完敗だった。浦和はホームでG大阪に徹底的にやり込められた。「ガンバは明らかに我々を上回っていた。今シーズンで初めて、本来我々がやろうとしていることが出せなかった」。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督も素直に認めたように、この日の浦和は何もできなかった。
それでも序盤はまずまずの出来だった。「立ち上がりはそこまで悪くなかった」と永田充も振り返ったように、DFラインでゲームを作ってサイドに展開する鉄板のパターンでラストパスまで持っていく形は何度か見られた。攻撃陣が流動的に動いてボールを引き出していたG大阪が徐々に主導権を握っていったものの、浦和も攻撃の形が全く作れなかったわけではなかった。
そんななか、19分にG大阪が一瞬の隙を突いて先制する。FKから加地亮の折り返しを受けた阿部浩之が「外して打つというのは大学の時から得意だった」と鋭い動きで槙野智章のマークを外してコンパクトに左足を振りぬいた。GK加藤順大にとってはキックモーションが小さく、目前の味方がブラインドになっていたこともあって、止めるのは難しいシュートだった。
先制点を奪ったG大阪は攻撃のギアを上げていき、浦和がもっとも対処しにくい形で攻勢を強めていった。両サイドバックが高い位置を取ってワイドを確保しながら、サイドハーフが中に絞ってバイタルエリアで起点を作り、そこにボランチが絡むと、浦和は守備システムの構造的に劣勢を強いられる。それはG大阪のホームゲームでも見られたパターンであり、ヤマザキナビスコカップの仙台戦でもそうだった。
そのなかで、ひときわやっかいだったのは家長昭博と阿部浩之、この試合でスタメンのチャンスをもらった2人だった。家長は前線から落ちたり、サイドに流れたりと、フラフラと中途半端なポジションを取ることが多かったが、浦和守備陣にとってこの動きは非常に嫌なものだった。家長は前線にずっと留まっていないので「1トップに対してDF3人で余っていることが多かった」と平川忠亮が振り返ったように、浦和は最終ラインで人数がダブついた。そしてその分、中盤では逆に数的不利に陥り、自由にボールを回された。
さらに、ゾーンで守る浦和は家長の動きに誰がついていくのかというところでマークの混乱をしばしば起こし、付いていったらいったで抜群のキープ力を誇る家長からボールを奪えずに守備ブロックに穴を空けられてしまった。
一方の阿部は足を止めずにバイタルエリア付近を動きまわることで浦和の手を焼かせた。いつもと違って枚数で相手の攻撃を跳ね返せない浦和の選手は「動きまわることは意識している」という阿部に背中を取られることが多く、やはりゾーンの間でボールを持たれてマークが混乱。二川孝広、レアンドロも間で受ける動きはうまく、そこにサイドバックとボランチ、さらにはセンターバックまで絡むと、浦和はすっかりお手上げ状態となった。
「間に入られて、付きにいったところではたかれて、中に入ってきたのに付いていったら、外のサイドバックがきてという形で、こちらの嫌な形を作られて後手を踏んだ。追っかけまわしているけど、ボールが取れない。アプローチをかけてもはたかれるという厳しい展開だった」(平川)
相手のパスワークにまったく対処できない浦和はバランスを崩した状態でボールサイドに寄ることになり、G大阪はボールより後ろにいる人間を使うことで簡単に逆サイドに展開することができた。それが2失点目の形だ。今野泰幸のサイドチェンジを受けた藤春廣輝はフリーでクロスを上げ、DFの間にうまく割り込んでいたレアンドロがヘディングで決めた。
ペトロヴィッチ監督はハーフタイムに「もっとマークの受け渡しをしっかりすること」と指示を出したが、メカニズムに変更はなかったため後半も前半と同じ流れに。浦和は60分にも一瞬の隙を突かれ、藤春のマイナスのパスからうまくマークを外したレアンドロに決められて0ー3。これで勝負は決まった。
G大阪はイエローカードを1枚もらった家長を下げていたため、その後は攻撃のトーンが少し下がってカウンターの比率がアップ。そして思惑通りに速攻から何度かチャンスを作り、87分には二川のパスに抜け出したパウリーニョがGKもかわしてダメ押しの4点目を入れると、後半アディショナルタイムにもパウリーニョが巧みな裏取りからゴール。G大阪はぐうの音も出ないほど浦和を叩きのめし、残留に向けて重要な勝点3をつかみとった。
以上
2012.09.23 Reported by 神谷正明















