残り3試合となった2012シーズン。愛媛はそのリーグ後半戦で大きく失速してしまい、目標としていた昇格プレーオフ進出が叶わなかった。逆に”J2残留”という言葉すらちらついてしまった今シーズンだが、既に残留は確定。あとは順位をどこまで上げられるか、という状況になっている。こうして今は既に昇格も降格もない状態ではあるが、それでも戦い続けなければならない理由がある。リーグ後半戦、悔しい思いをさせてしまったサポーターのため、そしてふがいないプレーをしてしまった自らのプライドにかけて。それに加えて、今節は何よりも「首位を叩く」、「甲府の無敗記録を止める」ということが愛媛の選手たちのモチベーションを高める要素として小さくない。
「どれだけできるかという楽しみもある」と前野貴徳は話すが、シーズン後半の長いトンネルを抜けて立ち直りを見せた愛媛にとって、今節は力試しの一戦。4バックから3バックに変更して、直近の5戦で負け無しという結果を出したサッカーが、21戦負け無しという大記録を続ける相手にどこまで通用するのか。伊東俊は「首位のチームに同じサッカーができれば」と語るが、甲府戦でも奪ってから手数をかけずゴールへ向かう姿勢を見せ続け、金星を手繰り寄せたい。その攻撃面で言えば、前節の町田戦で得た4得点は選手たちにとって大きな自信になっているだろう。特に前線の3人はそろってゴールを決め、伊東と加藤大はようやく愛媛初得点も記録。「3人の攻撃は上手くいっているから、その中で自分は持ち味を出していきたい。ボールを受けて前を向くこと、そこからいい判断をしてチャンスにつなげたい」という加藤のチャンスメークや伊東の突破力、そして有田光希のゴールへの嗅覚が甲府の守備陣を慌てさせることができるかが今節は楽しみだ。
一方で、甲府の素早い攻守の切り替えや高い得点力をどう封じるのか、というポイントも見所。その部分について、3バックではセンターを任されるようになった田森大己は「ダヴィに関しては1人ではどうしようもないところがある。互いにカバーをして、試合を通して高い集中力を保たないと」と、J2得点王を警戒する。同じく3バックの一角、関根永悟は「ダヴィはもちろん、フェルナンジーニョもいるし彼らはJ1クラス。個人で勝てなくても、全員で守り抜きたい。ゼロに抑えられれば負けることはない」と意気込む。そして中盤のワイドに位置する前野は「サイドの速い選手に負けないこと。その上で、逆に積極的に仕掛けたい」と語るが、とにかく愛媛は守勢になれば5バックでしっかりブロックを作りつつ、それでも常に反撃に転じる姿勢を見せることで相手を牽制したい。
対する甲府は、J1昇格もJ2優勝も決めた後の試合でどんなパフォーマンスを見せるのか。唯一残されたミッションとなった無敗記録を伸ばし続けるために、そして来季のJ1を見据えた上で、甲府の選手たちがどんなプレーを見せるのかは、甲府のサポーターだけでなく全てのJ2ウォッチャーが注目するところ。だからこそ、この試合で愛媛は持てる力を発揮することが大事。甲府の記録を止めるような結果を得られれば、もう一度愛媛の存在感を示すことができるはずだ。
以上
2012.10.27 Reported by 近藤義博
J’s GOALニュース
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