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【J2:第40節 栃木 vs 松本】プレビュー:コンパクトさ+追加点で前回対戦の再現を狙う栃木。古巣に挑む松本のエース船山は強固なブロックを突き破れるのか。(12.10.28)

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日中と朝晩の寒暖差が激しく、体調のコントロールが容易ではない晩秋。栃木は調子を落としている。

J2初優勝を遂げた甲府、J1昇格圏内に浮上した京都に善戦しながらも連敗を喫し、続く福岡戦では先制点のアドバンテージを活かしきれずにドロー。前節は勝った方が昇格レースに生き残る、まさにトーナメントの決勝のような痺れる緊迫感に包まれた東京Vとの決戦を、まさかの1‐4で落としてしまい、ついに自動昇格の可能性が断たれてしまった。残り3試合で6位・千葉との勝点差は6。極めて厳しい状況に追い込まれたと言える。しかし、可能性が少しでも残っている限りは、握った両の拳を下ろすわけにはいかない。例えどんな状況であっても勝利は追求しなければならない。特にホームである以上、勝点3は必ず求められてくるし、ファン・サポーターも歓喜に飢えているはずだ。今節も、残りの試合でも、目の前の試合だけに魂を込めて、全力で戦い抜く必要がある。100%を出し切る。それが松本戦のメインテーマになるだろう。

前々節の福岡戦、前節の東京V戦の2試合で気になったのは、DFラインが低いこと。個でボールを奪い切れるパウリーニョが2試合とも不在だったとはいえ、栃木の生命線であるコンパクトさに欠け、指揮官の本望ではないリトリートした形が時間帯によって散見された。おそらく松本戦では出場停止明けの“闘将”パウリーニョが復帰することで、ズルズルとラインが後退する事態は回避されるだろう。しかし、「ラインを上げて個人ではなく組織で行けるようにしなければいけない」と菊岡拓朗が言うように、やはりラインを高く維持し、相手陣に近い位置で引っかけてカウンターを仕掛ける、栃木スタイルを取り戻すことが、5試合ぶりの勝利の鍵になってくるはずだ。前線のターゲット、塩沢勝吾にボールを送り込んでくる松本の圧力に屈することなく、コンパクトな守備体系を保ちたい。

「ゴールにボールを入れたらいんじゃないですかね」
32節の横浜FC戦以降、複数得点が奪えていない栃木。菅和範に追加点を奪う方法に関して問うと、先の単純明快な答えが返って来た。つまり、「決まった正解や方法はない」。でも、と菅は続けて、「チャンスは作れている」。前節の東京V戦でもサビアの同点弾後ほどなく、高木和正に絶好機が巡って来た。そこで決めていれば勝負は決していたかもしれない。6月に松本と対戦した時には前半の早い時間帯に先制し、後半開始早々に加点と、理想的な試合運びで快勝している。まずは3バックの弱点を徹底して突いて先行し、相手が前掛かりになったら高速カウンターから、あるいは得意のセットプレーからゴールを重ね、前回のような必勝パターンに持ち込みたい。

ホーム3連戦を2勝1分で終えた松本は、栃木をかわしてついに今季最高の9位にまで順位を上げた。J2は初舞台ながら走力を活かした3‐4‐3で、昨季の北九州のようにリーグに旋風を巻き起こしている。松本の軸は、昨季まで栃木に在籍していた船山貴之だ。前回の対戦後、一通り取材を終えて「グリスタで待っている」と伝えると、「栃木戦は最後のほうだから(出場できるか)わからない」と言っていた船山だが、いい意味で騙された。前節の水戸戦では先制弾を叩き込み、今季11ゴール目をマーク。ゴール以外にも前線でキープしてはタメを作り、さらにチャンスまで演出し、今や万能型ストライカーとして松本のエースにまで成長した。一皮剥けた船山と栃木の強固な守備組織のバトルは、両チームのサポーターにとって注目ポイントになるだろう。また前節、過密日程を考慮して前半は死んだフリ、後半は一転してシステムを4−4−2に変更し勝機を手繰った反町康治監督が、果たしてどんな手を打ってくるのか。正攻法か、それとも奇策か。駆け引きも堪能できる一戦になるだろう。

残すところ今季の栃木のホームゲームは松本戦と北九州戦の2試合のみ。ここ数試合、栃木は本来の姿が鳴りを潜めているだけに、8月22日の愛媛戦以降、2か月以上も遠ざかっているグリスタでの歓喜を味わうために、誰がどこからどう見ても栃木らしい、カチッと引き締まった試合をしたい。そうすれば、自ずと結果は付いて来るはずだ。

試合中に燃焼し、凱歌「県民の歌」でさらに燃え上がり、でも風邪予防は怠らず、清々しく月曜日を迎え、心地良い秋の日差しに包まれたい。

以上

2012.10.27 Reported by 大塚秀毅
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