●城福浩監督(甲府):
「湘南は一貫して前に速いスピード感のあるゲームを今シーズン展開していてそれに苦しめられたと思います。最初、湘南が大きなボールから入ったことで、もう少し繋ぎたかったが前の圧力が強くて繋ぐ回数が少なかったかなぁと思う。途中から盛り返してチャンスは作れたと思う。そんな湘南の力を考えると我々のゲーム内容は出来が悪かったとは思わない。反省は勿論失点のところ。あるいは同点にした後すぐに点を取られるところは反省しないといけないが、最後我々は勝点1を取ると昇格できるという状況でしっかり試合をクローズできた。4ヶ月半負けていないチームがしっかり勝ち取った、積み上げてきたものを発揮できた。勝って優勝したかったが、昇格をホームでサポーターと喜びあえてよかった。選手を誇りに思う」
Q:城福監督が就任した時に、「甲府らしさはサポーターと作り上げる」という趣旨の話をされましたが1年間やって見えた甲府らしさとは
「サッカーの話をするとどういうチームのようなサッカーというのはあまり意味がないと思う。自分が選手とともにやるべきことはこのチームの最大値を出すこと。それを一番念頭に置いてきた。その中でやりたいサッカーはあるけれどやりたいサッカーをやるためにこういうメンバーがほしいというクラブではない。最大値を出しながら牛歩のごとくやりたいサッカーに近づいて行くのが我々のあるべき姿。そういう意味では積み上げて行ける選手・チームでないと、牛歩のごとくであってもやりたいサッカーに近づいて行けないと思うので積み上げていける集団であることが大事。今週、火曜日から土曜日の5日間のトレーニングは5カ所の違った練習場でやりました。その中でスタッフが練習の数時間前に練習場に行ってラインを書いたところが3カ所。我々はこういう状況で日々過ごしています。当たり前ですが、何を意味しているかというと毎日全部の荷物を撤収するということです。スパイクもベッドも毎日用意する。想像してほしいが、自分のロッカーがない、部屋がないということがどれだけ負担になるか。僕が知る限りですが、甲府のスタッフはビッグクラブの3倍働いている。その中でJ1に戦って行くという意味では練習に集中できる環境は必要。我々がライン引きのためにグラウンドに早く出ることは嫌ではない。ただ、芝生の種類、ピッチの硬さが毎日違う練習場を転々とすると選手の膝や腰への負担は大きい。これはやった人にしか分らない。甲府は(スポンサーの)大企業の私有地の(設備の整った)グラウンドを借りる訳にはいかないので、山梨の全ての立場の方々がJ1で最低限戦える環境というものを皆さんで考えてもらえるとありがたい。我々は最大の努力をするが、今のJ2で昇格争いをするチームの中でグラウンドを転々としているのは甲府だけだと認識しています。そこの改善をしながらも選手の補強やスタッフのレベルアップも必要。こういうトータル(の環境)がなければJ1で戦って行くことは正直厳しいと思います」
Q:就任時にプロビンチアの象徴という目標を掲げられ、期待していましたが現時点でどの程度のところにいて、この先どう進むのか話して下さい
「これもちょっと違う所から話をさせて貰いますけれど、ちゃんと正確な数字を調べてはいませんが、J2ができて13〜14年、昇格を果たしたチームは(延べで)約40チームくらいだと思います。その歴史の中で1年しかJ1にいられずにJ2から1年でJ1に昇格したチームは京都しかない。06年の京都はJ2に落ちたときに主力はひとりもチームを出ずに、8人の即戦力を獲得した。なので僕は歴史上1年でJ1に上がったというのは少し違うと思います。何故、1年しかJ1にいられなかったチームが1年でJ1に戻ることが難しいのか。それは選手の草刈り場になるから。甲府も6人の選手が海外やJ1に行きました。そういう状況から1年でJ1に上がるのは我々の認識では歴史上初めて。それくらい歴史が証明するように簡単ではない。それを達成したのはプロビンチアの一つの成果。象徴の序章としては一つの成果だと思います。ただ、ここから先は「こういう環境だからJ1に1年しか居られませんでした」という言い訳はしたくない。ここから先、J1でどういう風に定着していくのか。我々よりもはるかに予算規模が大きく、環境がいいクラブとどう対等以上に戦っていけるのかは、私の研鑽を含めて選手とともに積み上げていかないといけないものだと思う」
Q:20ゲーム負けなしの終盤戦。ターニングポイントは?
「時々その質問をされるんですが、我々は前半戦は圧倒したゲームをやってきました。シュート数とCKの数が断トツの1位だった時期がありました。しかしながら勝点を重ねることができない苦しい時期がありました。理由は一つではなく、我々は毎試合、ここまで38試合ですが、その試合でできたこと、できなかったこと、毎試合我々が目指すサッカーの中で何ができて何ができなかったのかは必ずフィードバックします。二度と見たくないシーンでもみんなで共有します。それをやっていくことで何故この試合で勝点0なんだ、勝点1なんだという悔しさでは、前半の三分の一は中位に甘んじましたが、断トツの1位だったと思います。それは我々はクオリティを目指してそれだけ攻め込んで勝点を取れなかった。それには必ず理由があるわけですね。運だけじゃなくて。その理由を一つひとつ骨身に染み込ませて中盤戦を過ごして、終盤になって「もう2度とああいう思いはしたくない」という中で、絶対にやらなければならないこと、絶対にやってはいけないことがみんなの中に少しずつ染み込んで行ったのかなぁと。何か魔法のような言葉や何かの試合でとか、何かの一つのプレーとかで変わるものではない。一つひとつの悔しさを骨身に染み込ませてきた全員の成果だと思います」
以上















