終了間際の90分、富山の木村勝太のゴールが決まると草津の選手たちは一斉にうなだれた。富山が満を持して放った電光石火の一撃は、草津の戦意を失わせるのに十分なダメージとなった。歓喜に沸く富山側スタンドに対して、草津側には怒号とため息が入り交じった。富山戦7試合連続負けなしだった草津が、降格圏脱出を狙う富山の執念に屈して同カード8試合ぶりの黒星を喫した。
中2日の過密日程となった今ゲーム、両チームともメンバーを大きく入れ替えてゲームへ挑んだ。主力に出場停止が重なる草津は、御厨貴文が復帰したものの後藤涼を右SBに配置するスクランブル。そしてルーキー横山翔平が初スタメンに名を連ねた。一方の富山は前節千葉戦で2得点を上げた黒部光昭が遠征メンバーから外れ、ソ ヨンドクが2シャドーの一角に入り苔口卓也が1トップに配置された。
序盤は草津が主導権を握った。右SB後藤、左MF横山が起点と作ると、チームにリズムが生まれる。草津は小林竜樹らが勢いを持ってボールを前へ運ぶと次々とCKを獲得、セットプレーからチャンスを伺う。34分には横山がバイタルでDFをかわしてシュートを放つと、その直後には小林がゴール前で決定機を迎えるが、どうしてもゴールを割ることができない。決定機を決めきれない草津は逆に富山のセットプレーにゴールを脅かされながら前半をスコアレスで折り返す。
後半は両チームともに攻め手を欠いて内容の薄い展開となった。草津はポゼッションこそ支配するものの2トップと中盤の連係が悪く、イージなミスを連発。中途半端な攻撃を繰り返して、耐える富山を勇気つけてしまう。「ゴールへの意識が足りずアタッキングゾーンへボールを運びながらもシュートが打てなかった」(副島監督)。後半のシュート数は富山の4本に対して、草津は2本。6割以上のポゼッション支配率から考えると、あまりにも効率の悪い攻撃だった。
富山は草津の攻撃を受けながらもじっとチャンスを伺っていた。そしてそのチャンスは90分に訪れた。草津のミスに乗じて中盤でボールを奪うと、途中交代で出場した西川優大、木本敬介のコンビで右サイドをえぐると、最後はゴール前へ走り込んだ木村勝太がゴールネットを揺らす。「ボールが来ることを信じてゴール前へ入った」(木村)。交代策的中で劇的な3連勝を決めた安間監督は「苦しい時間帯に何人もの選手が長い距離を走ってくれたことがゴールにつながった」と選手を称えた。富山は次節、最下位町田との下位直接対決でライバルへ引導を渡す。
富山に敗れて2連敗となった草津だが後半は、選手一人ひとりが孤立しチームとして戦えなかった。試合後、バックスタンドから選手に対して激しいブーイングが飛んだ。確かに結果、内容ともに納得のできる試合ではなかった。だが戦力補強の失敗、ブラジル人選手の放出などフロントの責任もあるだけに一概にチームだけを責めるわけにはいかない。今季は応援ゾーンとなるバックスタンドに空席が目立つがサポーターのあり方も考える必要がある。残り8試合、草津がやるべきことはクラブが一つになって戦い抜くこと。いまを危機と思わなければシーズンは乗り切れない。
以上
2012.09.18 Reported by 伊藤寿学













