立ち上がりこそ大分の硬さが目立ったが、試合を通して優勢だった。早いプレスでボールを奪っては前線の森島康仁に預け、そこへスピード豊かに木島悠やチェ ジョンハンが絡み、積極的な突破から攻撃の形をつくった。一方の福岡もやられっぱなしというわけではなく、しっかりブロックをつくって、そこからパスをつないでゴールを狙う姿勢を見せた。
田坂和昭監督は「福岡は中央を固めてショートカウンターを狙ってくるから、サイドを狙うことはチームとしての狙いだった」と、この試合のプランを語り、ハーフタイムでも「サイドでチャンスがつくれている。徹底的に継続していくぞ」と指示を送った。後半に入ってから、より効果的にプレスがかかるなど大分の中盤での優位がさらに顕著なものとなる。しかし、シュートの一歩手前の精度に欠き、得点を奪うことができない。
停滞した状況を打破したのはストライカー森島だった。67分にCKの流れから、この試合で再三決定機をつくったチェ ジョンハンが左サイドを突破し、中央へのパスを受けた森島が左足を振り抜いた。「おっつけてシュートを打てた。無心だった」と決勝点に顔がほころんだ。前節は不甲斐ない試合をし、サポーターを失望させた。人一倍責任感の強い男は、「(前節の)鳥取戦ではプレッシャーを感じ、サッカーを楽しめていなかったので、今の状況を楽しもうと思った。前半は得点出来なかったが、焦りは全くなかった。ウチがゲームを支配していたし、あとはどう決めるかだけを考えていた」と冷静に対処した。
首の皮一枚で、J1自動昇格に踏みとどまる大分。絶対に負けられない一戦だけに、のしかかるプレッシャーは想像に難くない。とはいえ、そんななかで決めるべき選手が決め、勝利に貢献する。チームの雰囲気が俄然高まるのは言うまでもない。
一方の福岡は、前半から持ち味を発揮しようとしてはいた。しかし、それがエキサイティングな内容につながっていたかといえば、疑問は残る。シュート数はわずか3本。「守備の面では、長いボールに対して対応は出来ていたと思うが、奪った後にしっかりと前へ出ていって、ポゼッションをするというのが出来なかった」と鈴木惇が振り返ったように、自分たちのサッカーに徹せなかった。福岡の戦力を考えれば、18位はらしくない結果だ。すでにJ1昇格も、JFL降格の可能性はないが、「自分たちのためというよりも、支えてくれている人たちのために戦わなければいけない」(鈴木)。残り2試合でサポーターに感謝を伝えたいところだ。
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2012.10.29 Reported by 柚野真也













