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【J1:第26節 F東京 vs 川崎F】レポート:F東京に足りなかった勝ちきる力。守備を固めた川崎Fに屈する(12.09.23)

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自分たちの色を出せたのはF東京だったが、試合を制したのは川崎Fだった。川崎Fは圧倒的に攻められながらも無失点で前半を折り返すと、後半に向けて守備のバランスを修正した。すると、後半立ち上がりの46分に、前へと出てくるF東京を利用して効率よくカウンターから得点を奪った。さらに、54分にはセットプレーから追加点を奪って引き離すと、F東京の反撃を88分の1点に抑えて逃げ切った。

MF羽生直剛が先週、繰り返してきた言葉がある。
「もうちょい前半から守備でもスイッチを入れたいですよね。守備でもアグレッシブにいければ、変わると思うんですよね。前から守備のリズムをつくってボールを持ったときは丁寧につなげば、もっと良くなる。俺が出たときは、無理やりにでもスイッチを入れたいよね」
ポポヴィッチ監督は試合数日前、その羽生を呼び止めて声を掛けた。
「ニュウ、何分ぐらいいけそうだ」
「90分いけますよ。でも、最後はセンターサークルからでなくなっちゃうかもしれませんけどね」
冗談交じりにそう答えた背番号22を、指揮官は先発メンバーに加えた。羽生は宣言どおり試合開始から守備のスイッチを入れる役割を担った。高い位置で次々とボールを奪って川崎Fを敵陣に押し込むと、F東京が攻守で試合の流れを掌握した。攻撃面でもスペースを意識する羽生が入ったことで選手間の距離が近づき、攻撃のスピードが速まる縦パスが連なっていく。川崎Fのバイタルエリアからボランチをつり出して流れるような連係でフィニッシュへとつなげた。ゴールは生まれなかったが、取り組んできたサッカーを最も色濃く出せた45分間。普段は厳しい指揮官も「前半の出来は選手を誇りに思う」と手放しで称えた。

ただし、後半はそのF東京を川崎Fが封じに掛かった。ボランチ2人にバイタルエリアを埋めさせ、サイドバックも下げて背後を固めた。そしてボールを奪うと、数本パスをつないでフリーな選手が前線で待つ楠神順平の背後に届けた。その形が実った。山瀬功治がパスで時間をつくって背後に走り抜けた楠神へとパスがつながる。そのままドリブルで突破し、ゴールネットを揺らした。さらに、中村憲剛のFKをDFジェシが合わせて追加点を奪って一気に形勢逆転。リードを広げると、そのまま試合を終わらせるために守備をさらに固めた。

それでもF東京は自陣に下がって守備をする川崎Fを崩すも、バーやポストにも嫌われ続けた。終盤、ネマニャ・ヴチチェヴィッチが相手DFからカットし、フリーとなったエジミウソンが左足でゴールを挙げたがスコアは届かず。1−2で20回目の多摩川クラシコは幕を閉じた。
川崎Fは前半を終えた後、より現実的なサッカーへと切り替えて7戦ぶりの勝利を手にした。守備の穴を封じることに重点を置いてそれが勝利につながったこと、最終ラインに出場停止選手を2人抱えながらも最後まで粘りきって勝利につなげたことも次への糧となるだろう。

F東京は、またも惜しかった。試合内容と結果を直結することができなかった。しかし、ポポヴィッチ監督の言葉に迷いはない。見ていて面白いサッカーを追求する。その信念が揺らぐことはない。
「前半のようなプレーを45分間続けるだけでも難しい。これだけ短期間の間にこういったサッカーができるようになったことを、もっとたくさんの人に知ってほしい。勝利や表彰はもらえなかった。でも、私は賞賛されてしかるべきだと思っている。サッカーは山あり谷あり、時には痛みも苦しみもある。結果だけで判断する人もいるから、こういう内容のサッカーで結果を出せばさらに多くの評価を得られたかもしれない。ただし、正しい道を進んでいけば、いずれ栄光はつかめると私は信じている」
3万4882人の中には、初めてF東京のサッカーを目にした人もいただろう。「もう1回観に行ってみようかな」と、思わせることはきっとできたはずだ。ただし、振り向かせた相手を鷲掴みにするためにはまだ足りない。「おめでとう」と「ありがとう」の声を掛け合わなければ、より関係を深めることなんてできない。後は勝利だけ。F東京のサッカーは、完成に近づきつつある。

以上

2012.09.23 Reported by 馬場康平
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