今のC大阪は、終盤での逆転劇が、もはやお家芸。リーグ戦に限らず、今回も、それは例外ではなかった。天皇杯3回戦、山形との一戦では、CKから先手を許すも、その9分後に杉本健勇のヘッドで試合を振り出しに戻すと、終了間際の89分、藤本康太の約40mはあろうかという豪快なロングシュートが突き刺さり、公式戦では実に4試合連続となる80分以降での決勝弾、1点差での逆転勝利で、C大阪はからくも4回戦進出を果たした。
リーグ戦3連勝と勢いに乗っているC大阪にとっては、ホームのキンチョウスタジアムでの試合、山形より試合間隔が1日多く空いていることなど、この試合では好条件が揃っているはずだった。そして、先発も、茂庭照幸やキム ジンヒョンが負傷や韓国代表戦で不在とはいえ、実績豊富な松井謙弥、山下達也が名を連ね、そのほかは6日の鳥栖戦で出場停止だった丸橋祐介が復帰するなど、ほぼ現状のベストメンバーが揃っていた。
しかしながら、リーグ戦同様に、C大阪は先手を取れず。「思いっきり引いてきてカウンターというスタイル」(酒本憲幸)を敷いた山形に苦戦する。「入り方もそんなによくなくて、試合の流れもどっちつかず」(杉本)のうえ、「今日はちょっとぬるい雰囲気が出ていた」と、藤本。決定機を作れずにいると、30分には、今夏までC大阪にいた山形MFブランキーニョの絶妙なスルーパスから、中島裕希に抜け出されてしまう。この1対1ではGK松井が身体を張ってブロックして難を逃れたが、C大阪としては不本意な内容が、前半は続いていた。
「ぬるすぎる。0-0でいいのか? 延長、PKまで行くつもりか? 決めるところを決めないと勝てない!!」。ハーフタイムでは、C大阪レヴィークルピ監督のカミナリが、イレブンに落ちた。「チーム全体の動きが非常に悪かった。さらに、攻撃において、崩しのプレーというのがまったくできていなかったということで、ハーフタイムに2人の選手を同時に交代した」と指揮官が述べるとおり、後半開始から、C大阪は2枚替えを実行。ケンペス、ヘベルチを下げて、流れを変えるべく、枝村匠馬、杉本健勇を投入する。そこから、枝村や丸橋を軸に攻勢を仕掛けたC大阪だが、セットプレーから一瞬の隙を突かれ、よりにもよって元同僚の山形DF前田和哉にヘッドで先に得点されてしまった。
ただ、ここですぐさま劣勢を跳ね返せるのが、今のC大阪だ。山口螢とのワンツーから抜け出た左サイドの丸橋がクロスを上げると、ファーサイドに回り込んだ杉本が頭で押し込んだ。天皇杯2回戦以来となる41番のゴールで、桜色のチームは息を吹き返し、スタジアムのボルテージも上がった。
その後は、C大阪はポゼッションから、山形はカウンターから、ともにシュートチャンスを作るなど、攻め合ったが、なかなか均衡は破れず。時間は刻々と過ぎていき、このまま延長に入るかと思われたとき、主将の右足が、C大阪を救うことになった。終盤はディフェンスラインが山形陣内にまで入り込むなど、攻勢を強めていたC大阪。そのなかで、「ちょっと思い切り1本打ってみようかなと思っていた」という藤本が、相手の意表を突くようなロングシュートを放つ。これが、まさに弾道のようなスピードでゴールを急襲。それまで好守を見せてきたプロ初先発の山形GK中村隼の手が届かないような絶妙のコースに決まった。この値千金の一発で勝負は決まった。
「心から喜べる勝利ではないというのが、正直なところ」と、レヴィークルピ監督は決して内容には満足していなかったが、「今日一番大切なのは、C大阪が勝って次のラウンドに進んだということ」と、結果を前向きに捉えた。また、殊勲の藤本は、「昨年ももう一歩のところで負けてしまったし、タイトルを取るのはこの大会しかないので、みんなで強い気持ちを持って、C大阪の初タイトルというのを、チーム全員で目指してやっていきたい」と、昨季のベスト4越え、悲願の天皇杯制覇を視野に入れていた。
一方の山形は、ケガから3戦ぶりに復帰したセンターバックの前田を中心に、3日前の熊本戦から守備組織をしっかり修正。「組織だった守備、組織だった攻撃」(奥野僚右監督)も見せて、先手を奪うなど、C大阪を苦しめた。最後は藤本の一撃に泣いたが、奥野監督は「選手たちは最後まで自分たちの力を表現しようと、最大限努力してくれた」とイレブンを称えた。これで公式戦7戦未勝利とはいえ、格上との一戦で「守備に関しては手応えが本当にあった」(前田)なか、J1昇格に向けて、山形にとっては再生のきっかけをつかんだとも言える内容であり、週末のアウェイ岐阜戦での戦いには大いに期待が持てそうだ。
以上
2012.10.11 Reported by 前田敏勝
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