たった一つのゴールが清水サポーターを熱狂させ、磐田サポーターを沈黙させた。ダービーらしいぴりぴりとした雰囲気に包まれたこのゲームのハイライトは20分の清水・村松大輔のゴールシーンである。
自陣左サイドからのFKを清水・林彰洋が大きくキック。この後の一連の流れの中から清水の決勝弾が生まれた。林のキックのこぼれ球を拾ったのは清水。すぐさま右サイドへ2度縦パスを入れようとするが、これは磐田の左サイドバックの宮崎智彦にいずれもブロックされる。しかし、宮崎の2度目のクリアボールに反応したのは八反田康平。試合後、清水・アフシン ゴトビ監督に「ピッチでだれよりも走っていた」と絶賛された背番号16がスライディングで粘り、マイボールに。これを拾った村松大輔は一度はボールを失うも、すぐに気持ちを切り替えた。目の前で磐田に小林裕紀→ロドリゴ ソウト→松浦拓弥とパスをつながれるが、松浦拓弥の背後から体を入れてボール奪取。「練習から飛び出す部分も意識的にやっている」と話す背番号2はそのまま相手ゴール前へ直進。「シュート気味の強いボールを入れたら何か起こる」とイメージしていたという河井陽介のクロスを左足で泥臭く押し込んだ。「こういう熱い試合で1点取れたのはすごくうれしい」(村松)。ゴール後はベンチへ飛び込み、喜びを爆発させた。この点、ゴトビ監督の狙いがそのまま出たと言える。「今週の練習は中盤の守備に重点を置き、いい守備をして中盤でボールを奪い、そこからいい攻撃ができるように準備していた」(同監督)。指揮官は「それほどチャンスが多かったわけではないが、効果的にゴールを決めることができた」と笑顔でゲームを振り返り、ダービーの勝利を喜んだ。
一方、敗れた磐田・森下仁志監督は「90分を総括すれば7、8割以上自分たちのプレーができた。あとはゴールネットを揺らすだけだった」と悔やむ。シュート数や決定機の数でも相手を上回ったが、最後まで清水のゴールをこじ開けることはできなかった。ゲームキャプテン・山田大記は「サポーターのみなさんに申し訳ない」と肩を落とし、序盤の決定機を決めきることができなかった前田遼一は「気持ちを切り替えてまた練習するしかない」と唇を噛みしめる。やはりポイントとなったのは失点場面である。ファーサイドでフリーになった河井陽介にボールが入った時点で勝負あり。ボールポゼッション率で勝ったのは明らかに磐田だったが、失点場面に関してはセカンドボールの攻防で清水を上回ることができなかった。静岡ダービーでの連敗は07年以来5年ぶり。最も負けたくない相手に“ダブル”を許す屈辱的な敗戦となった。
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2012.10.07 Reported by 南間健治















