●手倉森誠監督
「ニーハオ（こんにちは）。まずは『ベガルタ仙台の今の状況をお話しください』ということですが、その前にひとつお話ししたいことがあります。

2011年の3月11日に東日本大震災が発生してから、今日で丸二年が経ちました。自分たちは被災地のチームとして、希望の光になれるように、被災地の皆さんを勇気づけようと頑張ってきました。こうしてACLに出られるようになって、被災地のチームとしてアジアに希望の光を放ちたいという思いと、そしてアジアにこうやって出向いたときに、多大な支援、義援金、物資提供をいただいたこの中国にも感謝したいと思います。

震災が起きたこの日に日本にいられなくてこの南京市にいることと、このタイミングでACLを中国でやることに対して、自分たちの思い、被災地を代表して日本の復興のために頑張っているという姿勢を明日のゲームではぜひ見せたいと思っています。

我々はクラブとしても初出場のこの大会で、明日に対戦する江蘇舜天との縁もものすごく感じています。2009年に一部に昇格し、一昨年に4位、去年に2位ということでACLに出られるようなったということで、非常に似ているところもあるチーム同士の対戦を、僕は楽しみにしています。

ACLの一戦目ではブリーラムと引き分け、Jリーグが開幕してから1分1敗と勝てていない状況でここに乗りこみましたけれども、まずは今シーズンの1勝を目指して、明日はベストを尽くしたいと思います」

Ｑ：菅井直樹選手などけが人の状況は？また、江蘇舜天相手にどのようなプレーを見せるか？
「まずは我々の選手のけがについてですが、菅井は（J1の）前節で鹿島との戦いのなかで前半までしかプレーできませんでした。その後のゲームが中三日ということを考えれば、今回のゲームは無理だと思ったので外しています。
明日の戦いは、我々の分析では江蘇舜天の選手は非常に体が大きくて、ダイナミックでパワフルなサッカーをするというイメージを持っています。明日はそういった競り合いでは負けない覚悟を持たなければいけないということと、自分たちが今年に高めているパスワークをぜひ披露したゲームにしたいと思っています」

Ｑ：ACLに出場した日本のクラブは、最近苦戦が続いているが？
「ベガルタとしては今年ACLに出ながらJリーグを戦うなかで、（公式戦を）3試合消化して勝てていない状況ではありますけれど、これまでにACLに出たJリーグのチームも2009年以降Jリーグでも苦しみアジアでも勝てていない状況が続いています。だけれども、我々は今シーズンに『そうではない』ということを示したいと思ってやっています。
ACLに出られるのは、Jリーグで好成績を出したからこそです。自分たちがこれから成長するために、ハードなスケジュールであるACLとJリーグというものを全力で戦い抜いてこそ我々は強くなれると信じています。
そういったことも初めてなので、楽しみにしています。これまでに出たJリーグのチームも、中国での戦いで『アウェイ感』というものにストレスを感じていたという、ほかのクラブの情報もあります。自分たちもそういったものは覚悟しています。話では、明日は50,000人くらいが来るのではないかと聞いています」

Ｑ：林卓人選手にうかがいます。先程監督からお話がありました、東日本大震災発生から2年が経った日をこの中国で迎えることと、厳しいACLでのコンディション作りや食事で気をつけていることについて教えてください。

●林卓人選手：
「こうして震災発生から2年が経ったこの日に中国にいるということで、日本だけでも風化させてはだめな出来事だと思いますし、中国で『まだまだ現状は厳しい』ということをベガルタ仙台を通じて知ってもらえるいい機会だと思います。僕たちがアジアの架け橋に…震災を通じてですけれど、なれればと思います。そういう意味では、非常に意義のある対戦だと思います。

移動に関しては、アジアの戦いということで、監督もよく言いますが『強くなる、うまくなる覚悟』はあるので、僕たちを成長させてくれるための試練だと思っています。全く苦痛だとは思わないし、これを乗り越えたときに間違いなく成長できる確かな自信があるのでネガティブな要素もないですし、チームは今非常にポジティブな方向に向かっています。食事も問題なくとれていますから、今日この後にしっかり練習をして明日の試合に備えたいと思います」

以上

2013.03.11 Reported by 板垣晴朗