京都は昇格のために、岐阜は残留のために、共に欲しかった勝点３は京都が前半で試合を決め、積上げを果たした。
中２日で臨んだ岐阜はメンバーを変えず、京都は、駒井善成の１トップに、福村貴幸をボランチに据えた。ゲームは、8分に岐阜ＦＷ・佐藤洸一がシュートを放ち、14分にはＦＫから服部年宏がノーマークでシュートを放つなど、京都ゴールに迫ったが決め切れず、逆に京都に一瞬の隙を突かれた。
15分、チョン ウヨンが岐阜の中盤にチェックに入り、ボールをカットすると、そのボールが駒井に入る。駒井が岐阜センターバックに向かって仕掛けると、こぼれたボールをすかさず右足アウトサイドでゴール隅へ流し込む。欲しかった先制点を奪った京都。これで勢いをつける。
19分にはＦＫのクイックリスタートで一瞬の隙を突いた安藤のシュートがバーを叩き、23分には右サイドでＤＦの股を抜いた駒井がマイナスの中村充孝へ送ると、中村が左足で鋭いシュートを放つ。京都が岐阜を攻め立てる。
そして28分。岐阜が左サイドから右サイドへ送ると、安藤淳がこれをカットし、一気にドリブルに入る。中では工藤浩平が前へ入ると、安藤がそれを越えて裏の駒井へ。これを駒井が相手ＤＦをかわしシュート。ＤＦにあたりながらも岐阜ゴールへ決めて京都が追加点。２−０とする。
その後も安定したゲームを見せる京都は、安藤が右サイドで裏を獲りクロスを上げてＣＫを得ると、40分、チョン ウヨンの入れたボールを安藤が頭で合わせて京都、３−０とする。

前半で一気に優位に立った京都だが、後半早々、一瞬の隙を付け込まれる。後半3分、京都のクリアボールを田中秀人が跳ね返すと、佐藤洸一が胸で前の樋口寛規へ。樋口がこれを持ちこんでシュートを放つと京都ゴールへ突き刺す。これで京都は３−１とされてしまう。
この後、岐阜の積極的な守備に京都もなかなかシュートに持ち込めず苦戦するも要所を締めて試合終了。京都が白星を挙げて勝点３を手に入れた。

試合後、岐阜・行徳浩二監督は「予想以上に気温も上がって」と、木曜日のナイトゲーム、中２日での日中の試合で、チーム全体のコンディションが上がらなかった点を指摘した。ハーフタイムを挟んで積極性を戻しただけに、前半に失点を重ねたのは痛かったところだろう。

京都は、駒井の先制点と追加点はチームを救ったと言っても過言ではないだろう。駒井の個人技にフォーカスが当たるだろうが、その前の形に注目したい。１点目はチョン ウヨンが岐阜陣内高い位置でボールを引っかけて、それが駒井にこぼれたもの。２点目は自陣で岐阜のサイドチェンジのボールを安藤がカットしてドリブル。そこからのクロスを駒井が決めたもの。つまり、カウンターである。これも京都の強みである。
京都はパスで崩すことを極上としている訳ではなく、相手を押し込んでから相手ボールを奪ってフィニッシュ。相手の攻撃を止めて、京都の攻撃にしてフィニッシュと、パスで崩す、カウンターで決める。どこからでも攻撃出来る。今節、それを確認できたのではないか。
逆に言えば、岐阜の１点も京都を崩したというよりは、京都のクリアボールを跳ね返して、佐藤の落としを樋口につなげたもの。こちらも攻守の一瞬の切り替えで京都の隙を突いたという感じだ。相手の隙を突く、相手に隙を見せない。これもサッカーの原点だろう。

さて、もう一つ。京都のパスの出してと受け手の関係で興味深いシーンがあった。後半9分、工藤から裏に走る中村へのパス。その直後のチョン ウヨンから工藤への足元へのパス。前半26分の中山から中村への裏へのパス。工藤から中村、中山から中村へのパスは中村の動き出しを出し手が感じたもの。受け手と出し手のイメージ共有で通そうとした瞬間だ。
チョン ウヨンから工藤へのパスは、走る工藤の足元へのパス。非常に主観的な感想だが、パスの受け手と出し手が、二人の関係性と精度で「この辺りか」という程度以上の「こう欲しい」「ここに出せ」というこだわりを出していた様に観えた。
結局はフィニッシュには届かなかったが、リーグ最終盤に来てもレベルアップをしようとする意欲を感じ取れた気がする。次の試合につながることを期待したい。

京都はいよいよアウェイ３連戦に入る。そして、最終節は西京極だ。舞台は出来ている。白星を重ねて、西京極ではスタジアムを期待で一杯にして欲しい。

以上

2012.10.22 Reported by 武田賢宗