フットボールという競技は不確定な要素が多すぎて、一体何が起こるのか試合が始まってみないと分からない。だから、筆者はいつもプレビュー記事の組み立てに悩む。
だがそんなことを言っている場合ではない。これは大一番だ。10月20日にユアテックスタジアム仙台で激突する2チームは、それぞれ2位と3位という位置から逆転優勝を目指して火花を散らす。
仙台と浦和、両者が第15節に激突したときには互いに守備を重視した慎重な試合となった。「その時の相手の意図は分からないけれど、うちを警戒していたのかもしれない。でも、あの頃より相手も成熟しているし、前回対戦のイメージはあまり持たないで戦いたい」と梁勇基は振り返る。勝点1ではなく3が必要な試合では、ひとつでも多く相手よりゴールするために、両チームとも明確な意図のもと攻撃を組み立てなければいけない。
浦和は今季からミハイロ ペトロヴィッチ監督を迎え、指揮官が広島で実践してきたようにどこからでも攻撃を組み立てられるチーム作りをはじめた。前述の第15節の対戦のように、両サイドを引いて5バック気味にしてカウンターを狙うかたちも状況によっては選択するが、少ない人数のコンビネーションでも相手を崩せるタレントはそろっている。最前線の切れ味鋭いドリブラー・原口元気を筆頭に、創造性豊かなパスで攻撃を操る柏木陽介、攻撃の仕掛け人となるパサーのマルシオ リシャルデス、自身のフィジカルも放つシュートもパワフルなポポなど、枚挙に暇がない。
技術とキープ力の高い1トップ2シャドーのいずれかにボールが収まったところで、浦和の攻撃の組み立てはスタートする。前節の札幌戦では勝点こそ取れなかったが、マルシオ リシャルデスと原口のコンビを中心に何度も決定機を作っていた。
仙台はこの浦和の攻撃に対して「相手の攻撃で止めるべきポイントの優先順位を共有して、前からのプレッシングを機能させたい」(手倉森誠監督)と目論む。さらに「高い位置で奪ってからのボール回しやショートカウンターといった持ち味を発揮できれば、相手のカウンターを発動させないことにもつながります」と上本大海も展望する。下手に受けて立つよりも、今季仙台が取り組んでいる相手陣内でのボール保持がどれだけできるかがポイントになる。天気やピッチコンディションによっては、ロングボールを素早く前線に送ってから攻撃を組み立てることも必要になってくるだろう。
GK林卓人は、得意のフィードについて「今季はこれまでよりもボールを持てるようになる、というコンセプトのもとで、自分も攻撃のスイッチを入れるフィードを生かせるようになってきた」と手ごたえを得ている。浦和戦を前にGKも長短両方のフィードをこれまで以上にトレーニングで磨いているように、仙台は最後尾から最前線まで、相手が攻めに出たスペースを突くためのボール回しを共通理解のもとで実現できるか。状況によって、突くべきスペースもサイドだったり中央だったりと変化が大きそうなスタイルのチームとの対戦となるが、そこは臨機応変に対処したいところだ。
両チームが今季磨いてきた集団でのボール回しを、ピッチ上で特に発揮すべき時。それがこの上位直接対決という大一番だ。「プレッシャーやストレスの中でも自分たちらしさを出すことが大事だ」と、手倉森監督はチームに呼びかけた。そして「チケットは完売していると聞いています。そのなかでやれるのはいい経験になるし、個人的にも楽しみです」と梁は意気込んでいる。両チームのサポーターから熱い声援を受けるなかで、自分たちの志す攻撃を実現し、タイトルに向けた道筋を組み立てることができるのは、仙台か、浦和か。決戦の時は迫る。
以上
2012.10.19 Reported by 板垣晴朗
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