仙台と熊本はJ2の舞台において、2008年と翌2009年に計6試合で対戦した経験がある。しかし両者はその前に、天皇杯で顔を合わせていた。熊本がJFLに所属してロッソ熊本と名乗っていた2006年に、第86回天皇杯の3回戦で対戦している。結果は仙台がPKによる1点を守りきっての辛勝。天皇杯独特の緊張感のもとで、1-0の決着をみた。
当時J2だった仙台は、6年後の今ではJ1で優勝争いの直中にいる。熊本もJ2への昇格を果たし、着実に力をつけ、街のJクラブとして確固たる地位を築いている。当時よりカテゴリーを一つずつ上げた両者の対戦は、当時より高いレベルでの駆け引きを見せてくれるはずだ。6年間でのクラブとしての積み上げはもちろん、終盤戦を迎えている今季のリーグ戦の中での積み上げも問われる要素が多く盛りこまれているからだ。
熊本はリーグ戦の勢いを引き継いでユアテックスタジアム仙台に乗りこんでくる。前節の勝利でJ2昇格以来初の4連勝を達成した。この4連勝中は全て複数得点。失点もこの4試合はそれぞれ1以内に抑えており、バランスは整っている。そして熊本にとって直近の2勝はアウェイの連戦で挙げたものだ。この仙台戦を合わせればアウェイ3連戦という厳しい日程となるが、湘南と山形というJ2の上位を争うチームを破って自信を深めている。
カテゴリーの違いや、最近の戦い方を見れば、熊本はまず最終ラインから隙を与えないポジショニングでスペースを埋めていく守備からゲームに入るかたちが現実的だ。しかしカウンターからのチャンスでは、養父雄仁や藤本主税のキラーパス、五領淳樹の飛び出し、武富孝介の決定力の組み合わせで、ゴールに迫る力がある。
迎え撃つ仙台はリーグ戦で前節・G大阪戦と次節・浦和戦をホームで戦い、その間にこれまたホームの天皇杯・熊本戦が入るかたちとなる。リーグ戦同様にタイトルを狙うこの天皇杯で先に進むために、ホームの後押しを受けて熊本の守備を崩したい。
「熊本は、J1で首位争いをしているチームを相手に結果を出せば注目されるだけでなく自信をさらに深めることができます。我々としては相手のパワーをしっかり認識した上で、仙台の強さを示さなければいけません」と手倉森誠監督は警戒する。では、仙台が示すべき強さとは何か。監督は続ける。「リーグ戦で磨いてきた、しかけの意識や、ボールを握る(支配する)ことにトライして、熊本の守備のオーガナイズを崩したい」。
仙台はJ1第28節を終了した時点で昨季の総得点を10点上回る49点を挙げている。サイドを中心に高い位置でボールを回し、多彩な攻撃をしかけることで攻撃力アップが可能になった。リーグ戦から中3日で選手が入れ替わる部分もあると推測されるが、2回戦ではルーキーの奥埜博亮が、直近のリーグ戦では途中出場の中原貴之がそれぞれ決勝点を挙げたように、ニューヒーローの台頭も期待される。負傷から2週間ぶりに復帰した関口訓充も、自らの突破力に加えて「相手が守備を固めてきたとしても、周囲の選手をうまく使って、連係で崩したい」と意気込んでいる。
なお、水曜日夜に開催されるこの試合について、手倉森監督は多くの方々にスタジアムでの試合観戦を呼びかけている。報道陣にも「ぜひ、告知にご協力お願いします」と異例のお願いがあった。上述した第86回天皇杯3回戦の入場者数は6007人。あの時よりもレベルアップした両チームの戦いを、当時以上のお客さんにスタジアムで楽しんでいただける、そんな夜を期待したい。
以上
2012.10.09 Reported by 板垣晴朗
J’s GOALニュース
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