「チーム得点王? もちろん狙っています」。草津の闘将・松下裕樹は20日の練習後にそう話してグラウンドをあとにした。草津は今季5得点を上げていたヘベルチ(C大阪へ期限付き移籍)と4得点のリンコン(契約解除)がシーズン途中でチームを去ったため、現在のチーム得点ランクトップは金成勇と松下裕樹が3ゴールで並んでいる。年に数回、スティーブン・ジェラード並みの強烈なショットをみせる松下は「この数字でチーム得点王は恥ずかしい。2ケタは難しいかもしれないけど、5点以上は取りたい」と続けた。
松下の言葉はリップサービスの部分ももちろんあるが、草津の攻撃を活性化するための意志でもある。2連敗を喫した最近2試合で無得点と深刻な得点力不足に陥っている草津は、攻撃陣のテコ入れが求められている。20日の練習後には副島監督が見守る中、FWとMF陣が居残りでシュート練習を繰り返した。「シュート意識を高める必要がある」(副島監督)。前々節湘南戦はシュート3本、前節富山戦はシュート6本に終わったが、山形戦はシュート意識を前面に出してゲームへ臨む。
草津が、正田スタで山形と対戦するのは実に4年ぶりだ。3シーズンに渡って対戦しなかったことで記憶が薄れてしまってはいるが、草津にとって山形は天敵なのだ。山形との初対戦は草津のJ元年となった2005年の開幕戦。ルーキーだった佐々木勇人(現G大阪)のドリブルを止めることができずに0−3の完敗。以来、16試合で1勝7分8敗と大きく負け越している。決して戦えていないわけではないが、なぜか勝てない相手なのだ。
山形の奥野監督は、草津にとっては特別な存在だ。奥野氏は、草津が誕生した2002年から2シーズンに渡って選手兼監督としてチームを牽引。県リーグから関東リーグ、そしてJFL昇格の立役者となった。奥野監督が草津に来なければ、いまのクラブは存在しなかったと言える。当時の背番号「31」は、草津唯一の永久欠番となっている。思い出されるのは関東リーグ、JFLの昇格時だ。昇格が決まった瞬間、取材陣は奥野監督を探すが、いつもグラウンドにいなかった。真っ先にスタンドのサポーターのもとへ駆けつけ感謝を伝えていたのだ。奥野監督は常にサポーターのために戦っていた。あれから9年、奥野監督が山形の指揮官として初めて正田スタへとやってくる。
さらに山形には、昨シーズン草津でプレーしたFW萬代宏樹が在籍する。愛すべきイジられキャラの萬代は昨季草津で8ゴールを上げてストライカーとして完全復活、山形へ移籍した。最近は途中出場が多く4ゴールに留まっているが、年に数回、フェルナンド・トーレス並みのスーパーゴールをみせるだけに草津としては油断禁物。昨季萬代に喝を入れ続けた副島監督は「うちの試合だけ活躍されても困る(笑)」と愛弟子を突き放す。今ゲームは、草津のSジェラードと山形のFトーレスの対決でもある。
草津、山形ともにリーグ2連敗中で、これ以上負けられないという思いは同じだ。だが昇格という明確な目標に向かって突き進む7位山形に対して、上位から引き離された15位草津は目標を見失いつつある。副島監督は「いまはシーズン勝ち越し、得失点差プラスを目指して1試合1試合を戦う。昇格のために負けられないという山形の心理状況を考えると、うちには有利な部分がある。ホームのアドバンテージを活かしてサポーターに勝利を届けたい」と、正田スタでの約3カ月半ぶりの勝利を誓う。残り8試合、ここからは勝利への欲望をむき出しにしたチームに勝利が転がり込む。
以上
2012.09.22 Reported by 伊藤寿学
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