12位北九州と19位富山。去年までならば「少しでも上に」という目標で最終盤に臨み、ともすれば来季さえ見据えてメンバーを組むような順位と時期だった。それが今年は結果を求めなければいけない難しい試合が用意された。富山と22位町田との勝点差は4。今節の結果次第では最終戦まで残留確定が持ち越しとなる。来季もJ2で戦い、J1への夢を繋いでいくために、富山はアウェイの地で落としてはならない試合を迎える。
試行錯誤を重ねて安間貴義監督のサッカーは進化を遂げてきた。監督就任から間もない2010年10月30日に北九州で対戦した際には、「3−3−3−1」の布陣を敷いた。それは奇襲ではなく、コンパクトに戦うための考え抜かれた陣形であり、北九州は対応しきれないまま1−2で敗戦。「3−3−3−1」はその後、注目を浴びるようにもなった。今季は中盤の布陣に変化が出ているが、J2リーグでは少ない3バックは続けている。そこにサッカーへのこだわりと信念が伺え、選手もまた決して現在の位置を悲観してはいないだろう。
それでも前節は湘南に0−2で完敗。ブロックを作ってもなお、守備のもろさをカバーできず、攻撃面でもチャンスをものにできなかった。「試合のポイント、ポイントで差を埋めていけるタイミングはあったが、自分たちで良い方向に持っていけなかった」と安間監督。流れとしては決して悪い試合ではなかったが、「差を埋めるタイミング」を生かせなかったのは、あと一歩、あと一秒の微妙なギャップだった。それを「精度」というならば簡単には縮まらないかもしれないが、あと一歩を踏ん張れるモチベーションの違いならば今節は埋められるだろう。北九州・三浦監督は「(富山は)しっかり築き上げてきたチーム。全員の選手が共通理解のもとで戦っている印象を受ける」と話し、富山のメンタル面での強さも警戒する。
一方の北九州は今節がホーム最終戦。6位以内に入ることはできなくなったものの、ここで勝利すれば再び一ケタ順位に達するチャンスがある。三浦泰年監督は「42分の1であると同時に、ホーム最終戦である。2つの状況を使い分けながら、モチベーションをコントロールしてピッチに立つことが大事だ」と力を込め、木村祐志も「去年もホーム最終戦は勝てなかったし、最後も引き分け。42分の1の試合だが、最後が勝つと負けるとでは大きく違う。勝てばまだ上に行ける」と応じた。北九州はセンターバックのキローラン木鈴が負傷のため出らないが、前線ではレオナルドが復調するなど明るいニュースも多い。ホーム最終戦で有終の美を飾れるか。総力戦で勝点3を目指す。
勝敗を分かつポイントは「北九州らしいサッカー」ができるかできないか。
北九州が勝機を見いだすとすれば、北九州らしいサッカーをする時間を増やすことに尽きるだろう。それは決して主導権を握るという意味とイコールではない。
前節の京都戦では後半、ボールホルダーへのサポートを増やしたり、相手の運動量が落ちたりといった自分と相手の両方の要因が重なって、ボールの動かし方が改善。前へ向いて効果的なボールが入り、チャンスができていった。この後半のように意味のあるボール回しを前半から仕掛けられるか。「もっと自分たちのサッカーを追求していくことが大事」と竹内涼。キャンプから積み上げてきたボールを大事にするサッカーを開始のホイッスルから、試合終了の瞬間まで続けていければ、結果は必ずついてくる。
こうした北九州のサッカーについて、富山・安間監督は「北九州はゴールに向かってボールを回せるチーム。ゴールに直結するプレーを選択してくる。個人の能力も高く、球際でも戦っている」と分析する。ただ、富山が勝つためにはこの攻撃を正面から受けてしまってはならない。ずるずるとラインを下げてしまえば、北九州にボールを回されてしまい、湘南戦と同じ反省点を残してしまう。北九州らしいサッカーをさせないように先手を打ち、自分たちのリズムに引きずり込みたい。
長かったシーズンも残り2試合。今季の本城での試合はこれが最後となる。思えば雨に風にと打たれ、思わずJ2日記で雨特集を組んだのが遠い昔のように感じられる――。それでも本城は本城であるらしい。いまちょうどテレビでは週間天気予報を報じていて、日曜日の微妙な天気を告げている。そういえばその遠い昔、木村が言っていた。「雨は嫌いじゃないですよ。むしろやりやすい」と。この雨は北九州に微笑むだろうか。あるいは富山が自力で残留を決めるだろうか。
鈍色の空に花を咲かそう。あと一歩のモチベーションに力を与えるのはいつもサポーターの声だ。
以上
2012.11.03 Reported by 上田真之介
J’s GOALニュース
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