられる。この試合を戦った両チームにはその強さを感じることができた。

以上

2012.09.18 Reported by 松尾真一郎
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