あいにくの曇り空となった、愛媛の開幕第2戦。2年前の3.11を前に、試合前には愛媛がクラブやサポーターとともに東日本大震災を支援してきた様子が大型ビジョンに映し出され、改めてサッカーができる喜びを感じさせられた。また、試合前には土砂降りの雨にたたられたこともあり、大成功とはいえないものの、サポーターがゴール裏に描いた「一丸」という文字からは、その強いメッセージも伝わってきた。
一丸となって戦うこと。愛媛は今季のスローガンを、ピッチで示してみせる。前節のホーム開幕、山形戦とは違い、パスをつないで試合の主導権を握った愛媛。吉村圭司とトミッチのダブルボランチが縦横無尽にパスを配給し、松本陣内に押し込んだ。ただ、「両方の狙いが出たゲーム」と愛媛の石丸清隆監督が会見で振り返ったように、松本も得意のカウンターで愛媛のゴールを脅かした。前半9分、10分と続けて船山貴之がシュートを放つと、先制点はコーナーキックから生まれた。前半32分、松本は飯田真輝がヘディングで競り勝ち、愛媛のゴールネットを揺らした。ただ、これも松本は中盤でボールを奪い、素早く前に運んで得たフリーキックから生まれたチャンス。得点までの流れが、松本の狙いが出た形だった。
それでも、愛媛は東浩史と加藤大のツーシャドーが相手の嫌がるポジションに顔を出し、トミッチや吉村のダイレクトパスを受けた。そこからサイドに展開するなど、愛媛の素早いパス交換に松本は受身に回らざるを得なかった。アウェイ連戦の松本が重かったことを差し引いたとしても、前後半を通じて愛媛はパスをつなぎ、前線にボールを運ぶ狙いを出していった。ただ、前半で言えばフィニッシュのところで中央のスペースを生かせなかった。初先発のFW渡辺亮太がゴール前で飛び込むようなシーンが作れず、彼の良さが出なかった。さらに吉村や三原向平が放ったミドルシュートはGK白井裕人に阻まれ、トミッチのシュートもポストに跳ね返された。後半に入ると、ボールを運んでも手数をかけ過ぎて、スピードアップができない。よりゴール前に人数をかけた松本の守備が整った状態で、その守りを崩すことはできなかった。
最終的には、石井謙伍のクロスがゴールに吸い込まれ、愛媛は同点に追いついたものの試合はそのままタイムアップ。ともに開幕を白星で飾った両チームは連勝を逃した。もちろん、松本も守備の修正をしながら後半にもビッグチャンスを作っただけに、勝つこともできた試合。愛媛も主導権を握りながら勝ち切れなかったことを考えれば、両者にとって悔いが残る勝点1ではある。ただ、シーズン序盤は新しいチームに新しい駒が加わり、前の試合とは違った楽しみも増えてくる。松本は弦巻健人が今季初出場を果たし、愛媛では村上巧と重松健太郎が初めてピッチに立った。後半に入った松本翔は前節よりも長い時間ピッチに立ち、ドリブルからのシュートでスタジアムを沸かせた。チームを見ても、特に愛媛に関しては、石丸監督が目指すパスサッカーの片鱗が見えた一戦。新しいスタイルの可能性を感じられただけに、次節以降の楽しみが増えた一戦でもあった。
以上
2013.03.11 Reported by 近藤義博
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