愛媛も甲府も今シーズンを通じて蓄えた力を発揮しつつも、シーズン終盤の難しさを感じた一戦。17位の愛媛がJ2優勝を決めたばかりの甲府に挑んだ一戦は、互いに譲らず結局はスコアレスドローに終わった。バルバリッチ監督が「守備で我々は相手に勝るとも劣らない落ち着きを持って守ることができたと思う」と試合を振り返ったとおり、規律を持ってブロックを保ち、スライドを続けて甲府の攻撃を封じた守備は愛媛にとって今シーズンの成長を示せた部分。ダヴィに対しても、入ってきたポジションの選手たちが次々とプレッシャーをかけて、90分間粘り強く対応できた。前線の3人も甲府の最終ラインにしっかりとプレッシャーをかけて、ショートカウンターのチャンスをうかがった。それが実を結びそうになったのが前半30分。加藤大が相手のビルドアップのボールを奪うと、最後は有田光希へ。シュートはGK荻晃太のファインセーブに阻まれたが、愛媛にとってはこれが最もゴールに近づいたシーンだった。
ただ、守備の堅さは甲府も同じ。しっかりと3ラインを作って、愛媛にボールを持たれても慌てない。大きなサイドチェンジで愛媛が両サイドのワイドにポジションをとる前野貴徳と石井謙伍を使おうとしても、素早くポジションを取り直して対応。10試合ぶりに先発したドウグラスもしっかりと有田を抑え、カウンター以外の場面で愛媛に攻撃の形を作らせなかった。ただ、攻撃では物足りなさも。しっかりと組織を整える愛媛の守備に対して最終ラインからつないだものの、ほころびを見つけることはできなかった。それならと、前線の選手がしかけても人数をかけて守る愛媛の守備は崩れない。後半13分には右サイドでスピードアップ、ダヴィを経由したダイレクトプレーで井澤惇がシュートを放ったがGK秋元陽太の飛び出しに阻まれた。そして、最大のチャンスは後半33分。甲府はPKのチャンスを得たが、ダヴィがはずしてゴールならず。結局、90分間を通じて愛媛が放ったシュートは4本で、甲府は5本。互いの守備の堅さが際立った試合だった。
「外から見ると全てが終わったと思われるような状況の中で、この1週間は準備をした」と城福浩監督は会見で語ったが、J2優勝を決めた直後の試合でも最低限の結果を残したのは甲府の強さでもあるだろう。「内容が悪くても勝てるし、負けないチーム」と田森大己は今季の古巣について語ったが、崩せそうで崩れない甲府はこの試合でもその力を見せた。これで無敗記録は22試合に伸びたが、残り2試合でも甲府はその強さを示し続けられるか。次節はホーム最終戦(11/4@中銀スタ)で熊本を迎え、記録に挑戦を続けることになる。
一方の愛媛は、これで6戦負け無し。そのうち、4試合が完封という守備は大きく評価ができるところだろう。甲府と千葉、湘南と引き分けたことで、勝てなかった時期に失った自信を取り戻すこともできたはずだ。次は、どうやって勝点3を拾うチームになるか。「後半は特に自分たちのサッカーができず、そこでポゼッションをしたり距離をとって回すことができたら、もうひとつ上にいけると思う」と前野は振り返ったが、ゴールを奪って勝ち切る試合を見せることが残りの試合で挑戦し続けなければならないポイント。愛媛も次節はホームで今季最終戦(11/4@ニンスタ)を戦うが、草津に勝って有終の美を飾ることはできるか。勝てば、順位を追い抜ける相手でもあり、1つでも上を目指す愛媛にとって消化試合は一試合もない。
以上
2012.10.29 Reported by 近藤義博













