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【J1:第30節 鹿島 vs 清水】レポート:金賢聖が1ゴール1アシストの大活躍!ヤマザキナビスコカップ前哨戦は清水が勝利をおさめる(12.10.28)

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「悔しいです…」
絞り出すように声を出すのが精一杯だった。悔しさに打ち震えながら小笠原満男はスタジアムを後にする。
「ピンチらしいピンチがそんなにないなかで決められてしまった」
ゴールを守った曽ヶ端準は多くのコメントを残したが、その表情は能面のようだった。
「失点したところ以外は相手のいい形もなかった。ただ、それは事実として受け止めないといけない。そこは清水の得意なところだった」
試合を冷静に受け止めていたのは青木剛。ピッチを広く使い、サイドからのクロスを武器とするのは清水が得意とするところ。後半は相手のシュートを1本に抑え、終盤には何度となく決定機をつくったがゴールは遠く、前半の2失点が重くのしかかる。あとに残されたのは厳しい結果だった。

翌週(11/3@国立)にヤマザキナビスコカップ・ファイナルを控えている両チームの対戦は、清水のゴドビ監督の心理戦から始まった。コイントスのあとにコートチェンジを指示。03年から勝利のないカシマスタジアムで凱歌をあげるため、打てる策は全て打つ姿勢を見せる。
それにより歯車を狂わされたのか、鹿島の守備が集中力を欠く。7分、清水最終ラインの平岡康裕から鹿島・ドゥトラの背後を突いた吉田豊にロングフィードが通る。大前元紀がインサイドに絞ってつくったスペースに飛び込んだ吉田に対し、青木剛が慌ててマークに寄せるが、吉田のちょこんとした折り返しがゴール右前に入ってきた金賢聖に渡る。後手を踏む鹿島の守備。岩政大樹がスライディングでシュートを阻止しようとしたが、左利きの金にとってはそれが逆に奏功する。左足に持ち替えて至近距離から打ち抜くとあっさり先制点が決まった。ドゥトラと新井場のところでマークの受け渡しが曖昧なまま後手を踏み続けた鹿島の守備には痛恨の失点となった。

しかし、トップ下として久々に先発した本山雅志にボールが集まるようになると、鹿島がチャンスをつくる。激しくボールを追う清水の選手たちを翻弄するパスワークを見せ、大迫勇也がDFラインの背後に抜け出す決定機をつくった。しかし、1度目の中途半端なループシュートは林彰洋の手におさまり、2度目のシュートはゴール左へと外れてしまう。そのまま前半が終わるかと思われたが、43分、右CKから岩政大樹が右足で合わせ鹿島に待望の同点弾が生まれるのだった。
攻めながらも得点が奪えない嫌な流れを断ち切る得点にスタジアムは沸き立つ。しかし、この日の清水は先発11人の平均年齢が22.82歳と非常に若いメンバー構成だったが、試合の機微を見逃さなかった。キックオフからすぐさま反撃に移ると、1度目のアタックは失敗したがセカンドボールを拾い、金が左から2度目のクロスを中央に送ると、大前が頭から飛び込み、あっさりと鹿島を突き放す。

後半、両チームともスピード感が減退したが、鹿島のジョルジーニョ監督が積極的な交代策を見せ始め、試合が動き出す。61分、西大伍に代えて興梠慎三を入れ、右サイドバックに柴崎岳を移すスクランブル態勢を敷くと、いきなりチャンスを作り出す。しかし、興梠のクロスに飛び込んだドゥトラのヘディングシュートはポストに弾かれる。80分、ドゥトラに代えてジュニーニョを送り出し、今度は左サイドから攻め立てたが最後までゴールを割ることができなかった。

試合開始前のコートチェンジが直接的な影響を及ぼしたとは思えないが、試合終盤の厳しい時間に選手や清水から駆けつけたサポーターの心理に微妙に影響したのは確かだ。
「私は運を信じていません。我々が自分たちで運をつくるんです。それは準備でしたり、組織をオーガナイズする、努力によってつくるものです。そして、特に姿勢が大事になってくると思います」
試合後、選手のパフォーマンスを誇ると同時に、勝利のために努力を惜しまなかったことを自負したゴドビ監督。「長い間勝ち取れていなかったトロフィーを手にしたいと思います」と、ヤマザキナビスコカップ優勝に向けても自信の程をうかがわせた。

一方のジョルジーニョ監督は「JリーグはJリーグであって、ヤマザキナビスコカップはヤマザキナビスコカップなので切り替えていこう」と、選手に切り替えを促した。攻撃は自信を得ただろうが、守備の綻びをどこまで修正できるか課題を残す。リーグ戦ではさびしい状況なだけに、カップ戦ではサポーターに歓喜をもたらしたい。

以上

2012.10.28 Reported by 田中滋
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