互いに奪っては奪われ、さらに奪い返す展開から、岡山が湘南の隙をついて、チャンスをものにした。決めたのは仙石廉。前回6月の対戦で失点につながったプレーに悔し涙を流した岡山のボランチ。その見事なミドルシュートを皮切りに、岡山は前半3得点を挙げる。しかし後半、湘南・古橋達弥のゴールを許し、ゲームは3−1で終わった。
連戦のコンディションを考え、14日(金)のホームでのナイトゲーム翌日に岡山入りした湘南。このゲームでは、CBに遠藤航、大野和成、右SBに鎌田翔雅、左SBに島村毅の入る4バックで臨んだ。「うまく相手のマークにつききれなかった」とボランチの永木亮太。湘南らしいアグレッシブなプレスはいつもより緩かったが、速い攻撃を促す縦パスを主体としたテンポのいい展開は変わらず、岡山がじっくりとビルドアップする時間はなかった。そのため逆に、守備に戻る速さ、最終ラインのケア、くさびとなるロングパスといった、オートマティックに繰り出すプレーの良さも再確認できた。
徐々に岡山がペースを確たるものにしていけたのは、トップの川又堅碁が低い位置まで下りてボールを奪い、シャドー・石原崇兆の仕掛けが的を射たことが大きい。今や石原を止めるにはイエローカードの代償がちらつく。石原が湘南・古林勝太に今季8枚目のイエローのきっかけを作り、DF竹田忠嗣がキリノの侵入を防ぎ、永木のアプローチをスライディングでカバーした後に、岡山の先制点が決まった。前半34分、遠藤のクリアボールを拾った仙石が金民均とのワンツーからミドルシュートを放つ。GK阿部伸行の指先がわずかに触れながらゴールにきれいに吸い込まれた。「GKが見えてなくて、コースが甘かったんですけど」と仙石。
その7分後、右サイドにいた金民均がヒールで中の石原へ、石原、仙石と繋いだボールを川又が受け、優しいパスをゴール前の田所諒に送り、田所が落ち着いて決めて2点目。「あの形は得意なので、パスが出た瞬間、もらったって思いました」と田所。日頃の練習の成果を披露するチャンスとなったゴールは、5人を経由して運ばれた、岡山のファンを喜ばせる展開の美しいゴールだった。追加点で湘南がペースダウンしたところで、曹貴裁監督は2枚替えを敢行。ボランチに岩上祐三、シャドーに高山薫を入れて3バックに戻す。
ゲームの立て直しとともに、前半に追いつくことが出来ればという思いは、入ったばかりの岩上のロングシュートにも現れていた。しかしその思いを打ち砕くかのように、前半アディショナルタイム、岡山はハーフウェイライン付近で金民均がスペースに出したボールを石原が斜めにドリブルで上がり、高山のプレスをかいくぐって川又に繋ぐ。川又はフェイントで遠藤を交わし、余裕のゴールを決める。岡山が3得点を決めたのは今季初だ。
後半9分、湘南はキリノに代わってFW大槻周平がイン。岡山にとっての後半は、「どう終わるか」が課題だった。引き締めたつもりが弛みが出たのか、後半17分、岩上が金民均のパスをカットし、左の高山に繋ぎ、高山からのクロスを古橋が合わせてヘディングでゴール。1点を返した後も湘南は厚みのある攻撃で岡山ゴールを脅かした。「2点目が入っていたら非常に難しいゲームになっていたと思う」と影山雅永監督。前節甲府戦で、もう少しで追いつけそうに思えた甲府に逃げ切られ、昇格にふさわしいチームの勝ち方を学んだところではあったが、実地に生かすには今少し時間がかかりそうだ。
湘南は、勝利を確実にするために周到な準備を行い、コンディションを考慮した上で守備を固めて臨んだが、チャレンジは裏目に出てしまった。選手の顔に余裕は窺えたものの、自動昇格圏内のポジションを不動にし、来季に繋げるための内容としては足りないものがあった。ユニフォーム・サプライヤー『ペナルティ』から贈られたビッグユニが、台風による強風があおるカンスタのバックスタンドで揺らめいたこの日、メンバーの平均年齢が、岡山が24.61歳、湘南24.39歳と、若く、走る両チームの対戦にはガチのぶつかり合いこそ重要だったように思える。
以上
2012.09.18 Reported by 尾原千明
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