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【J1:第26節 名古屋 vs 広島】レポート:あまりに劇的な決勝点で、広島がアウェイで大きな勝点3をゲット。悪夢のような敗戦を喫した名古屋は優勝戦線から一歩後退(12.09.23)

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今季の名古屋と広島の対戦は、ホーム&アウェイともに森脇良太が主役をかっさらっていった。Jリーグきっての元気印は「サンフレッチェファミリーの気持ちが乗り移った“パス・シュート”です!」とドヤ顔で語る。広島でも、名古屋でも、背番号24は試合終了間際に劇的なゴールを挙げ、チームを救う勝点をもたらした。特に今回は、混戦の優勝争いから半歩抜け出し、追走する名古屋を突き放す『勝点6分』の価値を持つ勝利である。その貢献度と彼のゴールが持つ意味は、想像以上に大きい。

内容を振り返れば、“ハイリスク・ハイリターン”がキーワードの試合だった。実に静かな立ち上がりとなった前半キックオフから試合終了までの間、両チームは慎重にゲームを進めた印象が強い。攻めあぐねた、というよりは余計なミスからピンチを招かないように、という感じである。攻撃が終わればきっちりとリトリートし、守備ブロックを固めて集中力を高める。名古屋は長身選手たちがゴール前を固め、広島は5−4−1のような形で自陣ペナルティエリア付近に分厚い人垣を築いた。これには名古屋のケネディも広島の佐藤寿人も両攻撃陣も手を焼き、なかなかシュートすら打てない状況が続いた。

その状況を打開するためには、リスクを背負って仕掛けることが必要だった。そして、先にそれを実行した広島が先制点を手にする。40分、自陣ゴール前で緩やかなパス交換を始めると、ケネディや玉田圭司が猛然とチェイスを開始。するとDFラインも敵陣に入り込み、距離を詰めて前線との連動感を保つ。これが罠だった。十分に引き付けて最後尾からロングパスを左サイドへ送ると、落下点に入った高萩洋次郎がDFを引きつけながらパスを流す。ボールはオーバーラップしていた清水航平の下へ。「抜けたらチャンスと思って前にいました。スペースはありましたし、思い切って仕掛けられた」と自信満々に語った23歳は、そのままドリブルで持ち上がり、ダニエルをフェイントでかわしてペナルティエリアに侵入。楢崎正剛の守るゴールを豪快な左足シュートで破ってみせた。「簡単に蹴ることもできましたが、しっかりつないでくれた。1点目のゴールは自分たちの目指す形だったと思います。完全に意識が一致した、狙い通りのゴールでした」と、GK西川周作は語った。広島は賭けに勝ったのだ。

名古屋も黙ってはいない。こちらが背負ったリスクは、“ほぼやったことのない3−6−1のフォーメーション”だった。今季は序盤から3バックを敷くこともあった名古屋だが、中盤に6人を並べる形はアウェイ広島戦ぐらい。練習もしていない。名古屋にとっては賭け同然の策だったが、これが狙い通りの結果をもたらした。後半開始早々の50分、右サイドの田中隼磨のクロスに走り込んだのは田中マルクス闘莉王。森脇に競り勝って放ったヘディングシュートはお手本通りにワンバウンドし、ゴール左スミにきっちり流し込まれた。名古屋にとっての3バックの利点のひとつは、DFラインに3枚いることで闘莉王が上がった時のリスクマネジメントが容易になること。指揮官が指示した布陣変更の意図を選手は理解し、結果につなげてみせたのだった。

しかし、“ハイリスク・ハイリターン”の策はそう何度も仕掛けられるものではない。同点後はアウェイである広島の「アウェイだし、最悪このままって流れだった」(千葉和彦)という思惑もあり、動きはあるものの試合自体は再び膠着した。名古屋も得点以外の決定機は59分の藤本淳吾とケネディのヒールシュートぐらい。広島はミキッチ投入後に彼の突破力を活かした攻撃を繰り出すにとどまった。
そして後半はアディショナルタイム3分に突入し、誰もがこのまま引き分けで終わると思った試合終了直前、名古屋の視界が暗転した。ダニエルが自陣での浮き球の処理にもたつく間に、佐藤が一気に距離を詰める。こぼれたボールを途中出場の石原直樹が奪ってゴール前に持ち込み、一度切り返してボールをキープ。ファーサイドにクロスを送ると、そこに森脇が走り込んでいた。「本当は寿人さんに折り返して、寿人さんがゴールというイメージだった」ヘディングはそのままゴールに吸い込まれ、劇的な勝ち越し点に。ストイコビッチ監督は、決まった瞬間手にしていたペットボトルを投げ捨て、足早にロッカールームへ去っていった。

喜色満面の広島の選手たちは、口々に充実感と優勝への期待感を滲ませた。それが敗因のひとつだったと語るのは、自分たちもそういった経験のある名古屋の阿部翔平だ。「相手が勢いのあるチームだったということかもしれないですね。最後の最後でああいう形で点が入るというのは。失点はしょうがない部分が大きいかなと思います。広島が守っていたから自分たちのサッカーができなかったというわけでもないので」。これは指揮官の言葉とも一致する。「個人的な意見だが、広島が我々より強かったから、良いプレーをしたから勝ったという訳ではないと思っている。全体的に我々の方が良いプレーができていた。最後にやられてしまったという感じは否めない」。実際、シュート数は互角の8本。その少なさからしても膠着したゲームだったことは明白で、それだけにたった2度のミスが痛恨だった。リスクマネジメントを制したのは、勝者である広島の方だった。

これで広島は2位仙台に勝点2、3位浦和に5差をつけて混戦から半歩抜け出した。逆に6位に後退した名古屋は勝点9差。逆転優勝の望みが遠のいた。数字上はまだチャンスはあるが、上位との直接対決は現在3位の浦和のみ。ここからは他力本願の要素が色濃くなってしまう。それでも前を向くのは超がつくほどの負けず嫌いであるストイコビッチ監督だ。「全て勝つしかない。非常に難しいことかもしれないが、不可能ではない」。
次節から狙うは昨季の6連勝を超える怒涛の8連勝。チーム哲学である“Never Give Up for the Win”の灯はまだ消えていない。

以上

2012.09.23 Reported by 今井雄一朗
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