終わってみれば2-0。開幕戦と同じスコアで、同じ勝者が誕生した。やるべきことがやれずに完敗した当時と違い、敗者の側に一定の手ごたえは残ったが、簡単には埋まらない大きな差は今回も実感することになった。そして何より、昇格の権利を懸けた直接対決で結果を残せなかったことで、可能性は大きく遠のくことになった。勝った千葉の6位は変わらない。しかし、ライバルとなる相手を突き放し、勝点で並んでいた7位・東京Vにも水を空けたことで、大きな一歩前進。逆に、敗れた8位・山形は残り2試合で千葉との勝点差が5に開いた。
立ち上がりは山形のものだった。開始3分、ブランキーニョのクロスを山崎雅人が胸で受け、スイッチした林陵平が倒されてフリーキックを得たところから一気にペースを握る。高いライン設定によって中盤でよくボールを奪い、スペースを突いて積極的にボールを前に運んだ。しかし、問題はここから。「攻撃のところでチャンスがたくさんあったし、あと一歩のズレとか、トラップの置き場所とか、センタリングとか、そういった雑なところは今シーズン、今日の試合だけじゃない。最後はそういったところの差だと思います」と山崎。外から中へのクロスが受け手に合うことがほとんどなく、中央でほんの少し判断を迷えばすかさずボールを弾かれた。途中で左サイドに移った中島裕希も高橋峻希に対応され、コーナーキックは取れたものの、前半に獲得した3本のコーナーキックはすべて千葉のゾーンディフェンスに跳ね返された。
一方、兵働昭弘の出場停止で大塚翔平が1.5列目に入り、センターフォワードも荒田智之から藤田祥史に代えた千葉は、立ち上がりから再三ピンチを迎えたが、これをしのぐと本来のペースを取り戻していく。序盤は厳しいプレッシャーを受けミスの起点となっていた佐藤健太郎も、虎視眈々と形勢逆転を狙っていた。22分、山形の右サイドバック・宮本卓也にアプローチし、フィードをブロックするとボールを追って左スペースからクロス。左足を振り抜いた藤田のシュートが枠をとらえることはできなかったが、その7分後にも一気の飛び出しからクロスを上げ、2列目から入ってきた谷澤達也にシュートを打たせている。千葉は両サイドバックを高く上げてはいたものの、遮二無二先制点を求めた内容ではなかった。しかし、慌てもじれもしない試合運びを続け、40分を目前にする頃には藤田、大塚が山形のセンターバックにプレッシャーをかけるシーンも目立ち始めていた。
後半は千葉ペースで始まったが、その勢いのまま迎えた50分、右コーナーキックで谷澤のボールをヘディングで合わせたのは竹内彬。「練習していた形だったし、CKのボールがいいボールでした」と一度膨らんで中央のスペースに飛び込んだが、米倉恒貴が竹内のマーカーをブロックするなど周到に準備された動きを、この試合最初に獲得したコーナーキックで結果につなげた。
ゴール前の精度の差を見せられ、先制された山形は、1点を追い前がかる。しかし、「自分たちが置かれた立場から考えると、2点を取らなきゃいけないということが、少し頭によぎったように思います。今度は得点を取りたいという気持ちが、多少自分たちのバランスを崩すことになり、後半は相手のペースになった部分があった」(奥野僚右監督)。ポゼッションではJ2でもトップクラスの質を誇る千葉が相手だけに、前半から維持してきた守備での距離感が微妙にズレ始め、コンパクトさが薄れた陣形のなかで千葉にボールをつながれた。60分には比嘉厚平を、66分には廣瀬智靖をピッチに送り込んだが、動きが活性化し、決定機をつくれたのは最初だけ。1点のリードを盾に巧みにボールを動かす千葉がゲームをコントロールしていた。
72分には千葉のショートカウンター。藤田のスルーパスに荒田、米倉の2人が飛び出す決定機で、荒田のシュートをGK清水健太がストップ。その4分後にはカウンターで宮本のクロスに比嘉が胸トラップからシュートを放ったが、これもGK岡本昌弘の正面を突いた。終盤にはさらに間延びし、疲労や焦りから互いにミスが頻発していたが、山形の足が止まった時間に飛び出したのが千葉の追加点。88分、敵陣でクリアミスを拾った谷澤から攻撃がつながり、渡邊圭二のクロスに荒田が滑り込んだ。これで勝敗は決した。疲労困憊の山形に、終盤でなお質の高さを保つ千葉の攻撃は止めきれなかった。
「いかにして点を取っていくか、そのことだけを考えて1週間準備をしてきました」と千葉・木山隆之監督。兵働不在のなかで、直接対決3連戦をようやく勝利で締めくくることができた。「昇格ということを考えたときに、プレーオフに進むことしか、いま現状としては残っていない状況だと思います」と現実的な見方を示したが、「残り2試合、しっかりと先を見て進んで、権利を勝ち取りたいと思っています」と結んだ。
敗れた山形は、昇格がきわめて厳しい状況になった。この一戦の重みを背負って臨んだだけに、敗戦が意味するものが何かを知っている。13時キックオフで他会場の結果が確定していないなかではあったが、選手たちのコメントは「1試合1試合全力で戦うしか自分たちはできない」「次の試合で勝点3を取れるようにやりたい」(山崎)というものに限られた。「結果、点を取れるかどうか、それに尽きる」と話したのは石川竜也。「前半、先に僕たちの流れがいいときに点が取れなかったというのが一番もったいないかなというのはあります。攻撃的にやろうというなかで点が取れないのが一番バランスを崩してしまう」。大きな課題を残したまま、残り2試合。まずは気持ちを立て直す必要がある。
以上
2012.10.29 Reported by 佐藤円













