今日の試合速報

チケット購入はこちら

J’s GOALニュース

一覧へ

【J2:第2節 群馬 vs 鳥取】レポート:ベンチが吹き飛ぶほどの強風に両指揮官もお手上げ。90分間の蹴り合いは、見所を欠くスコアレスドローに終わった。(13.03.11)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
予報通り午後に入ってから吹き始めた風はキックオフが近づくにつれて激しさを増した。強風を予想した運営サイドは事前にアドボードをすべて撤去して安全策をとっていたが、吹き荒れる北風は予想をはるかに上回った。ピッチサイドのアウェイ側ベンチボックスが突風を受けて横転する事態となり、スタジアムに掲げられていた横断幕もすべて外された。からっ風には慣れているはずの群馬県民も逃げ出したくなるほどの強風の中で開催された試合は、サッカーの試合と呼ぶにはあまりにも酷。群馬と鳥取による90分間の蹴り合いは勝点1を分け合うに終わった。

ホーム開幕戦を迎えた群馬は、開幕戦を欠場したエース平繁龍一と、前節負傷退場した青木孝太が揃ってスタメンに入りベストメンバーを組んだ。一方の鳥取は開幕戦と同じメンバーで連勝を狙う。初勝利を誓う群馬と開幕連勝を狙う鳥取。両チームともにこの試合に向けて1週間の準備をしてきたが、人智による戦術や秘策は自然の前では無力だった。

前半、風下に回った群馬の敵は、やはり風だった。開始2分には武田英二郎のFKが脅威のスピードでGK内藤圭佑を強襲、さらにGK前でバウンドしたロングボールが頭上を越えていくなど一瞬たりとも気が抜けない時間が続く。「風を計算に入れて動いたが予想を越える強さだった。でもみんなが集中して守ることができた」(GK内藤)。群馬は前半アデショナルタイムにFKから小柳達司が決定機を迎えたが枠を捕えられずに折り返し点を迎えた。

風下の前半を耐え忍んだ群馬にとって風上に回る後半はこれ以上ないチャンスだった。勇気を得て後半に入った群馬は追い風を味方につけて攻撃を開始していく。だが風が若干弱まるという環境の変化と、鳥取の素早い出足に進路を阻まれていく。群馬は、自陣に引いてブロックを組む鳥取守備網を突破することができずに時間だけが経過していく。ボールをつなぐという意図は見えたが、リズムが単調になったことでゴールへの突破口を見出せなかった。ボランチ加藤弘堅は「ボールは支配できていたが縦へのアクションが足りなかった」と課題を口にした。

強風とともに流れていった時間はあっという間に90分を刻んだ。鳥取のシュート数5本に対して、群馬が放ったシュートはわずか3本。後半、風上だったことを考えれば少し寂しい数字だ。強風に試合を邪魔された秋葉忠宏監督は「フラストレーションのたまる試合だったのは間違いないが、アーリークロスやミドルなど相手の嫌がるプレーが足りなかった」と振り返った。群馬の初勝利は次節以降に持ち越しとなった。

鳥取はアウェイで貴重な勝点1を手にした。風下の後半は劣勢になることが予想されたが、群馬を上回る闘志で粘り強い戦いを演じた。選手によると、前半の戦いぶりに不満を感じた小村監督がハーフタイムにゲキを入れたという。指揮官の闘争心によってギアを上げた鳥取はチーム一体となった気迫の守備で群馬の攻撃を封じてみせた。小村イズムを注入された鳥取は、闘えるチームになりつつあるのは確か。開幕2試合がアウェイスタートとなった鳥取だが、次節は満を持してホーム開幕戦へ“凱旋”する。

開幕戦に続いて2試合連続ドローとなった群馬は、秋葉監督の初陣となるホーム開幕戦を勝利で飾ることができなかった。2試合で勝点2という成果は悲観すべき結果ではないが、2戦ともに勝点3を奪うチャンスがあっただけに悔やまれる。開幕2戦を振り返ると、後半に運動量が落ちること、球際での軽いプレーが目立つことが気掛かりだ。小手先のテクニックで勝点3を得られるほどJ2は甘くはない。強風の試合で見えた課題を修正することが初勝利へとつながる。次節アウェイ岐阜戦は群馬にとって最初のターニングポイントとなる。

以上

2013.03.11 Reported by 伊藤寿学
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2025/12/21(日) 10:00 知られざる副審の日常とジャッジの裏側——Jリーグ プロフェッショナルレフェリー・西橋勲に密着